総選挙で自民党は大勝した。
 合計480議席中、自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地2である。
 しかし、得票率をみれば、意外に低い。
 小選挙区(全300議席)では自民の議席占有率は79%であるが、得票率は43%である(12月17日日経新聞夕刊)。国民の意思が正確に反映されたなら、本来は小選挙区での自民党の獲得数は294の代わりに129である。つまり、国民の意思が正確に反映されたなら、自民党の獲得数は294の代わりに186である。全議席の39%となる。
 比例区を見よう。小選挙区は一人しか選ばれず、投票パターンは必ずしも本来の支持を表していない。
 この時の自民党支持は27.62%である。
 現時点、国民の自民党支持は27.62%である。実質、27.62%の支持しかおさめていない政党が、60%の支持を得た政党として行動する。大変なギャップがある。
 つまり、自民党が自己の政策を強引に進める時には30%弱の人しか支持しない可能性がある。
 これに加え、今回の得票率は60%である。40%の人は積極的自民党の支持者ではない。これを考慮すると確たる自民党支持は国民全体の16%である。
 国民全体の16%しか確実な積極的支持をえていない政党が60%の支持を得たとして行動するから、強引な政策を遂行すればすぐに足元が揺らぐ。 TPP、消費税増税、集団的自衛権、原発再稼働、自民党は緊急に実施しようとする政策がいくつかある。
 もし、大手メディアが正確な世論調査をするなら、多くの人の予想に反して、安倍不信の数字が出る可能性は決して低くない。
 国民の行き先は既存政党ではない。残念ながらこれを集める可能性のある未来の党は惨敗した。この部分がどうなるか。しっかりした基盤が作れなければ、国民の不満は行き場所がなく、不満だけが渦巻くこととなる。

(生放送ページはこちら↓)
孫崎享のつぶやき 12月19​日号 「総選挙を振り返ってみ​よう」