あなたがここ最近で苦しかったのはどんな時ですか?
今回は、過去の失敗でなかなか前に進むことができないという方の相談をもとに、過去の後悔もトラウマも、未来に対する不安も受け入れて前に進むための方法について解説させてもらいます。
Q. 何かに挑戦したりしたいと思っても、過去の失敗が頭によぎってしまい、ついつい先延ばししてしまいがちです。
どうすればいいでしょうか?
このような人は、注意集中力を鍛えることによって、その状況を変えることができます。
例えば、何かに挑戦したいのに勇気が湧かない人は、目の前の挑戦するべきことよりも、過去の失敗の方に注意が向いているから挑戦することができません。
自分の過去の失敗の方に注意が向いているために、目の前のことに集中できないので、挑戦するのも怖くなるし、実際にしようとしても失敗しやすくなるということが起きてしまいます。
逆に、過去への後悔というものはなくても未来への不安で行動できないというのも同じです。
独立して起業したいけれど収入が落ちたらどうしようかと不安でいつまでも行動できない、あるいは、気になる相手がいるけれど告白して断られ関係が悪くなってしまったらどうしようかといつまでも気にしてしまう。
実際に起こっているわけでもないことを僕たちは勝手に想像して、そちらの方に自分の注意を持っていかれているということがよくあると思います。
これも全く同じで、実際に起きているわけでもない未来に対して注意集中力を持っていかれているので、それによって今行動することができなくなります。
仮に行動できたとしても中途半端な注意集中力で目の前のことに取り組んでしまうので、それは当然ですが余計なことを頭の中で考えているわけですから、普段よりもパフォーマンスは下がり、それにより失敗しやすくなるということもあります。
このような状況をなくすための方法がマインドフルネスという考え方であり、瞑想を通じて鍛えることができる注意集中力という力で、ブッタが目指したものであり僕たちがこれから目指していくものです。
世界では様々な文化の中で瞑想に近いようなものが色々とありますが、そんな中でも科学的な要素を取り出してくれたのがMBSR(Mindfulness Based Stress Reduction:マインドフルネスストレス低減法)を解説した動画をチェックしてみてください。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
変えられない過去を受け入れて前に進む方法
過去にトラウマや嫌なことがあって前に進めない人は結構いると思います。
自分の過去や失敗を受け入れることができると、その過去や過ぎたことを乗り越えることもできますし、これから先の失敗を恐れることもなくなります。
どちらかと言うと、失敗を恐れないことよりも逆境を乗り越える力の方が重要です。
それが取り返しのつかないような失敗だったとしても、その中でできることは必ずあります。
今回は、そんな過去を受け入れて前に進むには、どうすればいいのかということをワシントン大学の研究をベースに紹介させてもらいます。
弁証法的行動療法を開発したマーシャ・M. リネハン博士の研究をもとに、苦痛に耐える力を鍛えるためのトレーニングや過去のトラウマを乗り越えやすくする方法について紹介させてもらいます。
弁証法的行動療法 実践トレーニングブック‐自分の感情とよりうまくつきあってゆくために‐
まず前提として、体調を整えてください。
体調が悪い時に、変に過去に目を向けようとしてしまうと、余計に体調が崩れてしまうこともあります。
ここで言う体調はメンタル的な部分だけでなく、肉体的な体調も含めてです。
例えば、なかなかうつ病が治らなかった人も、食事療法や運動療法を組み合わせると急に改善したりすることもあります。
メンタルのためにも肉体のためにも、まずは体調を整えておくことが欠かせません。
そんな基本的な体調を整えるためにはこちらの本がとても参考になります。
本を読む気になれないという方の場合であれば、オーディオブックで聞くのもいい方法です。
最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)
8つのコーピング・ステートメントを唱える
コーピング・ステートメントは、リネハン博士が考案したものですが、過去を受け入れて前に進むために役に立つフレーズによって構成されています。
耐え難いことや嫌な過去を思い出してしまい、しんどさを感じた時に、「あるがままの現実を受け入れて前に進む」という感覚を思い出させてくれて、感情的な緊張やストレスから解放させてくれるための文章です。
我慢できないことが起きたら、この文章を読み返してください。
リストにしてスケジュール帳に挟んでいたり、スマホに入れておいてもいいと思います。
嫌な感情が湧き上がったら、これを読み直すだけで苦痛に耐える力が高まります。
①私がコントロールできる唯一のものは、現在の瞬間だけだ
人間は過去も未来も直接触ったりコントロールすることはできません。
今現在の行動によって、過去を乗り越えることもできますし未来を変えることもできます。
