木野龍逸の「ニッポン・リークス」

子どもの甲状腺癌が悪性と疑いを含めて104人になる中、福島医大が症例情報を独占するのは疑問

2014/09/01 08:52 投稿

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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                   2014/9/1(No.009)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
(1)国が株式の半分以上を保有する東電が、自分で情報をコントロールする不思議━━国営か、民間か、経産省内でも明確な認識がない?
(2)子どもの甲状腺癌、悪性と疑いを含めて104人に━━福島医大が手術の情報を独占し、公表先送り
2.気になる原発事故ニュース
3.編集後記
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1.東電福島第一原発事故トピック

(1)国が株式の半分以上を保有する東電が、自分で情報をコントロールする不思議━━国営か、民間か、経産省内でも明確な認識がない?

 いまの東電は、株式の過半数を政府が保有する「国営企業」といっていい状態にある。ところが東電は、情報を出すかどうかは自分たちで判断する、という見解を記者会見で説明し、その方針を堅持している。これまでにテレビ会議映像の公開を拒否したり、タンクの設置費用が削減された疑いが指摘されても費用を公開しないなどの姿勢に批判が集まったが、同じことは今でも繰り返されている。
 こうした東電の態度に対して、久しぶりにというか、記者会見で強い批判の声が出た。批判されたのは、福島第一原発の事故収束作業を所管する、資源エネルギー庁の対応だった。
 8月28日、資源エネルギー庁の原子力発電所事故収束対応室は、福島第一原発の中長期ロードマップを説明するための記者会見を実施した。場所は経産省本館の記者会見室だ。会見は月に一度、定例で行っているもので、新聞、テレビの経産省詰め記者を中心に、NHK解説委員や海外メディアが参加している。
 この日も、いつものように20人程度の記者が参加した。主たる会見者は、事故収束対応室の新川達也室長である。会見では、冒頭から1時間近くかけて、ロードマップの進捗状況の説明があった。14年4月以降、東電が進捗状況の説明を簡略化するようになっていることと比べると基本的な情報も多く、普段、福島第一原発の事故に触れていない記者にもわかるようにするという考えがあるようだ。
 開始から4か月が経過しても凍結が完了しない海水配管トレンチの閉止作業、伐採木の焼却処理の開始が来年になるだろうこと、作業員へのアンケートを実施することなどに続き、福島第一に入っている作業員の人数について説明があった。
 福島第一原発で働く1日あたりの平均作業員数は、昨年7月の2990人が、今年7月には5730人にふくれあがっていた。それでも政府、東電は資料で、放射線業務従事者登録のある作業員が11800人いることや、主要元請け企業に確認した結果、「要員の不足が生じていない」という認識を示していた。
 概況説明に続いて始まった質疑応答の中心は、海水配管トレンチの凍結止水や、地下水バイパスの効果についてだったが、30分を過ぎたときにテレビ朝日記者が、廃止が決まったアレバ社の汚染水浄化設備の費用を東電が公開しないことを批判し、国の対応を求めた。
 フランスの原子力産業大手、アレバ社は、事故直後から東電、経産省に売り込みをかけ、11年4月に汚染水処理装置の納入が決まった。このときから、複数のメディアが、処理費用が莫大なものになっている可能性を指摘していた。東電はコストについて、いっさいの説明を拒否した。当初は、除染性能の公表すら拒否した。
 アレバの処理装置は6月上旬に稼働したものの、トラブルが続いた。8月に東芝製の処理設備「サリー」が稼働を始めて9月に動作が安定すると、アレバの設備は待機運転という名目の休眠状態になった。使わない理由は、稼働によって出てくる廃棄物の放射能濃度が高い上、量が多いことだった。また設備を設置した蛇腹ハウス(簡易テント)内の空間線量率が数十ミリシーベルトと高く、保守点検作業を行う作業員の被曝が増えることも問題だった。
 それでも東電は、アレバは非常時のためのバックアップ用として、待機状態であると説明し続けていた。12年6月14日には漏洩事故が起き、建屋内の放射線量は50mSv/h以上になった。とても動かせる状態ではなかったが、それでも待機状態だと説明し、設備が無駄になっているという印象を与えることを避けていた。
 14年7月23日、東電は唐突に、アレバの除染装置周辺が10〜100mSv/hになっていることなどを発表。8月11日には、設備の廃止を発表した。このときの記者会見で東電は、設備にかかったコストの公表を拒否した。
 テレ朝記者は、東電が拒否し続けているコストの公表を、経産省から指示できないのかと聞いた。これに対する新川室長の回答に納得しないウォールストリートジャーナルの記者が、重ねて対応を求めた。 

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