「カチャーロフの犬に」(1925年)(出典1961年版『セルゲイ・エセーニン』

よこして、ジム、お手を私に

私はこんな足を見たことがないよ

一緒に、ほえようよ

静かな、音のしない、天気の中で

よこして、ジム、お手を私に

 

ねえ、おまえ、なめないで

最も簡単なこと位一緒に解ってくれ

お前は生きることって何か知らないだろ

この世で生きるってどんな価値があるか、お前、しらないだろ

 

お前の主人は優しくて著名だ

主人の家に客がいっぱいだ

みんな、笑みをたたえ、

お前のビロードの毛に触ろうとする

 

お前は犬では悪魔的に美しい

優しい、信じやすい、心地よさで、

どんなに酔っぱらっているか一言も聞かず

お前は、接吻に、舐めてくる

 

愛すべきジム、客の中に

とてつもなく多くの、様々な客がいる

でも、誰よりも無口で、憂いある彼女が

たまさか、突然入ってくることがないかい

 

彼女は来るよ。そしてお前