自分がコントロールできるのは現在のこの瞬間だけだと考えれば、それだけで余計なことを考えなくて済むようになります。
②自分の嫌な感情や思考と戦う事により、逆に嫌な感情と思考が成長して大きくなるための燃料を与えてしまう
人間は嫌な感情や思考と戦ったり押さえつけようとすると、その感情や思考が余計に大きくなってしまいます。
戦うわけでも押さえつけるわけでもなく、ただ認めて受け入れるだけです。
③現在の状況があるのは過去から続く様々なファクターが影響したものだ
トラウマにとらわれたり、過去の後悔から逃れられない人もいるでしょうが、ひとつの失敗が皆さんの人生を大きく狂わせたりすることはほぼありません。
今皆さんが置かれた状況が良いものであっても悪いものであっても、それは過去から続く何千もの変数が要因として関わっていて、環境や人間関係など皆さんとは直接関係のない要素も含まれています。
全てが自分のせいということはありません。
自分ではコントロールできない要素も関わっています。
だからこそ、ただそれを受け入れるしかないということを思い出させてくれる文章です。
④私が今の瞬間を好きかどうかに関わらず、今の瞬間はなるべくしてなったものである
これも今現在を受け入れるための文章です。
今現在が良い状況にあるかもしれませんし、悪い状況にあるかもしれません。
誰でも良い時もあれば悪い時もあります。
ですが、それが良いのか悪いのか判断したところで意味はありません。
なるべくしてなっているのが今この瞬間なわけですから、それが好きかどうかは別として、今を受け入れて未来のために今何ができるのかを考えるべきです。
今の置かれた状況や過去を嘆いたりすることもあると思いますが、それが良いのか悪いのかを判断するだけで、その状況を変えるために、今どんな行動を始めることができるのかということを考えなければ意味がありません。
⑤私は過去に起きたことを変更できない
誰も過去を変えることはできません。
当たり前のことですが、それを思い出させてくれる文章です。
⑥私は今の瞬間をそのまま受け入れることにする
現在と向き合うことができる人は、今できることをしようとします。
今できることをするためには、今の現状を受け入れる必要があります。
取り返しのつかない失敗をしてしまうこともあるかもしれません。
そんな時もそれを嘆いても仕方がありません。
今の状況を受け入れた上で、今何ができるのかということを考えていくしかありません。
前に進んでいくためには、今この瞬間をそのまま受け入れる必要があります。
過去を嘆いたり今置かれた状況を憂うのであれば、今この瞬間の行動量を増やすしかありません。
⑦私は不快な感情を抱いてるが、それはいずれ流れ去る
人間は良い感情も悪い感情もずっとそれが続くと思い込んでしまうものです。
どんなに楽しいことでも何度も続けていれば慣れてきますし、今は耐え難いような感情であっても、時間とともにその感情は薄れていきます。
今たとえ不快な感情を抱いていたとしても、それがずっと続くことはありません。
その不快な感情も受け入れて、それがずっと続くものではないと思えると、それが前に進む力になります。
⑧過去と戦っても役に立たない
過去はいくら戦っても倒すことはできませんし、そもそも今この瞬間に存在していません。
戦うことができるのは今この瞬間だけです。
向き合うべきは現在です。
①私がコントロールできる唯一のものは、現在の瞬間だけだ
②自分の嫌な感情や思考と戦う事により、逆に嫌な感情と思考が成長して大きくなるための燃料を与えてしまう
③現在の状況があるのは過去から続く様々なファクターが影響したものだ
④私が今の瞬間を好きかどうかに関わらず、今の瞬間はなるべくしてなったものである
⑤私は過去に起きたことを変更できない
⑥私は今の瞬間をそのまま受け入れることにする
⑦私は不快な感情を抱いてるが、それはいずれ流れ去る
⑧過去と戦っても役に立たない
この8つのコーピング・ステートメントは、誰にとっても必ず力になります。
トラウマまではいかなくても、誰にでも苦しい状況に陥ったり失敗することもあります。
同じような思いが込められた言葉があります。
アメリカの神学者であり倫理学者であるラインホルド・ニーバーさんの言葉に、ニーバーの祈りという詩があります。
神よ、変えることができるものを変える勇気を我に与え給え、
変えることのできないものを受け入れるだけの冷静さを我に与え給え、
そして、それらを見分けるための知恵を与え給え。
一次感情と二次感情を分けるワーク
皆さんが感じる感情には、一次感情と二次感情があります。
例えば、怒りの感情を感じていたとしても、その奥底には心配や不安、もどかしさや落胆の気持ちがあるかもしれません。
これを区別できるようになっておくワークです。
皆さんが耐えられない感情や衝動を感じたら、次のたったひとつの質問を自分に投げかけてください。
「その感情は事実に基づくものであり、感情の強度は適切だろうか?」
つまり、次のように考えます。
その自分の中に湧いている感情は本当に事実に基づくものなのか?
