クマムシさん at JAPAN EXPO
JAPAN EXPOのレポートについては明日詳しく書きたいと思いますが、とりあえずはクマムシさんが国境を越えて人々からKAWAIIと思われる存在である、という手応えを得ました。これは大きな収穫。
ということで、今号はクマムシトリビアをお届けします。
クマムシトリビア その14
読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。
◆ 質問:
クマムシには何らかの形で学習や記憶が成立するんでしょうか? 学習できるとすると、乾眠の後でその記憶がどうなるか興味深いんですが・・・難しいでしょうね。
◇ 回答:
今回はプロの研究者の方からの質問をいただきました。
実はこのトピックは僕もだいぶ前から興味があり、ちょこちょこと遊び半分で実験していました。
この研究テーマは、自分のテーマの本筋からは若干ずれるため、本腰を入れて研究してきませんでしたが、もし共同研究案件が来たり弟子が来たりジャンボ宝くじの一頭にでも当たれば、ぜひとも取りかかりたい魅力的なトピックです。
もしクマムシに学習が成立し、その記憶が乾眠状態でもずっと保持されていれば、これはすごいことです。なにせ、記憶を何年も、場合によっては半永久的に保持することができるわけですから。
それではまず、クマムシに学習や記憶が成立するかどうかについて、お答えします。
今までに、クマムシで学習が成立したり、記憶が保持されていたことが報告されたことはありません。
とはいえ、これは別にクマムシがバカだから、というわけではなくて、単にクマムシを使ってこの類いの研究をした人がほとんどいないからだと思われます。
というのも、単純な神経回路しかもたないセンチュウ(C. elegans)でも学習行動が見られることが報告されており、これと同等あるいはより複雑な神経ネットワークをもったクマムシでも学習能力があってもおかしくないと思われるからです。
ここで念のために学習という用語の定義を述べると、ある経験をした後に別の行動を示すようになることといえます。
例えばセンチュウC. elegansでは、通常ではNaClに向かっていくクセがあります(これを正の走性という)。
ところが、NaClがある条件でかつC. elegansに絶食を経験させると、NaClに向かっていくクセが無くなり、むしろNaClから遠ざかるクセ(負の走性)が身に付きます。
この場合、C. elegansが絶食経験によって異なる行動をとるようになり、学習が成立しているわけですね。
僕は、これと同じ実験系を使ってヨコヅナクマムシがNaClに向かっていくかを試したのですが、
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