孫崎享のつぶやき

米国大統領選現状:ワシントン・ポスト紙とABCトランプ氏が51%、バイデン氏は42%。他調査は拮抗。バイデン支持率RCP平均支持41.2%、不支持54.2%。共和党内RCP平均トランプ57.5%、デサンティス13.3%。司法でトランプ出馬阻止を図っているが実施すれば国一段と分裂。

2023/09/26 07:00 投稿

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「ポーランドを考える」39-40号 (24.09-1.10.2023)

ポーランドのリスクは高い
https://myslpolska.info/2023/09/22/ryzyko-dla-polski-jest-duze/

ダン・コバリク氏へのインタビュー

ダニエル・コバリク:1968年ルイビル生まれ、弁護士、人権活動家、反戦活動家、現在はピッツバーグ大学法学部で国際人権を教えている。コロンビア大学法学部卒業。コカ・コーラ等の企業による法律違反に対する訴訟で被害者の代理人弁護士を務めた。全米鉄鋼労組の法律顧問も務めた。ラテンアメリカ諸国、イラン、ロシアの変化等に関する著書多数。左派雑誌「カウンターパンチ」等にも寄稿。

聞き手:マテウス・ピスコルスキ

抜粋-

―では、欧州の話に移りましょう。あなたは最近ドンバスにいらっしゃいましたが...

ええ、11月から2回行きました。

―あなたは現地に行って、現在の紛争がどのようなものかを自分の目で確かめることができた数少ない米国人の一人だと思います。最近ドンバスに滞在したという素晴らしい記事を読みました。あなたが西側諸国が認識している日付より少し前の、2022年2月16日に戦争が始まったと主張していることにも気付きましたが......

そうです。まず第一に、ドンバスとキエフの紛争は2014年以前から始まっていた。ロシアの関与については、かつてNATOに助言を与えたスイスの情報専門家、ジャック・ボーを参考にしている。彼によれば、紛争が本格的にエスカレートしたのが2022年2月16日で、この時、キエフ軍によるドンバスへの攻撃が2014年以降で最も激しくなった。これはOSCEの報告書にも記載されている。当時、OSCEのオブザーバーは、2022年2月24日のロシア介入までの1週間で、約2000件の停戦違反を記録した。これは約30%の増加だ。ボーや他の多くの専門家によれば、同じ頃、ウクライナはドンバス国境に数万人規模の軍隊を集中させ始めた。これは大規模な侵攻の準備のように見えた。だから、2月16日に紛争が始まったというのは、まさにその通りだと思う。2014年の住民投票の結果、独立を宣言したドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の側にロシアが介入することになったが、当時ロシアは2022年2月まで独立を認めていなかった。

―2022年2月24日以降の西側によるウクライナへの軍事支援に話を移しましょう。米国によるキエフ政権への支援額の見積もりはありますか?武器と資金援助の両方についてですが。

ビクトリア・ヌーランドは50億ドルと話した...

―しかし、それは2014年のクーデター以前のことだった......

そう、ヌーランドによる そのための準備だった。そして今は更に数十億ドル。今のところ、それに関するデータは持っていない。ロシアが介入する前から、軍事装備や財政支援で数十億ドルあったはずだ。

―このような明確なウクライナ支援に対して、米国民はどのような態度をとっているのでしょうか?まずは左派から......

これは興味深い問題だ。というのも、興味深い世論調査の結果が発表されたばかりだからだ。2022年2月にロシアの介入が始まった後、当初米国民はウクライナ支援を明確に支持していた。しかし、その支持率は低下している。そして最近になって、多数派ではないが、それでも多くの米国人がウクライナへの軍事支援に反対していることがわかった。つまり、1年半の間に変化があったということだ。左派については...それをどう定義するかによって異なって来る。米国の左派を定義するのは難しい。興味深いことに、世論調査によれば、ウクライナ支援継続への支持は、共和党の有権者よりも民主党の有権者の方が遥かに高い。つまり、保守派はリベラル派よりも軍事行動に反対しているようだ。勿論、左派について語る際には、リベラル派と区別することが重要だ。私は左派だが、リベラルだとは思っていない。左派の間でこの件で調査が行われた記憶はない。しかし、左派はリベラル陣営に近く、むしろ戦争支持者に近いという印象を持っている。左派には騙されている人が多い。彼らは民主党のリベラルな価値観に同調し、自分たちを左派だと思っているにも拘わらず、バイデンのやっていることに同調する。加えて、米国や西側全般の左派には、この戦争を第一次世界大戦に似た反帝国主義的なものであり、ファシズムとの戦いとして捉えらえられた第二次世界大戦とは異なると認識している人々がいる。現在の紛争を反帝国主義戦争、あるいは、ロシア帝国主義と西側帝国主義の対立と見做す人々は、ウクライナを支持する傾向が強い。また、ウクライナのファシズムに対する戦争、あるいはロシアに対するNATOの代理戦争と見做し、ウクライナ支援に反対する人々もいる。私の考えでは、これはロシアに対するNATOの代理戦争だ。ロシアはここで帝国主義国として行動しているのではなく、自衛のため、ドンバス共和国を守るために行動しているのだと思う。だから私は、ウクライナを支持するNATOの行動に反対なのだ。しかし、左派はこの2つのアプローチを代表する陣営に分かれており、これについて大きな議論が交わされている。現在の紛争に対する評価に拘わらず、左派は一般的にNATOの介入主義に反対していると思う。私見では、これは1991年のソ連崩壊以来、実際に蔓延している左派の混乱のある種の反映である。左派は今のところ、このイデオロギー的打撃から立ち直っていない。

