p_f のコメント

「ポーランドを考える」39-40号 (24.09-1.10.2023)

ポーランドのリスクは高い
https://myslpolska.info/2023/09/22/ryzyko-dla-polski-jest-duze/

ダン・コバリク氏へのインタビュー

ダニエル・コバリク:1968年ルイビル生まれ、弁護士、人権活動家、反戦活動家、現在はピッツバーグ大学法学部で国際人権を教えている。コロンビア大学法学部卒業。コカ・コーラ等の企業による法律違反に対する訴訟で被害者の代理人弁護士を務めた。全米鉄鋼労組の法律顧問も務めた。ラテンアメリカ諸国、イラン、ロシアの変化等に関する著書多数。左派雑誌「カウンターパンチ」等にも寄稿。

聞き手:マテウス・ピスコルスキ

抜粋-

―では、欧州の話に移りましょう。あなたは最近ドンバスにいらっしゃいましたが...

ええ、11月から2回行きました。

―あなたは現地に行って、現在の紛争がどのようなものかを自分の目で確かめることができた数少ない米国人の一人だと思います。最近ドンバスに滞在したという素晴らしい記事を読みました。あなたが西側諸国が認識している日付より少し前の、2022年2月16日に戦争が始まったと主張していることにも気付きましたが......

そうです。まず第一に、ドンバスとキエフの紛争は2014年以前から始まっていた。ロシアの関与については、かつてNATOに助言を与えたスイスの情報専門家、ジャック・ボーを参考にしている。彼によれば、紛争が本格的にエスカレートしたのが2022年2月16日で、この時、キエフ軍によるドンバスへの攻撃が2014年以降で最も激しくなった。これはOSCEの報告書にも記載されている。当時、OSCEのオブザーバーは、2022年2月24日のロシア介入までの1週間で、約2000件の停戦違反を記録した。これは約30%の増加だ。ボーや他の多くの専門家によれば、同じ頃、ウクライナはドンバス国境に数万人規模の軍隊を集中させ始めた。これは大規模な侵攻の準備のように見えた。だから、2月16日に紛争が始まったというのは、まさにその通りだと思う。2014年の住民投票の結果、独立を宣言したドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の側にロシアが介入することになったが、当時ロシアは2022年2月まで独立を認めていなかった。

―2022年2月24日以降の西側によるウクライナへの軍事支援に話を移しましょう。米国によるキエフ政権への支援額の見積もりはありますか?武器と資金援助の両方についてですが。

ビクトリア・ヌーランドは50億ドルと話した...

―しかし、それは2014年のクーデター以前のことだった......

そう、ヌーランドによる そのための準備だった。そして今は更に数十億ドル。今のところ、それに関するデータは持っていない。ロシアが介入する前から、軍事装備や財政支援で数十億ドルあったはずだ。

―このような明確なウクライナ支援に対して、米国民はどのような態度をとっているのでしょうか?まずは左派から......

これは興味深い問題だ。というのも、興味深い世論調査の結果が発表されたばかりだからだ。2022年2月にロシアの介入が始まった後、当初米国民はウクライナ支援を明確に支持していた。しかし、その支持率は低下している。そして最近になって、多数派ではないが、それでも多くの米国人がウクライナへの軍事支援に反対していることがわかった。つまり、1年半の間に変化があったということだ。左派については...それをどう定義するかによって異なって来る。米国の左派を定義するのは難しい。興味深いことに、世論調査によれば、ウクライナ支援継続への支持は、共和党の有権者よりも民主党の有権者の方が遥かに高い。つまり、保守派はリベラル派よりも軍事行動に反対しているようだ。勿論、左派について語る際には、リベラル派と区別することが重要だ。私は左派だが、リベラルだとは思っていない。左派の間でこの件で調査が行われた記憶はない。しかし、左派はリベラル陣営に近く、むしろ戦争支持者に近いという印象を持っている。左派には騙されている人が多い。彼らは民主党のリベラルな価値観に同調し、自分たちを左派だと思っているにも拘わらず、バイデンのやっていることに同調する。加えて、米国や西側全般の左派には、この戦争を第一次世界大戦に似た反帝国主義的なものであり、ファシズムとの戦いとして捉えらえられた第二次世界大戦とは異なると認識している人々がいる。現在の紛争を反帝国主義戦争、あるいは、ロシア帝国主義と西側帝国主義の対立と見做す人々は、ウクライナを支持する傾向が強い。また、ウクライナのファシズムに対する戦争、あるいはロシアに対するNATOの代理戦争と見做し、ウクライナ支援に反対する人々もいる。私の考えでは、これはロシアに対するNATOの代理戦争だ。ロシアはここで帝国主義国として行動しているのではなく、自衛のため、ドンバス共和国を守るために行動しているのだと思う。だから私は、ウクライナを支持するNATOの行動に反対なのだ。しかし、左派はこの2つのアプローチを代表する陣営に分かれており、これについて大きな議論が交わされている。現在の紛争に対する評価に拘わらず、左派は一般的にNATOの介入主義に反対していると思う。私見では、これは1991年のソ連崩壊以来、実際に蔓延している左派の混乱のある種の反映である。左派は今のところ、このイデオロギー的打撃から立ち直っていない。

No.10 14ヶ月前

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