こんにちは。お久しぶりでございます。いろいろとご心配いただきメッセージをいただいた方々、どうも有難うございました。長らくお待たせしましたが、本日からメルマガを再開します。

 復帰後はさっそくクマムシの話題から。人気SFドラマシリーズの『スタートレック・ディスカバリー』にクマムシが登場した模様です。

’Star Trek: Discovery' Mudd-ies Up Tardigrade Science

 こういう大御所的なドラマに出るなんて、クマムシも本当にメジャーになったものです。劇中ではクマムシが外来DNAを大量に取り込める、という設定が使われていたようです。あのいわくつきの研究結果が元になっているようですが。これについては以前、詳しく解説しました。

「クマムシに外来遺伝子17%」は真実か

 クマムシが有名になるのは喜ばしいんだけど、なんだか複雑な感じ。コンセンサスが取れていない研究結果がこうして一般に浸透して、新たなクマムシ伝説と化してしまいそう。クマムシは120年生きるよ伝説みたいに。

・400号

 そういえば。気づいたら、今号でむしマガも400号だったんですね。400号っていうと、日本プロ野球のホームラン数でいえば長嶋茂雄とか金本知憲とかのレベル。いや、比べる対象がおかしい。

 むしマガ400号到達の直前でだいぶ足踏みしてしまいましたが、これまで解約せずに購読し続けていただいた方、どうも有難うございます。創刊号から読んでいる方とか、もう神ですね。

 これからもゆる〜い感じで書き続けていこうと思いますので、よろしければそのままお付き合いいただけますと幸いです。

・プレゼント企画

 400号記念で何かプレゼント企画をしよう。ということで、次号にて発表します。どうぞお楽しみに。

★むしコラム「納豆菌の放射線耐性については詳細不明なのか」

 久しぶりに納豆菌の話題です。

 ちょっと前になりますが、ネットメディア「ねとらぼ」が納豆菌の記事を投稿していました。

「納豆菌が強すぎて、納豆厳禁の職場がある」「宇宙空間でも死なない」 ネットに広がる“納豆菌最強伝説”はどこまで本当?

 ネット上には「納豆菌最強伝説」が出回っており、これを検証した、という記事ですね。誰かが「納豆菌は宇宙から来た!」という説を流し、それが拡散したらしい。一体誰なんでしょうか。

 念のために納豆菌についておさらいしておきます。納豆菌(枯草菌)は栄養不足などが引き金となり、芽胞と呼ばれる仮死状態のモードになります。この芽胞は高温、超低温、真空、放射線など、さまざまな極限ストレスに耐えられる。宇宙空間にさらされても大丈夫。クマムシと似ていますね。

 さて、この「ねとらぼ」の記事では、納豆菌のさまざまな伝説の真偽について、全国納豆協同組合連合会に取材し、回答をもらっています。

全国納豆協同組合連合会

 全国納豆協同組合連合会は、納豆事業に携わる組合員の経済活動を促進し、その経済的地位の向上を図ることを目的とした組織。納豆事業者だけあり、納豆に詳しいようです。

 ただ、記事の中でちょっと気になる部分も。以下、引用。

――
人間の致死量の3000倍にあたるガンマ線量を照射されても死なない → 真偽不明

納豆菌がガンマ線で死ぬのは分かっているが、具体的な数値は不明とのこと。
―― 

 全国納豆協同組合連合会は、納豆菌の芽胞がどのくらいのガンマ線照射に耐えられるかについて、定量的なデータは不明と回答しています。ちなみに「人間の致死量の3000倍にあたるガンマ線量を照射されても死なない」という言説は「むしブロ」というブログ記事の記述を引用したのだと思われます。

みんな納豆菌を甘く見ない方がいい

  はたして納豆菌のガンマ線への耐性能力は不明なのでしょうか。「むしブロ」というブログの運営者は嘘つきなのでしょうか。改めて検証してみましょう。