【No.64】被ばく管理が杜撰になってトラブルも発生ー汚染認識が甘い東電の人たち
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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2019/7/2(No.64)
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【No.64】被ばく管理が杜撰になってトラブルも発生ー汚染の認識が甘い東電の人たち
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■放射線管理区域で靴を脱いで汚染という信じがたい事故
東電は6月10日、HPの「不適合の公表」の中で、作業員が放射線管理区域内で靴を脱いで靴下で歩いたことで靴下が汚染されていたトラブルが発生していたことを公表した。発生は6月6日だったが、月曜日の定例会見で東電はこのことを公表していなかった。
その後、13日の定例会見で東電は、汚染発生の経緯を説明。東電によれば、4号機タービン建屋2階にある電気品室内で、5人の作業員が靴下で作業。このうち4人の靴下の足裏が汚染されていたという。
作業員らは作用後、汚染された靴下を履いたまま事務所などを歩いたため、東電は退域ルートをサーベイ。汚染がなかったことを確認したという。靴下で作業した5人のうち4人は東電の社員だった。
福島第一原発は構内全域が放射線管理区域になっているため、入退域時には必ず汚染の確認、サーベイをすることになっている。逆に言えば、サーベイをせずに作業用の靴を脱いで歩ける場所はない。この、ごく当たり前の認識が、作業員らになかったことになる。
福島第一原発構内は現在、全面マスクやアノラックなどが必要なRゾーン、半面マスクで作業のできるYゾーン、医療用マスク等の簡易な服装で作業ができるGゾーンに区分されている。東電と政府は常々、作業環境が改善されて作業員への負担が軽減されたことを強調している。
東電に視察に訪れたさまざまな人たちも、福島第一原発の環境改善をアピールするのに一役買っている。例えば安倍首相は4月14日に原発構内に入り、背広にマスクなしという平服で視察。新聞やテレビでも大きく報道された。実際、福島第一原発では限られたエリアに限って平服のまま立ち入ることができるようにもなっている。
一方で、作業現場の環境が依然として厳しい場所もある。原子炉建屋やタービン建屋の内部はその代表格で、とくに原子炉建屋は今でも全面マスクが義務付けられている。
また汚染水がたまっている廃棄物処理建屋(4号機南側)の中には、つい先頃、大量の地下水が流れ込んでいることがわかって対策工事が進められる予定になっている場所(サイトバンカ建屋)もある。東電は、さらっと、工事を進める予定であることくらいしか説明しないが、突っ込んで聞くと、この場所の空間線量は毎時2ミリシーベルト〜5ミリシーベルト〜5という極めて高い線量であることを明かした。
最近話題の3号機使用済み燃料プールの周辺と同じ程度の空間線量だ。3号機では、遠隔操作によって被ばく低減措置がはかられているが、サイトバンカの作業は人力が基本だ。わずかな時間で公衆の年間被ばく線量限度を超えてしまう作業環境は、まだたくさんあるのだ。
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