世界で「著名なスパイは誰か」を問うと必ずゾルゲの名前が出てきます。そして彼のスパイとしての功績は「“日本はソ連を攻撃しない”というゾルゲ情報でソ連は極東軍を西部戦線に送ることが出来、これでモスクワは救われた」と多くの人に信じられてきました。連合国軍最高司令官総司令部参謀第2 (G2) 部長であったウイロビーが1952年『赤色スパイ団の全貌-ゾルゲ事件-』を出版し、ここで「ソ連は西部にドイツの侵入を受け、東部に日本軍の脅威を感じ、全くの窮地に陥ち入っていたので、日本のソ連攻撃の意志の有無を確聞したかったのである。ここにおいて、ゾルゲの『日本軍はソ連攻撃の意志なし』との情報に基き、ソ連はシベリア師団を西部戦線に送付することが出来、モスクワの防備を全うすることが出来たのである」と記載し、これが定説となりました。
 著者は連合軍参謀部の元部長です。多くの人は額面通りに受け止めました。
 でもこれは事