あなたは得た知識を実践で活かすためにどのような工夫をしていますか?
皆さんは日々いろいろなことに取り組み学んでいると思います。
ますます時代の変化が激しくなっている今、今までの常識とは違うことが次々出てきていて、僕たちはそれについて学んだり理解を深める必要があります。
そういう意味では天才もそうでない人も同じようにスタートラインに立たされています。
であれば、どうすればより効率的に理解を深めることができるのか。
読書でも勉強でもビジネスでも、より深い理解ができているからこそ人に解説することもできます。人に伝わる解説ができるということは、それだけ深い理解をすることができているということです。
今回は、本の要約アプリについての相談をもとに、前回も解説させてもらった解説力の実践的なトレーニングについてまとめておきます。
Q. 毎日読書をしていますが、本の要約アプリは効果があるのでしょうか?
読書好きからすると超絶邪道だと思っています。
本は情報を頭に入れるものではありません。
本というものは、そこに書いてある情報を人に伝えようと思って自分の頭の中で要約することで初めてその内容が頭に入ります。
ですから、本の要約アプリで本を読んでいる人は内容が頭に入っていないはずです。
ある程度情報として入っていても、それを人に伝えたり日常生活で使えるレベルになっていません。
流行りの本の話題にはついていけると思いますが、自分の人生に大きな影響を与えるような深い思考はできません。
本の要約アプリで100冊読むのであれば1冊の本を読んだ方がいいと思います。
その方が経験としても思考としてもより深くなります。
本を読むのはインプットするためではなく、向き合って考えるためです。
以上がDaiGo師匠のアドバイスでした。
解説力を高めるトレーニング
解説力を高めるために日常的に行えるトレーニング方法について紹介させてもらいます。
前回紹介したような、どのようにして相手に納得してもらうかという伝わる解説のためのメソッドも重要ですが、普段から自分の表現力を磨くトレーニングもあります。
日常の中で誰かに何かを説明するときにも、それは自分にとってトレーニングだと思ってすれば、失敗しても大丈夫と思えるようにもなり、そのモチベーションも上達のスピードも全く違ってきます。
世の中には皆が理解できないような難しい概念を説明することで成功した人もいます。
彼らが使っていた解説方法をベースにして、皆さんが日常の中で使えるトレーニング方法を紹介させてもらいます。
天才物理学者リチャード・ファインマンの解説力
リチャード・ファインマン博士はとんでもない天才で、大学院在学中にマンハッタン計画に参加したほどの人です。
彼の授業はとてもわかりやすかったそうですが、本当に物理が好きすぎて物理以外は全く興味がありませんでした。
名誉もある団体の代表や理事などの依頼も多かったそうですが、それらは全て断っていたそうです。
大きなことを成し遂げたり、他の人が出来ないことを成し遂げたりするためには、余計な約束や余計な業務は抱えられません。
だから、まわりにそれを発言しなければならない。無責任だから・・・と言っておく必要があります。
これは、リチャード・ファインマン博士の名言です。
彼は、自分のことを「社会的無責任論者」と呼んでいました。
自分は無責任だから責任ある仕事は出来ないと言い切ることによって、余計なものを全て放棄し、自分のやるべきことに集中することができて、初めて大きなことが成し遂げられるということです。
そんな事を言うと、会社にいられないという人もいると思いますが、それは自分で選んでそこにいるのですから仕方ないです。
過去の自分の選択は、今の自分が選択しなおしさえすればいくらでも変えることは出来ます。
変えるならば今です。
自分で選択したことで今がある。そこに不満があるとしたら、今自分が決断すれば、いくらでも未来は変えられると考えることが大事です。
「社会的な責任は一切取れない。そうでもしないと物理に集中できないから。」
このように言われていて、実際に、物理の世界で歴史に名を残す発見なども数多くされました。
「ファインマン・テクニック」
そんな間違いない天才物理学者のファインマンさんが実践していた解説力を高めるためのトレーニング方法があります。
これは何かを学習する時と誰かに物事を説明する能力を鍛えたい時、この両方で高い効果を発揮するということが分かっています。
非常にシンプルな構成でできていますが、何か新しい知識を自分の頭に入れる時にも説明力を使うことができます。
説明力の高い人は、新しいことを学んだり本を読む時にも「それをどのようにしたらわかりやすく説明できるだろうか?」ということを常に考えています。
説明力が低い人は、自分の言葉に言い換えたりわかりやすく表現を変えたりすることなく、見たものをそのままインプットしようとしてしまいます。
そうなると、当然説明はヘタになりますし自分の理解も進まないわけです。
ですから、このファインマンさんのテクニックは、自分の勉強の効率も上げてくれますし他人に物事を説明する能力もあげてくれる素晴らしいテクニックです。
インプットとアウトプットの両方の能力を高めてくれる方法です。
これは全部で3つのパートで構成されています。
1. 子供に教えるつもり
2. レビュー
3. 整理とシンプル化
この3つの要素についてマスターするだけです。
物理学というものは非常に難解な理論に基づいています。それをインプットするためにもアウトプットするためにも役に立っていたテクニックです。
