あなたは、どんな話し方をする人に良い印象を持ちますか?


今回は大学に馴染めないで悩んでいる方の相談をもとに、話し方だけで印象が変わるトークの科学について解説させてもらいます。


「Q. 大学に馴染めず登校することもストレスです。環境を変えることもできません。どうすればいいのでしょうか?」


環境を変えることができないと考えている時点で間違っています。

大学の中でも授業の受け方や座る席を変えるとか、付き合う友達を変えるとか自分を変えるなど、できることはいくらでもあるはずです。


人は誰でも試行錯誤して周りの環境に馴染んでいきます。これは人間関係でも仕事でも同じです。

この話し方や態度では馴染めないと感じたら、次は、話し方を変えたり服装を変えてみようかなどいろいろ試行錯誤できるはずです。

その工夫をしたり他人に興味を持ったりすることはないのに、自分は一切変わらず、周りの人には自分に興味を持って欲しいと考えているわけです。


そんな方にはこちらの本を読んでもらいたいと思います。

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幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




知性は知識量よりしゃべり方で決まる


100の知識を持っていても人に伝える能力や、その知識を表現する能力が3しかなかったら、その人は3の知識しか持っていないように見られます。

逆に、10の知識を持っていて、その10の知識を10表現できる力がある、あるいは、10の知識から自分の経験や考えを織り交ぜながら15表現できる人は周りから見て知的な人です。


知性というものは知識量とは別です。

もちろん知識量も必要ではありますが、知性というものは知識量よりも表現力や喋り方によるものが大きいということです。


どんな良い食材があったとしても、料理の知識や技術がなければ美味しい料理は作れないのと同じです。

知的に話して人の心を動かしたり、説得力を高めたいのであれば「料理人」にならなくてはなりません。

知識を上手に料理できるようにならないといけないわけです。


語彙力が大事だという人もいますが、専門用語をたくさん知っていて語彙力があるだけでもダメです。

専門知識も正しい使い方があり、よく心理学で言われることですが、難しい言葉を語っているとバカに見えるけれど、専門用語がなくてもバカに見えるという話があります。


専門用語を使ってわかりやすく説明することも大事ですが、そのためにはわかりやすい例や具体的な理解が必要です。

つまり、専門用語を使ったら、それをわかりやすい例えで言い換えることで、相手に内容が伝わりやすくなりますし、相手からの印象として知的に思われるようになります。


難しい専門用語を使えば、相手の中に疑問が生まれます。

専門用語については断言して相手の中に納得を作り出します。

ですが、当然そこで相手の頭の中には疑問も生じます。その疑問に対してわかりやすい例えを使って解説するから理解してもらえるわけです。


人に物事を理解してもらうためには自分がしっかり理解していなくてはならないとよく言われます。

これは、しっかり理解していないと、そのわかりやすい例えを出すことが難しくなるからです。


Dラボを見て、専門家や研究者が書いた論文に興味を持っている人もいるでしょうが、一般的な生活の中で使うのであれば、専門的な論文よりも研究者や専門家の人が一般向けに書いた本の方が使えますし、説明能力を鍛えるために役に立つと思います。


ボキャブラリーと IQ は比例する?!

セントラル・アーカンソー大学の研究を見てみると、IQ が高くなればなるほどボキャブラリーが増えていくとされています。

わかりやすい話をする人ほど IQ が高いということです。


会話の中でキレのあるブラックジョークがどんどん出てきたり、ユーモアを使うことができる人は IQ も高くて、メンタルが安定していて将来成功する可能性が高いとも言われています。


これは口が悪ければ頭がいいということではなく、頭が悪くて攻撃性が高くメンタルも安定していない人はボキャブラリーも少ない人です。

ちょっとしたことでも感情的になって罵詈雑言を使い、なんでも最高と最低で区別していてボキャブラリーが乏しいです。


ブラックジョークやユーモアもボキャブラリーが多くないと美しくありません。ただ汚い言葉を並べるということとは違います。

例えば、10秒間でいくつの罵倒ができるかということを調べた実験があり、短時間に多くのボキャブラリーで捻った言い回しを出せる人の方が言語能力が高く頭がいいということが示されています。


ちなみに、ブラックジョークはメンタルの良し悪しとも関わっていて、気分が沈んで脳にストレスがかかっている状況下では判断能力が落ちて、このような時にはユーモアやジョークを理解する能力も低下するということがわかっています。


ブラックジョークの遠回しな皮肉やひねりを理解するには脳を使う必要があります。

その面白さがわかる、つまり、それを理解することができる人は脳が活発に働いているということです。

それゆえ脳が活発に動くから感情を処理する能力も高くなるので、結果的にメンタルも落ち込みにくくなり安定する傾向があるわけです。


もちろん、ブラックジョークを性格的に使いにくいという人もいると思いますが、理解するだけでも脳トレになるのでブラックジョークが出てくるような映画や小説を読んでみるのもいいと思います。


言葉遣いで3倍もモテる!