それとも、自分の想像や妄想によるものなのか?
そして、その感情は強すぎたり、押さえつけすぎたりしていないか?
例えば、皆さんが上司に対して「あの人は私のことを嫌いに違いない」と考えたとします。
これはこの質問を自分に投げかけて考えると、事実ではありません。
そう思えるような行動をとっているのかもしれませんが、嫌いかどうかを確認していない限りは事実ではありません。
「自分は何をやってもダメ」と思ったのであれば、それも事実に基づくものなのかと考えてください。
何をやってもダメというのが事実なのかは、全ての事を試した上でなければわからないことです。
感情の強度についても全く同じです。
例えば、会社で大きな失敗をしてしまい、「自分はなんてダメな奴だ、きっとこのままではクビになるに違いない」と自分を責めていたとしたら、その感情の強度は適切ではありません。
たった1回の失敗で社員を簡単にクビにすることなんてできません。
法律としても感情としても経営者は社員を簡単にクビにはできません。
もしこの質問に対して、YES の場合はそれは一次感情です。NO の場合は二次感情です。
事実に基づく感情で、その感情の強度も適切な場合は一次感情です。
事実に基づかない感情や、間違った強度の場合は二次感情です。それは自分の想像や妄想による感情です。
一次感情の場合
もし先ほどの質問で YES となって一次感情なのであれば、その感情に従って行動してください。
とはいえ、怒りに任せて暴力を振るったりするのは、そもそも感情の強度が間違っています。
嫌な気分になったとか不快な思いをしたのであれば、その自分の感情をそのまま伝えるのは悪いことではありません。
相手にされた事実に対する反応としても強度としても適切なのであれば、その感情に従って行動してください。
もしその行動ができない場合には、瞑想やマインドフルネスを行うようにしてください。
そして、その結果をただ受け入れるようにします。
二次感情の場合
先ほどの質問で NO となり、それが二次感情だった場合は、自分の頭の中で妄想したり勝手に拡大してしまっている感情です。
過去のトラウマにとらわれたり、ネガティブな感情に苦しんでいる人は、たいていこの二次感情で苦しんでいます。
それが実際に起きた事実ではあっても、今となっては変えることができないものです。
一次感情は時間とともに色あせていきますが、自分の頭の中でどんどん二次感情を増幅させています。
この場合には、まずは事実に基づく形に自分の思考を変える必要があります。
自分の頭の中にある感情に目を向けて、全て紙に書き出してみてください。
ひとつずつ、それが事実なのかどうなのかを考えて、間違っていたりずれている場合には書き直します。
これによって自分の思考を事実に即した形に変えていきます。
そして、頭の中でこの二次感情が増幅してしまっている時には、その原因として間違った行動を取っている場合があります。
それに気付いたら、逆の行動をとることで解決することもあります。
問題解決につながる行動をひたすら行うしかありません。
そこから自分が何かを感じたところで、解決のためには何の役にも立ちません。
その状況を解決するにはどうすればいいのかということを考えてください。
例えば、皆さんが恐怖を感じている状況だったとします。
その場合も、まずはその感情が事実に基づくものかどうかを判別します。
自分の人生や健康、大切な人や幸福など、自分の何かが脅かされているのであれば、それは事実に基づく感情です。
自分が過去のトラウマに脅かされて恐怖を感じている状況だったとしたら、それが今自分の人生を脅かすかどうか考えてみてください。
そのトラウマによる恐怖が、皆さんの人生や健康、大切な人の健康や幸福を脅かすでしょうか?
思い出さない限りは、自分にネガティブな感情を与えることもありませんし、それが自分の大切な人たちに悪影響を与えることもありません。
このように自分の中の感情が事実に基づかない場合には、その恐怖を感じた時と反対の行動をとるようにしてください。
恐怖を感じたら普通は逃げると思います。
それと反対の行動をとるわけです。
トラウマも過去の後悔も同じです。
中途半端に思い出したり急に頭の中に浮かぶ恐怖によって苦しめられます。
逃げるのではなくこちらから迎えに行ってください。
細かく思い出して全てを紙に書き出していきます。
自分が恐れている恐怖が事実に基づかないものであれば、自ら迎えに行ってください。
最初は辛いかもしれませんが、何度も繰り返していると徐々に慣れてきますし、意外と大したことがないと思えるようになります。
ここから先は、さらに皆さんが過去を受け入れて強く前に進むためのワークを紹介していきます。
誰でも苦しい状況に陥ることはあります。
そんな時でも前に進むための力を身につけて欲しいと思います。
そんな方法については続きをチェックしてみてください。
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