ちなみに、ファインマンさんの本は非常に面白いです。
読み物としてとても面白いのでチェックして下さい。
ファインマン・テクニックその1 :子供に教えるつもり
勉強中にノートを取ったりする時に、ただ箇条書きにしたり覚えるべきことをそのまま書く人が多いと思います。
それは今日からやめてください。
まるで子供に教えるかのような言葉遣いでノートをとってください。
ノートを開いたら、まず一番上に自分が学習(説明)したい項目について、できるだけ短い文章で書いてください。
これはタイトルのような感じです。
例えば、「デフレの影響とは」「量子力学とは」など、短くタイトルやキャッチコピーのように書いてください。
そして、その下に「その内容を子供に教えるにはどうすればいいだろうか?」と考えて、その項目について知っていることを全て書き出していきます。
本を読んだり勉強している場合には、その中から必要な項目をすべて書き出していきます。
ノートをとる時の一番のポイントは「それを子供に教えるにはどうすればいいか?」ということを考えながらノートをとることです。
これは本を読む時にも新しい知識を学ぶ時にも使ってください。
子供に教えるつもりで考えていると難しい部分を省くことができるだけでなく、自分が本当に理解していない部分が見えてきます。
子供に教えることができるぐらいの内容にするには完全に理解する必要があります。
それができていないとシンプル化した瞬間に意味を損なってしまいます。
子供に教えるつもりで考えることで、自分の理解度を高めることもできますしアウトプットも上手になります。
これを常識を超えるレベルの天才が考えていたということがすごい気がします。
ファインマンさんは皆が理解できないような難しい理論や概念を理解していた人です。そんなレベルの天才が子供に教えるつもりで常に考えていたわけです。
ということは、ファインマンさんほどの天才ではない僕達はもっとこれを意識するべきです。
この子供に教えるつもりで考える時には、その子供を具体的に想定してください。
原因と結果というような基本概念を理解するために十分な語彙と注意力を持っている12歳ぐらいの子供の設定が望ましいそうです。
そういう意味では、真面目でいい子な中学1年生ぐらいの子供に説明する時に、それをどのように説明するだろうかと考えると非常にわかりやすい説明になるということです。
中田敦彦さんのYouTube はわかりやすくて定評がありますが、確かに中田さんは子供が見てもわかるようにされています。
ですから、実際に子供達も見ていますし受験生も参考にしていることも多いようです。
この子供に教えることを意識することで、より物事を深いレベルで理解することができて、その物事の間の関連性やつながりについてシンプルに認識することができるようになります。
僕たちが知識を覚えてもなかなか役に立たないのは、この作業を行っていないからです。
子供にも説明できるようにするには、その物事をかなり深いレベルで理解する必要があります。子供にも説明できるぐらいまで理解することができていれば、それを実生活でも役に立てることができます。
そして、それぞれの物事がとても複雑で難しいものであっても、子供に説明できるぐらいまでブレイクダウンすることができていると、その本質的な部分の類似点や共通点も見えてくるようになります。
それによって知識がつながり、実践でより使うことができるようになるわけです。
例えば、今微分積分の問題を出されてさっと答えることができるでしょうか?
数学がよほど好きな人でなければおそらく忘れていると思います。
この微分積分を中学1年生の子供に分かりやすく説明できるぐらいまで理解することができていれば、日常生活でもこの微分積分の考え方は使えるようになります。
12歳の子供に物事を教えるつもりで、知識を学んだり勉強したり理解するようにしてください。
これだけでもかなり変わります。
もちろん、いくら頑張っても子供にわかりやすく教えることを優先すると物事の正確性が失われる場合もあります。
多少物事の本質がずれてしまう場合もありますが、それはそれで問題ないと思います。
本質とはずれているけれどこの説明や認識がわかりやすいと考えてそうしている場合には、自分がその違いを理解していれば問題ありません。
元の意味を損なうことなく目的をもって情報を変えるのは誰でもすることです。
例えば、皆さんがレストランに行って、シェフが「素材の味を大切にしている」と言って食材がそのままテーブルの上に出てきたらさすがに腹が立つはずです。
素材の風味を多少損なったり形は変わったりするけれど美味しい料理を作るのがシェフの仕事です。
シェフは元々の食材の特性を理解しているからそれができます。
それを理解していない人が形を変えるとただの失敗料理です。
とかく今の世の中では、少し説明が違ったり間違ったりするだけで批判されたり叩かれたりしますが、それを分かった上で子供にわかりやすく変えるのであれば問題ないと思います。
ちなみに、ノートの取り方についても勉強した方がいいと思います。
これについては、こちらを参考にしてみてください。
DaiGo師匠も実際に学生の頃から使っているインプットのためのノート術なども紹介させてもらっています。
ファインマン・テクニックその2 :レビュー
先ほど本質を損なってしまう場合があるという話をしましたが、それを補ってくれるのがこのレビューというテクニックです。
子供に教えるつもりで学習したり理解を深める時には、以下の3つのポイントに留意してください。
①重要なのに忘れていた知識は何だろうか?