恋愛でも人間関係でも、共通の趣味があるといいとか、家が近いといいとかよく言われます。

確かに、人間は様々な共通点によって関係が深まりやすいということはありますが、その際に注目するべきポイントがあります。

ここで重要になるのもボキャブラリーです。


モテるためには外見とか様々なことが重要だと言われていますが、最近興味深いポイントが注目されていて、「言葉遣い」が似ているとモテるという研究があります。


思い出してみてください。

僕たちは恋愛に限らず人と話す時に、なんとなくこの人とは気が合うと感じる人もいれば、どうも気が合わない気がする人もいると思います。

この違いはどこから出てくるのかということを調べてくれたのが、2011年のテキサス大学の研究です。

この研究では、40人の男女を対象にスピードデートを行ってもらい、もう一度会いたいと思われる人と別に会いたくないと思われる人の違いについて調べています。


この研究では、男女が会話する時の「言葉遣い」に注目して記録しています。

スマホと iPhone 、コンピューターとパソコンなどのように、会話の中では同じ意味合いだけれど表現が違う言葉があります。

全員が使う言葉を調べて、その言葉遣いの類似性のようなものをチェックしています。

もう一度会いたいと思われ、連絡先を交換できたカップルとそうでないカップルを比べてみたところ、この言葉遣いの類似性に明確な違いがありました。


まず、確認されたこととして、同じような単語やフレーズを使う男女は、そうでない男女に比べて、なんと3倍もマッチングする確率が高かったということです。


同じような単語やフレーズを使う男女が33%の確率でマッチングしていたことに対して、同じような単語やフレーズをあまり使わない男女の場合には、わずか9%の確率でしかマッチングしなかったそうです。

言葉遣いが似ているかどうかということだけで、9%と33%もの違いになりました。


僕たちが感じる、「話が合う」「趣味が合う」というのは、「言葉遣いが一致しやすくなっている」ということが原因なのではないかとも考えられるぐらい、この言葉遣いによる影響は大きいものだということがこの研究では示されています。


ですから、相手に好かれたいと思うのであれば、相手が使っている言葉や表現にしっかり注目して、それを自分も使えるようになったほうがマッチングする可能性は高くなります。


そういう意味では、やはり、頭が良いボキャブラリーが広い人、芸人さんのようにユーモアがあって言葉を上手に使うことができる人はモテます。

これはたくさんの言葉やフレーズが頭の中にあるので、それを当意即妙に使って、相手の言葉遣いに合わせることができているからなのだろうと思います。

ボキャブラリーが多くて、それを上手に使って相手に合わせることができる人はモテます。


長期的な関係にも良い影響が!

マッチングできたとしても、その後も重要です。

この研究では、同じような単語やフレーズを使うカップルは、その後も長続きするのかということも調べてくれています。

それによると、同じような単語やフレーズを使えるということは、長期的な関係にも役立つようです。


同じような単語やフレーズを使うカップルは、それが少ないカップルに比べて、なんと23%も関係が長続きする確率が高かったそうです。


つまり、モテたいとか、関係を長続きさせたい、そう思うのであれば、同じような単語やフレーズを使えるようになれば、モテるようになるし、お互いに同じような言葉遣いができるカップルであれば、そうでない場合に比べて関係が長続きする可能性が高くなります。


良い恋愛をしたいのであれば、自分と相手の言葉遣いに注目してみるというのが良い方法なのかもしれません。

そして、モテたいのであれば、ボキャブラリーを増やして相手の言葉遣いに合わせられるようになってください。


この研究では、共通すると好感度が有意に上がるフレーズというものも確認されています。

4つのタイプのフレーズが一致すると好感度を上げるとされています。


その1 :返事に関するフレーズ

例えば、「分かります」「その通りですね」などの、相手が言ったことに対する返事のフレーズが一致すると、好感度が上がりカップルが成立する可能性が高くなります。

ですから、まずは相手の返事のフレーズに注目してみてください。


その2 :相槌に関するフレーズ

例えば、「なるほど」「へえ」というような、相手の言ったことに対して返事をするのではなく相槌だけをする時のフレーズです。

この相槌のフレーズも、それが似ていると2人の関係が良くなりやすいし、マッチング率も上がるそうです。


その3 :分量に関するフレーズ

例えば、「多い」「少ない」「大きい」「小さい」などの、分量を表すフレーズが一致している場合の方が、マッチング率が上がったそうです。

「もっと欲しい」という人もいれば「たくさん欲しい」という人もいます。

このような量の大小を表すフレーズが似ているということも結構重要なポイントになるようです。


その4 :人称に関するフレーズ

「私は」「私たちは」「自分は」というような人称を表すフレーズが似ているということも重要なようです。


これは日本では少し難しい場合もあるかもしれません。

長く良い関係を築いている年配の夫婦でも、旦那さんも奥さんも「私は」と言う人もいますが、どちらかと言うと、「私」は女性の方が使いやすいということもありますし、男性の場合は、「僕は」「俺は」というような表現を使う人もいます。