No.10 14ヶ月前

>>10
―次期大統領選挙の候補者についてはどう思われますか?ロバート・ケネディと彼の戦争観についてはよく耳にします。彼以外に反戦の立場に立つ候補者はいますか?

最も重要なのはケネディだと思う。ちなみに、私自身も彼を支持している。それから、緑の党のコーネル・ウェスト候補が第三勢力になり得る。民主党予備選にはケネディがいる。彼の名前は今でも大きな意味を持ち、米国では尊敬されている。ウェストもウクライナ戦争にはある程度反対しているが、この問題に対するケネディの立場はより明確だ。この2人が最も重要な反戦候補である。未知のカードはトランプだ。彼は、戦争は災難であり、24時間以内に終結させると述べている。しかし、彼は大統領時代、ロシアとの関係正常化を宣言し、それが実現しなかったことを忘れてはならない。彼は基本的にウクライナを支持し続けた。従って、彼の行動は必ずしも宣言と一致していない。それはともかく、彼はウクライナでの戦争を終わらせるというスローガンを掲げて選挙運動をしている。従って、彼は反戦候補と分類されるのかもしれない。彼を支持する有権者が明らかに戦争に反対していることを思い出してほしい。バイデンの支持者は戦争遂行を支持している。つまり、民主党と共和党の間には、このような問題に関して明らかな分裂があるのだ。この結末がどうなるかは見てのお楽しみだ。

―しかし、2017年にウクライナに攻撃用武器を最初に供与したのはトランプ政権だったことを忘れるわけにはいきません。つまり、タカ派に近い政権だったということでしょう。これをどう説明しますか?一部の人々が主張するように、米国の外交政策の領域で戦略的な決定を下す、ある種の隠されたディープ・ステートの構造があるのでしょうか?ウクライナ領内でのロシアとの代理戦争の背後に誰がいるのでしょうか?恐らくジョー・バイデンではないでしょう...

そう、それをディープ・ステート(深層国家)と呼ぶ人もいる。例えば、私の出版社はこの用語を好んでいる。私はマルクス主義者だが、代理戦争はブラックロック等の金融セクターの企業に代表される支配層、つまり最も裕福な層によって支えられていると言える。アイゼンハワーが既に語り、警告した兵器産業でもある。ところで、ブラックロックといえば、兵器産業にも投資し、ウクライナに深く関与していることを忘れてはならない。ブラックロックは、ウクライナへの投資という経済的利益と引き換えに、ゼレンスキーに復興支援を約束した。つまり、支配層はこの戦争とウクライナの勝利に多くの投資をしているのだ。ウクライナのようなプロジェクトに大金を投資すれば、そのプロジェクトが存続することを望む。兵器産業は戦争が続く限り儲かる。だから、戦争ができるだけ長く続くことを望んでいる。同様に、20年続いたアフガニスタンでの戦争も支援した。ウクライナでも同じことが起こることを望んでいる。勿論、これは非常に皮肉な計画だ。ロシア人だけでなく、ウクライナ人もどんどん死んでいるのだから。しかし、これが起きていることの本質であり、トランプ政権がウクライナを支持し、ロシアに対抗する動機でもあったと思う。トランプ自身もこの罪を犯しており、それは、バイデン政権におけるビクトリア・ヌーランドやブリンケンに相当するジョン・ボルトンやマイケル・ポンペオといった新保守主義者にトランプが取り囲まれていたからだ。一般的に、どの政権でも同じ人物や同じタイプの人物が繰り返し登場する。これは支配者層がそれを望んでいるためでもあり、彼らしか知識を持たないためでもある。だから戦争が増えるのだ。

―軍産複合体の所為とも言えるのでしょう。最近、欧州の幾つかの国、デンマークやオランダがF-16戦闘機をウクライナに引き渡し、後にF-35戦闘機と交換するという話を聞きました。バイデン政権のウクライナ支援には限度があると思いますか?この政権は、第三次世界大戦や核衝突に繋がる可能性があるような、余りにも広範囲に影響が及ぶような行動も検討するかもしれない?それとも、そのような脅威については全く考えていないのでしょうか?

