底辺亭底辺の「今日も底辺!」

三好武蔵守大髭の真実 (戯言養気集)

2017/06/18 11:27 投稿

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  • 安楽庵策伝
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  • 古典
  • 落語
  • 豊臣秀次
  • 三好吉房
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  • 皇室
  • 国産
本作の原典は、戯言養気集「其の物に付て、その心あらざれば、似たる事を聞き違う事」の章である。
この章には豊臣秀次関連の逸話だけが収録されている。

戯言養気集には話毎に題名がないので、底辺亭底辺がこの仮題を付けた。







秀次卿の御父上である三好武蔵守は立派な髭が自慢であった。

ある日、十人程の客が髭を見に来て褒め称えた時の話。



「さてもさても見事なお髭ですな!
日本ではこんなに立派な髭を見たことがありません!
きっとこれは唐物でございましょう!」

この追従に武蔵守は大いに喜んだ。
散会して皆が帰ると、武蔵守は日頃懇意にしている一人を呼び戻し

「実はこの髭は日本産なのだ。
くれぐれも内密にな!」

と親密に言い聞かせた。







戯言養気集

江戸時代初期に刊行された笑話集。
戦後期のお伽衆の小咄を集めてあり、織豊政権関係者の故事が多い。

著者不詳。




『三好武蔵守』

三好吉房。

庶人身分であったが、秀吉の姉を娶っていた縁で引き立てられ犬山城主の地位を得た。
秀次切腹事件に連座して改易され、讃岐に流罪になった。

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(豊臣秀次公肖像画)



公人としてのキャリアはその時点で断絶し、余生は行者として過ごしたのだが
孫の豊臣完子の血筋から皇后(貞明皇后)を輩出したので、三好武蔵守は今上陛下の先祖の一人となる。




『鬚』

鬚を表現する文字は様々あるが、この字はアゴヒゲを表す文字である。
戦国期は鬚が大流行したので(強そうに見えるから)、男たちは必死にヒゲを蓄えようとした。

このブームは半世紀後、土井利勝が笑い話のような展開で終止符を打ってしまう。



『同話』

醒酔笑巻の一「貴人の行跡」の章に同話が見られる。
但し、武蔵守の名は伏せられている。

秀吉のお伽衆であった策伝にとっては武蔵守は主家の人間であり
その配慮もあって名を伏せたのであろう。
(策伝は愚話に関しては名を伏せたり・変名している。)

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