孫崎享のつぶやき

米中貿易合意なるも、18年7月以降に段階的に課した制裁関税第1~3弾(2500億ドル分)は25%の関税率をそのまま。中国製品全体(約5500億ドル)の平均関税率は19%と2ポイント低下するだけ。中国が約束した輸出拡大策の実現には、多くが懐疑的

2020/01/17 08:21 投稿

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A-1 ウォール・ストリート・ジャーナル「米中、貿易目標達成には高い上り(壁)U.S. and China Face a Steep Climb to Meet Trade Goals

A-2ニューヨーク・タイムズ「トランプは貿易合意は成長促進というが専門家は合意していない(Trump Hopes Trade Deals Will Boost Growth. Experts Don’t Agree.

A-1 事実関係 日経「米中、止まらぬ分断 ハイテクなお禁輸・高関税」

米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階の合意」で正式署名、貿易戦争は一時休戦。合意内容は中国による米国製品の輸入拡大や、知的財産権の保護、金融市場の開放など7項目。米政権は制裁関税の一部を下げるものの、中国製品全体に課す関税率は高止まりし、ハイテク企業への禁輸措置も残る。世界経済を揺るがす米中の分断は止まらない。

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コメント

マレーシャのマハテイール首相は米国を「ならず者国家」と観ている。彼は米IMFの乱暴な金融切り崩しに全面的に対決して克服した男だ。彼は米国はその傲慢な蛮行故に米国が早晩自滅すると観測している。従って、彼は日本の星条旗礼賛主義に警告を発する。

では、中国は米国をどうハンドルしようとするのか?中国がマハテイールさんと同様に米国を「ならず者国家」と見る。が、その「ならず者性」に全面的に対決して是正すると言う態度を取らない。むしろ、その蛮行とお付き合いし、暴走を抑制し、管理しようとしている。それはあたかも、日本社会が反社会勢力の上納金、みかじめ取り立てをある程度黙認し、コントロールして付き合っているのと同じなのだ。因みに、暴対法は組織的反社会勢力に対して組織名の変更を届け出るのを義務付けてその存在を認めて管理しているのだが、そこにはあきらめがある。

中国のそういう鷹揚な態度は、100年、200年期間をかけて、長く米国と注意をしながらお付き合いして行こうということだ。その心は「WE SHALL OVERCOME」だろう。イランもそうだが、中国も安定的な権力がなければ、カオスになってしまう。カオスになれば必ず餓死者が出る。その点。米国とは違う。米国はカオスだが餓死は無い。豊富な食肉生産と無料の食券供給があるからだ。フリードマンの政治経済哲学は米国に於いてはWORKABLEだが、中国やイランには通用しない。規模の小さい日本国家の日本人には想像できないことだ。

No.1 59ヶ月前

米中が貿易合意に署名したといっても、経済の根本的考えが一致しているわけではない。

米国の経済は、企業の大小・スケールの大小・国家をまたぐ多国籍企業というように企業の形態が異なっていても、あくまでも企画・開発・販売活動は企業が単位になる。市場にゆだねたなかでの自由競争であり、強者と弱者が出て、淘汰が繰り返される中で技術革新が進んでいく。

中国の場合は、国家が商品の企画・開発・販売に関与し、他国の知的財産を勝手に使うし、商売の中で技術移転を強要し商売の条件となるし、開発などに要する巨額の費用を国家が負担したり、補助金をばらまいて企業の負担を和らげるので、自由主義競争で戦っている米国・日本などの企業は総合力で勝てない。通信分野だけでなくあらゆる分野で中国が支配することになってしまうのでしょう。

米国の選挙後は、米国の要求が厳しくなり、中国はデジタル通貨で元の流通性を高めたりして、中国の信頼性・存在性を高めていく以外は、中国が存在感を示せる道がないといえる。「一帯一路」で覇権国家中国が、ロシアなど同じ志を持つ国々との経済圏を形成しようとしても、どの国も企業のバックに国家があり、国家対国家の商売になれば、商売のスケールは縮小方向に向かう以外ない。いずれ14億の国民を食べさせていくこともできなくなるのでしょう。

米国の選挙前に、中国はあらゆる経済活動がスムーズに回らなくなり、国民の不満があちこちで出てくるのでしょう。最近GDPが天安門事件当時の3.9%に匹敵する6.1%の成長に対しかなり厳しい経済判断がされている。大卒が890万人いるが、就職率がかなり低く、また、ホワイトカラーを希望しても、AI・ロボットなどに仕事をとられている。中近東現象が強まっていくのでしょう。中近東で紛争が起きたのは、大学を出ても仕事がなく、利権を一部の宗教者、部族長が独占することから始まっている。韓国も同じであるが、若者に仕事を回せない状況は、国力を弱め、紛争を惹起する前兆であり、中国の動向に目が離せない。

No.2 59ヶ月前
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