日本語の場合には、極力「We:私たちは」で話すようにして頂けると、関係が良くなるということもわかっていますので、そういう使い方がいいのかもしれません。


ボキャブラリーと感情知性

ボキャブラリーと言語の認識力については遺伝の要素が多いと言われています。

言語と文字の認識については1/3が遺伝によって決まり、ボキャブラリーの理解力に関しては50%が遺伝で決まるという研究もあります。


知能指数:IQに対して、感情知性:EQというものがあり、これは他人の感情を理解する能力です。

EQ が高いよりも IQ が高い方が14倍も人生が良くなるのではないかという研究もあります。

数百人のセールスマンを対象に行なった研究で、IQ が高い人と EQ が高い人とでどちらの方が売り上げが高くなるのかということを調べていますが、EQ が高くても仕事の成果はあまり上がらず、一方で、IQ が高い人は営業成績が明らかに上がっていたという結果が確認されています。

IQ が高い人と低い人を比べると2倍近くもその売上に差が出ていました。


他にも、例えば、2010年にEQ テストと仕事の成績、IQ テストと仕事の成績を比べるという論文もありますが、これを参照してみても、やはり、確かに EQ が高い方が仕事では成果が出ますが、 EQ と仕事の成果との関係はおよそ1%ぐらいしか関係していませんでした。

ですか、IQ は14%ぐらいの関係があったということが確認されていたりします。

そういう意味では、 EQ よりもIQ の方が14倍も仕事にとっては重要になってくるということです。


感情を読み取る能力である EQ に関する研究も行われているにもかかわらず、なぜ IQ の方が大切だということになってしまったのかと言うと、結局、IQ が高くない人は EQ が発達しないそうです。

ここがポイントで、IQ が高くてもEQ が発達しない人もいます。ところが、 EQ を鍛えようとしてもIQ がある程度ないと EQ を鍛えることもできないわけです。


つまり、頭がある程度以上良くないと人の感情を読み取ろうとする能力は鍛えられないということです。

IQ があまりにも低いと EQ が育たないので、他人の気持ちを読み取る能力もなくなってしまい、人生でも人間関係でも、かなり苦労することになってしまうわけです。


2007年のメタ分析では、このように感情をより細かく分類できる人、あるいは、細かく分類できる様になるためのトレーニングをした人は1.3倍も感情知性を高めることができるということもわかっています。

つまり、感情知性はトレーニングで高めることができて、普段からただ良い悪いではなくどのように良いのか?どう良いのか?など、細かく深く表現することを意識的に行うだけで1.3倍も感情知性を高めることができるということです。

更に、感情に対するボキャブラリーが豊富な人ほど、人生における問題解決能力も高いということもわかっています。


会話の中で、その人がどのような経験をしたのかとか、最近買ったものや楽しかったことなど過去のことを尋ねたりすることがあると思いますが、多くの人が特にそれほど興味があるわけではないけれど聞いておこうぐらいで聞いていると思います。

その時に相手が言っている内容ではなく「使っている表現」のバリエーションに注目することです。


この感情表現に対するボキャブラリーが多い人は、自己コントロール能力が高いので、物事を我慢したりコツコツ努力することができます

男性であれば将来成功する可能性も高いですし、女性であればパートナーに寄り添って支えてくれる可能性も高いです。

更に共感能力も高いので相手のことも理解できて、自分の感情も理解して冷静な対応もできます。

長期的に安定した恋愛関係を求めるのであれば、この感情知性の高い人とお付き合いするとうまくいきます。

これは友人関係でも同様なことが言えます。


ちなみに、感情知性は不安や心配の感情をコントロールするためにも重要です。

例えば、なんとなく漠然と不安と考えるのではなく、それをより具体的に考えて紙に書き出してみると 、その漠然とした不安が具体的な行動を示してくれることもあります。


不安やネガティブな感情にもメリットがあるということは皆さんもご存知だと思いますが、何がどのくらい?どのように不安なのか?なぜ不安なのか?具体的に細かく描写できる人の方がメリットを活かすことができます。

感情表現のボキャブラリーが減ってしまうと、不安からメリットを活かすこともできずコントロールもできなくなってしまいます。


感情知性を鍛えるためのおすすめ本

新しい文化に触れることによって、人は同じことに対しても対処の仕方や見る側面が変わってきます。


自分たちが持っていないような常識や文化を学ぶことによって、性格や行動がある程度変わるのではないかということが示された研究もあります。

気軽にそんな知らない文化に触れるという点ではこちらの本が結構役に立ちますので、皆さんも海外の文化に触れてみるといいのではないでしょうか。

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翻訳できない世界のことば


ここから先は、より具体的な知性を感じさせる話し方について解説させてもらいます。

話し方やコミュ力について不安を感じている人も多いと思いますが、話し方は全て技術として身につけることができるものです。

そんな方法について、ぜひ続きで学んでみてください。