こんばんは。むしマガの発行が遅れに遅れてたいへん失礼いたしました。気がつけば8月も終盤。やる気のない小学生が、夏休みの宿題に取り組もうかどうしようかと、迷い始めているころでしょうか。
こちらの近況というか、あれです。7月から8月序盤にかけてイベントやら出演やらでいろんなことが集中していたため、想定外に体力を削られていました。一連のイベントの最後の山場だったクマムシ学研究会が終わったあとくらいから乾眠状態に。
でもお盆休みに回復すればいいや、と思っていたのですが、お盆休みを丸々使い果たしてもまだヒットポイントもマジックポイントも回復しない。という事態になりまして、今に至ります。はい。完全に言い訳ですが。すみませんでした。
・第二回クマムシ学研究会
さてさて、今月5日に開催された第二回クマムシ学研究会。全部で18演題の発表があり、たいへん活況でした。どの演題もレベルが高く、嬉しくもあり、また、身の引き締まる思いもさせられたり。
今回の会場は東京大学理学部二号館の大講堂。ここは、今から11年前になる2006年12月2日に、クマムシ学研究会の前身となる「第一回クマムシ研究会」が行われたところです。名前に「学」がついて「クマムシ研究会」が「クマムシ学研究会」となったのですね。
当時のプログラムを探していたら、片山俊明さんのサイトのアーカイブが見つかりました。
このときのプログラムを見ると、演題は7つですね。
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第一回クマムシ研究会 演題(2006年12月2日)
鈴木 忠「クマムシ培養の歴史」
阿部 渉「クマムシの種を見分ける」
塩田春香「クマムシ?!本の秘密」
会津智幸「クマグルミの秘密」
堀川大樹「クマムシはどこまで耐えられるか」
三枝誠行「オニクマムシの超高圧への耐性実験」
國枝武和「クマムシの乾燥耐性の分子機構を探る」
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演題の数が少なかったので、このときの発表時間は1人あたり40分間もありました。このとき、僕はまだ博士号を取っておらず、クマムシ博士になる前でした。懐かしい。
この11年間で日本でのクマムシの研究も大きく進展したわけですが、個人的にとくに嬉しかったのは、今回の研究会で発表された18演題中10演題が、ヨコヅナクマムシに関連した研究だったこと。自分が札幌で拾ったコケから見つけたヨコヅナクマムシが、こうして広まっていくのを見るのは本当に嬉しいものです。
それから、今回、ヨコヅナクマムシの乾眠関連タンパク質の立体構造解析について発表された大阪大学の福田庸太さんは、クマムシの研究を始めたきっかけが、僕のTwitterのつぶやきを見たことだった、と話されていました。
SNSを使っていると「遊んでないで研究しろ」などというクレームをもらうこともあるのですが、こうして研究活動を促進することもあるのだ、ということを実証できました。だからSNSだいじ笑。
さて、それでは間が長くなってしまいましたが、予告通り、今号では橋本聖子仮設の続編をお送りいたします。
★むしコラム「クマムシの橋本聖子仮説その2」
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ある一つの事象への適応メカニズムが別の事象にも適用されることを橋本聖子現象といい、この説を橋本聖子仮説という。
スピードスケート競技に高度に適応した結果として自転車競技にもよく適応した橋本聖子にちなむ。
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「クマムシと橋本聖子には共通点がある」。
僕は講演会やテレビ番組などで、この説を述べてきた。だが、肝心の橋本聖子氏本人には、何の断りもとっていない。そしてそもそも、スケート競技と自転車競技に必要なスキルがどこまで共通しているのかについても、本当のところは自信がない。これについても、本人に確認を取らなくてはならないだろう。
そこでまず、橋本聖子事務所が公開しているメールアドレス宛にメールをしてみた。今年4月のことである。(ちなみに橋本氏は今、自民党所属の参議院議員である)
「クマムシと橋本聖子には共通点があり、勝手ながら橋本さんの名称を使用しています。この使用について、まず許可を頂けないかと思っています」、というような趣旨の内容のお願いだ。
その結果。1ヶ月、2ヶ月が経過しても、橋本氏や事務所の人からは返信がなかった。まあ、当たり前といえば当たり前の結果だ。
だが、ひょんなところから、橋本氏との共通の知人が見つかり、紹介してもらえることになった。トントン拍子に進む話。なんと、30分間、実際に会って話ができることになってしまった。
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