7日、上智大学で戦略論の第2回目(私の担当は5回)を実施した。
 冷戦から今日に至るまで、世界で最も重要な軍事戦略は、核戦略である。
 
米ソ双方が相手国を何十回も何百回も完全に壊滅させる核兵器を持った。 戦略は「戦争で、相手を如何に完全に壊滅させるか」を求める術から、「如何にして戦争を避けるか」の術になった。
ここでは、「相手より優位に立つ」「相手をやっつける」という従来の戦略思想からの決別が必要だった。そして米国の戦略家は見事、それを成し遂げた。
 フランス戦略家ボーフルの言がある。
「闘争を続けることの無益さ、精神的な損失の大きさなどを相手に悟らせることが出来るのなら対立は決着すると考えた」
 私はボーフルの言を更に拡大解釈したい。「闘争を続けることの無益さ、精神的な損失の大きさなど」を「相手(国)に悟らせること」だけでなく、実は「自分(の国)に悟らせる」、これが極めて重要だ。
 ボーフルの論を補