私がイラン大使の時、ペルシア語を学んだ。

 途中からイランの童話を読み始めた。百冊位は読んだ。当時、私はイランの童話に最も詳しい人間と自負していた。

 なかなか、奥が深い。大人の小説は検閲が厳しい。寓話を書く童話は、大人の世界が閉ざされている分、ここに自分の考えを展開する作者がいた。

 しかし、イラン革命で、多くの知識人は、体制から排除されていった。

 東京は大雪だった。勿論、東京にとっての大雪である。ふと昔読んだイランの童話を思い出した。

 政治問題の論評が続いた。ちょっと休んでイランの童話を紹介したい。多分、読まれる方は様々の思いをここからもたれることと思う。

イランに雪だるまの童話がある。
「海の近くに小高い丘があった。
 ここに雪だるまが一つ立っていた。
冬、海から冷たい風が吹きつける。
一面雪に覆われた.
、鳥も動物も訪れず、雪だるまだけが強風に耐えていた。
日が経ち、太陽の光が暖かく