FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.12.16号

2015/12/16 20:00 投稿

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▼ご挨拶

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

今年もいよいよあと2週間。

このブロマガも、今年は今回を含めて3回を残すのみとなりました。

 

長期お休みもさせていただいてしまいましたし、残りの3回くらいはしっかり掲載&配信せねば!

 

そして、実は昨日から遠いところに来ております。

 

FOREST ISLANDの作品ではないけれども、もしかしたら宣伝などはさせていただくかも?と申しました件のプロジェクトでございます。

 

告知出来るようになりましたら、またこちらでも報告させていただきます。

 

引き続き、FOREST ISLANDチャンネルをどうぞ宜しくお願いいたします。

 

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FOREST ISLANDホラー劇場『現れた4号室』③

 

 老婆が消えていった後、船田さんたちはしばらくその場に立ちつくしていた。

「どうするんだよ?」

 誰かがささやくように訊く。その声は震えていた。

「何をだよ?」

 船田さんは聞き返した。自分の声も震えているのが分かった。

「帰ろう」と誰かに言って欲しかった。

 しかし、琢馬くんから発された答えは、その期待を裏切るものだった。

「行ってみようぜ」

 おそらく、琢馬くん以外の全員が求めていなかったであろう答えだった。

 しかし、そうなれば行かないわけにはいかない。

 懐中電灯を持った琢馬くんを先頭に、全員がそろそろと進んでいく。

「ウ~~ン、ウ~~~~~~~~~ン」

 どこからか、地鳴りのような音が響いてくる。

「何だよ、あれ」

 船田さんは口にしていた。

「ババアの声だろ、そこの部屋からだよ」

 驚くほど落ち着いた琢馬くんの声が帰ってきた。

 なるほど、よく聞いてみると、確かに先ほどの老婆の声のようにも聞こえる。

 しかし船田さんはそれどころではなかった。

 見つかったら殺される。

 その恐怖に全身が支配されていた。

「やっぱり、4号室だ」

 琢馬くんが懐中電灯を壁に当てる。

 そこにはやはり大きく「4」の文字が浮かび上がっている。

 誰もが言葉もなく、その壁の数字を見つめていた。

 その時だった。

「あっ!」

 ほとんど全員が同時に声を上げる。

4」の数字がぼやけだしたのだ。数字だけではない。扉そのものもだ。

「消えるぞ!」

 誰かが叫ぶ。

 全員の目の前で、扉が消えてゆこうとしている。その向こうから、無機質な壁が現れてきた。

 息をのんで見つめる全員の前で、扉と数字は完全に消えてしまった。

「どうなってるんだ?」

 琢馬くんが呆然とつぶやく。

「もう帰ろうぜ」

 自分でもびっくりするぐらいの裏返った声を船田さんが発した瞬間、

「こらあっ!!」

 叫び声と共に、廊下の明かりが点けられる。

 先生に見つかってしまったのだ。

「お前たち、こんな遅い時間に何をしているんだ!」

 ずんずんと歩いてくる先生を、船田さんはむしろ安堵の気持ちで見つめていた。

 恐怖の世界から、前日に引き戻されたような、そんな瞬間だった。

 もちろん、全員がこっぴどく叱られた。

 誰かが、突然現れた4号室のことを口にしたけれども、もちろん先生は信じてくれず、その生徒以外の誰も同調しなかった。信じてもらえないことを、子供心にも分かっていたのかも知れない。

 そうしてその晩は先生にお灸を据えられ、船田さんたちは自分の部屋へと戻った。

 

 翌日、帰り支度を済ませた船田さんたちは、生徒全員でロビーで出発を待っていた。

バスが遅れていて、全員が座ったまま待たされていた。

その時、船田さんはトイレに行きたくなった。

 先生に断ってトイレを探す。1階は、確か廊下の奥にトイレがあった。

 用を済ませて戻ろうとした船田さんが薄暗い廊下を歩いていると、向こうから誰かが歩いてくるのが見えた。

 旅館の従業員だろうか?

 そう思った船田さんは、近づいてくる人影の正体を見て、ぞっとした。

 あの、老婆であった。

 昨晩と同じように、ゆっくりと歩いてくる。

 今さら戻るには不自然なほど、距離は近づいてしまっている。

 緊張しながら船田さんは、老婆の横を通り過ぎようとした。

「良く来てくれたねえ、またおいでよ」

 突然、老婆が声を発した。

 思わず声を上げてしまった船田さんであったが、老婆はニコニコと船田さんを見ている。

「あ、ありがとうございました。」

 船田さんは何とか一礼を返した。

 老婆は相変わらずニコニコしている。まるで昨日のことなど嘘のようである。

 もしかしたら、旅館の主人のお母さんなのかも知れない。

 そう思いながら、船田さんは集合場所に戻った。

 結局、あの老婆が誰なのか、あの4号室は何であったのか分からないまま、船田さんたちは旅館を後にした。

 

「これで終わりだと思うだろ? この話には、まだ続きがあるんだよ」

 そう話す船田さんの口調は、段々と興奮を帯びてきていた。

                                   <続く>



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