②スムーズに説明できなかったパートはどこだろうか?
③変数がどのように相互作用しているのか、うまく説明できなかったパートはどこだろうか?
変数の相互作用というのは、A が変われば B が変わり、B が変われば C が変わるというように物事には相互作用が必ずあります。
それらの物事がどのように関わっているのか、うまく説明できなかった部分はどこかということです。
この3つのポイントに注意を向けていくと、自分の知識のギャップが見えてきます。
その知識のギャップが見えてきたら、基本的な言葉で説明できるようになるまで元の資料を読み直してください。
重要なのに忘れていた知識があれば当然復習すると思います。
説明したり理解する時に、自分の理解が曖昧なところに気づくことがあるかもしれませんが、そこでお茶を濁すことはしないでください。
あえて省略しているのとわからないから省いているのでは全く違うので、それは必ず相手にバレてしまいます。
スムーズに説明できなかった部分に注目しておくと、自分の理解を深めることができます。
物事の関連性についても重要です。
相互作用や物事や知識の関連性まで分かっていなかった部分も理解が深まっていないということになります。
それをレビューしてください。
ここまでしていただけると、物事や概念に対する理解の境界線が特定されて、自分の理解している部分がはっきり見えるようになります。
人が知識を理解しているかしていないかというのは結構曖昧なものです。
自分がそれを理解しているかしていないかという境界線がはっきりしてくるので、理解が足りない知識に対しては、それはあと何度復習することで理解することができるのかということも見えてきます。
そうすると、いつ理解できるようになるのかということがわかるようになり勉強のモチベーションにもなります。
ファインマン・テクニックその3 :整理とシンプル化
子供に教えるつもりでノートを作って、それに対するレビューも行いました。
自分にとって足りなかったところや繋がりが分かっていない部分が見えてきました。
その後に、まずはもう一度専門用語を間違えていないかチェックして下さい。
ここでもう一度専門用語をチェックすることで、気づくことができなかった意味の取り違えなどに気づけることが結構あります。
ここで改めて専門用語だけチェックしておくと理解が深まります。
専門用語は、それが何度も必要になる言葉だから専門用語を使って文章を短縮化するためのものです。
ですから、専門用語の意味と専門用語がどのように使われているのかということをチェックするだけで、意外と全体の内容を追うことができます。
これは読書でも使えます。
読書をする時には、その中でよく使われる専門用語を表紙を開いたあたりの書き込むことができるページに、10個から20個ぐらいの専門用語を箇条書きにしておいてください。
読み返す時に、その専門用語だけを折ったりその意味について考えるだけで、読書の効率的な復習になります。
これは新しいジャンルを勉強する時にも使うことができて、最初に専門用語だけをまとめた本などで専門用語の意味だけを勉強しておきます。
そうすると、新しいジャンルの本でも内容を理解しながら読み進めることができます。
子供に教えるつもりでノートを作ってレビューを行い、専門用語をチェックしたら、そこから一連のストーリーとして解説していくための準備に入ります。
ここでは、自分がまとめた内容を必ず声に出してください。
もしその説明が単純ではないとか、自分で喋りながら複雑さや混乱している感じがしたら、さらにシンプルにできないかということを考えてください。
ここでの注意点としては、わかりにくいと感じても情報を加えることはしないようにしてください。
基本的にはシンプル化です。
増やすことは誰でもできます。減らすというのは理解しているということです。
シンプルにしながら情報を損なわないようにしましょう。
シンプルにするために元の本やテキストを参考にするのはいいですが、情報を追加することはしないようにしてください。
これを何度も繰り返していくと、様々なテーマが書き込まれたノートが出来上がります。
これができたら、年に2回とか3回でいいので全てのノートを読み返す時間を作りさえすれば、全ての知識が確実に記憶に定着してきます。
ですから、ファインマン・テクニックによるノートは、物事をとことん煮詰めたほんの数行しかない本質の概念を作っていくことが目標です。
そこまでシンプルにすることができていたら、年に何回も復習することができるので、頭の中に確実に知識を定着させることができるわけです。
頭の中に確実に記憶として定着しているから例えもすぐ出てくるし、日常の中で知識を実践として活かすことができます。
ここから先は更に実践的な知識を身につけるためのトレーニング方法を解説していきます。
読書や学習を効率的に行い、実生活で使える知識にしていきたい方はぜひ続きをチェックしてみてください。
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読んだ本の日にちをエクセルに記録して、忘れたころに読み返すことをしています。また、ストレスで習慣化が途切れてしまうので、ACTを1月の目標にしています。