「いまドイツとフランスは戦争するでしょうか?」と訊かれれば、多くの人は「しない」と答えるでしょう。第一次大戦と第二次大戦で独仏は戦いました。なぜいまは戦わないと思えるのでしょうか

 

 私は講演でしばしば、このように問いかけます。

「ドイツとフランスは、いま、戦争するでしょうか?」

 すべての人は「戦争はしない」と答えます。

 なぜでしょうか。ドイツとフランスは第一次大戦と第二次大戦を戦いました。それがなぜいまは「戦争はしない」と言えるのでしょうか。

 たとえば、領土を争点にしようと思えば、領土問題は潜在的に存在しています。九州の七割くらいの大きさの、アルザス・ロレーヌ地方は、人口の七割がドイツ語系の言葉を話しますが、いまはフランスの領土です。ほかにも争点がないわけではありません。

 ドイツとフランスは、第一次大戦と第二次大戦に莫大な死者を出しました。