『世界』八月号は集団的自衛権に関し「憲法9条と集団的自衛権は両立できない」と題する宮崎礼壹元内閣法制局長官の素晴らしい論評を掲載した。

集団的自衛権は今後とも重要な政治課題であるが、議論を正確に行っていくため、彼の論評を学んでおくことが望ましいとみられる。何回かにわけて紹介する。

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1:集団的自衛権の本質は「他国防衛」である

 

 集団的自衛権も「自衛権」というから、各国の持つ自己防衛権の一種ではないか、と考えてしまう人が多い。しかし、違う。

集団的自衛権とは、「自国が直接攻撃されていないにもかかわらず」、「自国と密接は関係にある外国に対する武力攻撃が起きた場合にこれを実力でもって、阻止・反撃する権利である(二〇〇四年六月一八日政府答弁書など)どの論者も理論的には否定できない。

第二次大戦後。集団的自衛権の行使であ