FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.12.23号

2015/12/23 22:00 投稿

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▼ご挨拶

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

今年もいよいよあと1週間!

 

年末年始、FOREST ISLANDチャンネルでは、年越しの一大イベント(って言うほど大したものじゃないかも知れませんが)を計画しております。

 

自分の中では初の試みもあるので、うまく行くか心配なところもあるのですが、無事、成功させたいと思っております。

 

本日の時点ではまだ生放送の枠取りが出来ておりませんので、すみませんが皆様、引き続きニコニコチャンネルからの告知や、森島のツイッターなどからの告知をお待ちいただければと思います。

 

引き続き、FOREST ISLANDチャンネルをどうぞ宜しくお願いいたします。

 

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FOREST ISLANDホラー劇場『現れた4号室』④

 

 それから1年後のことであった。

私立であったからかも知れないが、船田さんの通っていた小学校には上級生の数人が下級生の修学旅行に同行するという決まりがあった。

そして、どういう訳か船田さんと琢馬くんが選ばれ、二人はまたあの旅館に行くことになった。

宿は相変わらず古めかしく、どこか無気味な感じを漂わせていた。

最初にまた大貫さんが挨拶をしてくれ、船田さんたちは今度は先生方と同じ1階の部屋へと案内された。

オリエンテーションを受けるまでの数十分、自由時間となった。

荷物を解きながら船田さんがふと顔を上げると、琢馬くんがじっとこちらを見ている。

その表情から船田さんはすぐに察した。3階へ行ってみようと言っているのだ。

二人は下級生たちの様子を見回るふりをして、3階へと足を運んだ。

今回も、3階は生徒たちの宿泊場所として使われることはなく、寒々とした空間がただそこに広がっていた。

上級生という立場上、下手に見つかるわけにはいかない。

最短時間で見てこようと、二人は足早に3階の廊下を歩いた。

行き先は言わずとも分かっている。3号室と5号室の間、「4」号室が浮かび上がったあの場所だ。

まだ日の暮れていない明るい廊下を、二人は何も言わずに進んだ。

古びた木の床が、ぎしぎしと音を立てる。昼間でもその無気味さは何も変わっていなかった。

そして、二人はたどり着いた。

1年前のちょうど同じ頃、真夜中に懐中電灯の明かりを頼りに歩いてきた場所。壁に「4」の数字が浮かび上がり、老婆がすすり泣いて部屋の中へと消えていった場所。

しかし、そこには何もなかった。

他の場所と同じく、綺麗に掃除されてはいるが、古びた壁があるばかりだった。

琢馬くんが近づき、壁に手を当てる。

一瞬、琢馬くんの体が吸い込まれるのではないかと考えた船田さんだったが、何も起こらず、二人は所在なげにその場に立ちつくすばかりだった。

「何も、ないな」

 船田さんは口にしていた。

 琢馬くんも困ったような表情をしていたが、彼はまだ何か諦めきれないように壁をなで回していた。

 もしかしたら、あの日に見たものは、何かの見間違いだったのかも知れない。

 そんな気さえ、船田さんはし始めていた。

 存在しないはずの部屋が浮かび上がり、その中に人が消えていくなど、考えられないことだ。あの日は暗かったから、老婆が隣の部屋に入ったのを見間違えたのかも知れない。それとも……。

「見ろ」

 琢馬くんがぼそりとつぶやく。

 船田さんは琢馬くんを見た。相変わらず、壁を手でさすっている。だが、そこは何の変哲もない壁でしかなかった。

「塗り固められてるぞ」

 琢馬くんがもう一度つぶやいた。

 近づいて目をこらしてみる。琢馬くんが手でさすっている辺りに、船田さんも手を当ててみた。

 指先に奇妙な違和感がある。

 注意しなければ分からないほどのふくらみがあった。

 見ると確かに、壁の一部分だけが他と色が違っている。

 年数が経っているからか、かなり同化してきているが、確かに塗り固められたような跡である。

 それは壁の上の方へ伸び、垂直に曲がると、しばらく行ってまた床の方へと続いている。

 そうだ。これはまるで……。

「扉だな」

 琢馬くんがつぶやいた。その瞬間だった。

「どうなさいました?」

 背後からの声に、船田さんは飛び上がらんばかりに驚いた。

 琢馬くんも青ざめた顔をしている。

 振り返ると、大貫さんだった。

 にこにこと、優しそうな笑みを浮かべている。

 しかし、その目は笑っていなかった。

「この階はどなたもいらっしゃいませんよ」

「ここ、もともと部屋があったんですか?」

 船田さんが切り出す前に、琢馬くんが訊いた。

「ああ、そう言えば確かに使っていない納戸の部屋がありました。リニューアルした際に、一緒に塞いだのですよ」

 笑いながら大貫さんが答えた。

「でも、何度にしては広すぎませんか? 他の階には部屋があるのに」

「そうは言いましてもねえ……」

 その時、集合を知らせるベルが鳴った。

 船田さんは琢馬くんを目で制した。

 なんだかこれ以上訊いてはいけないような、そんな気がしたのだ。

「ありがとうございました。僕たち、もう行きます」

船田さんは琢馬くんを促しながら大貫さんに言った」

「あの、おばあさんは元気ですか? 去年来た時、挨拶だけしたので……」

大貫さんは、少しうつむいた。

「……ああ、母ですか。母は、死にましたよ」

                                   <続く>




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