1:冷戦以降の米国の世界戦略、その中での北朝鮮の位置

 私達は、朝鮮半島への米国戦略、特に北朝鮮への戦略を考える時に、冷戦以降、どのように変化したかを考察する必要がある。

 冷戦時、米国の戦略、軍備、兵員配備は度はソ連の脅威を前提に構築された。

 ソ連の崩壊によって、米国には2つの選択があった。

 一つは、ソ連と言う脅威の消滅により、国防費を大幅に軽減すること

 今一つは、最強の軍事を維持し、それを背景に世界で米国の指導的立場を一段と強めること

 結局、米国は後者を選択する。

 しかし、明確な脅威が存在しなければ、米国世論は軍備費の削減を求める。

 ここから、脅威を誰にするかの模索が行われ、イラン、イラク、北朝鮮のような不安定な国々が対象となる。

 これらが体系的にできたのが1993年に形成された「ボトム・アップ・レビュー」である。

 それは次を骨子とする。

 ・ 冷戦後の米国の政治