これらの問題については、政権内部や支配階級の間でも意見が分かれている。核戦争のリスクを覚悟している者もいれば、そうでない者もいる。バイデンは最近、歴史上これほど核の黙示録に近付いたことはないと語った。これは、バイデンが思考を明晰にしている瞬間には、存在するリスクを理解していることを意味している。彼の政権はそのリスクに備える準備ができているのだろうか?そうかもしれない。奇妙なことが起きている。ニューヨークでは、核攻撃の際にどのように行動すべきかを指示するキャンペーンが行われた。だから私は、そのリスクを冒してでも核戦争を、恐らくは限定的なものではあるが、始めたいと考えている人たちがいるのではないかと危惧している。リベラルなウェブサイト「ハフィントンポスト」による最近の紹介記事では、気候を冷やすための限定的な核兵器使用の利点について考察している。だから我々は、支配者たちがどれほど狂っているかを過小評価すべきではない。彼らは無限の利益を追求し続けるために戦争をする用意がある。欧州の人々にはそれが分かると思う。私たちはこの戦争を終わらせなければならない。越えられない境界線の存在に関する質問に対しては、それが存在するかどうか分からない―と答えたい。バイデンは、例えばF-16の場合、そのような限度について繰り返し語り、そして自ら限度を越えてきた。

―ポーランド、スロバキア、ハンガリー、そしてこの地域の他の幾つかの国々は、この戦争の最前線からそう遠くありません。ワシントンやロンドンの戦争シナリオの作成者が、ポーランドやリトアニアなど、この地域の国々を直接紛争に巻き込もうとする可能性はあると思いますか?

特にポーランドに関しては、そのリスクは高いと思う。今日のウクライナでは、最後のウクライナ人までロシアと戦おうという米国の意志の効果を目の当たりにしている。これは極めて皮肉な計画だ。私は、彼らが最後のポーランド人までロシアと戦おうとしているのではないかと危惧している。ポーランド、ハンガリー、その他の国々の人々がこのことに気付くことを願っている。それは彼らの利益に沿うものではない。国家として消滅するかもしれないウクライナが、この代理戦争から利益を得ることもない。そして米国は、そんなことは全く気にしていないと思う。彼らはロシアを弱体化させることしか考えていない。ロシアがポーランドと交戦することでそれが可能になるなら、米国はそうする立場にある。前線に近い国々、特にポーランドにとってはリスクが高いと思う。従って、ポーランド人は この問題については細心の注意を払い、良心の吟味に導かれるべきだ―ポーランドが第二のウクライナ、第二のアフガニスタンになるのを望まないなら。ポーランドがこの恐ろしい戦争の戦場になるのを望まないなら―そして、まさに そうなってしまう可能性がある。

―余り楽観的ではありませんが、非常に現実的です。ポーランドの支配層がこのような傾向にあることは、私も全く同感です。このような対話を有難うございまいした。近い将来、国際政治においてもっと楽観的な話ができるようになることを願っています。

有難う!

No.11 14ヶ月前

戦争の状況把握があり、ロシアが優勢の中で、米国民の支援拒否傾向が高まっておれば、ロシアにとって大きな追い風といえる。

実態は逆であり、クリミアを中心とした戦況は、トクマク方面で、6~8の3か月間は戦況が大きく変わることがなかったが、西側の戦略を乗り越えウクライナが独自戦略を編み出し、一気に防衛線を破壊し前進を進めている。一方、クリミア西側の何重にも張り巡らされた航空防衛網を破壊し、中枢の幹部が集まっている時を見計らって(確認して)攻撃し多くの幹部が殺害された。ロシアは認めていないのでプーチンに知らされていないのでしょう。艦船、潜水艦、攻撃機が多数破壊されており、ロシアにとって非常事態である。

この状況を見て、今まで反対していたクリミア攻撃を西側が認めたので、ウクライナはすでに住民の退去を要請しており、クリミア総攻撃が展開されるのではないか。自国のインフラ破壊をいとわない重大決意をしているとみている。

足元を固めないで、米国の当てにできないアンケート結果に浮かれている場合ではないでしょう。ウクライナは失うものがなくなり、民族の存立をかけて戦っており、殿様気分で戦うロシアがクリミアを失うことになりかねない。

No.12 14ヶ月前
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