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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2017/3/15(No.48)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.48】不十分な2号機調査と避難指示解除
2.メルマガ後記
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1.福島第一原発事故トピック
<不十分な2号機調査と避難指示解除>
2017年1月下旬から、福島第一原発では2号機格納容器内部の調査がようやく始まり、圧力容器下部の様子が初めてカメラで撮影された。東電の増田尚宏・廃炉カンパニー代表は1月26日の会見で、圧力容器下部やペデスタル内部の調査を「しっかりやっていきたい」と述べて調査への意欲を示した。
しかし2月9日の時点で、大きな目的だった「サソリ型調査ロボット」によるペデスタルの撮影や調査は再検討が必要になり、17日に格納容器内部に投入はしたものの、案の定というか途中で動けなくなって内部に残置した。作業環境や格納容器内部の状況の厳しさが改めて浮き彫りになっている。
2号機格納容器内部の調査は東芝が担当している。もともとは15年8月に実施予定だったが、ロボットを投入する場所の放射線量率が床面で最大8Sv/hにもなるため除染で線量低減ができず、対策に長い時間がかかった。最終的には遮へいですることで目標の20mSv/hを下回る目処が立ち、調査に着手することができたが、作業環境の整備だけで1年半を費やしたことになる。
内部の調査は、格納容器に設けられているX−6ペネと呼ばれる作業用の貫通孔を通して行う。まず事前調査として貫通孔からカメラを挿入し、圧力容器を支えるペデスタル内部までのロボットの走行経路(CRDレール/制御棒駆動機構(CRD)の点検時に部品などを運ぶための鉄骨の搬送路。ビルの建設現場で見るような7mほどの鉄骨が、格納容器壁面からペデスタルにつながっている)などを確認。次に清掃用ロボットでCRDレール上の障害物を除去し、最後に「サソリ型調査用ロボット」で、ペデスタル内部の撮影や線量、温度の確認などを行うことになっていた。
すでに報じられているように、結論からいえば、調査はうまくいかなかった。確認できたのは、目標にしてた範囲の一部にとどまった。
2月2日に東電が公表した写真では、圧力容器下部の制御棒のハウジングなどが比較的、形状をとどめている一方で、ペデスタル上部のグレーチング(格子状の足場)が1m四方の大きさで窪んでいるなど、破損がひどいことが目視できた。高温で溶けたようにも見えた。
グレーチングの破損カ所は調査用ロボットの走行ルートとして想定していた部分だった。この時点で計画の見直しは必至だった。
同じ日に東電は、貫通孔から差し入れたカメラのノイズから推計した格納容器内部の雰囲気線量が、最大で530Sv/h(誤差±30%)だったことを公表した。2号機格納容器は、2012年3月27日の調査で最大72.9Sv/hが測定されたほか、14年8月の調査ではCRDレール上で最大36Sv/hだったので、一ケタ違う数値が観測されたことになる。そのため東電の岡村祐一原子力・立地本部長代理は「あくまでも線量確認は(サソリ型ロボットの)線量計」だと繰り返し、測定方法が正しかったのかどうか検討するなどと強調した。
少し間が空いた2月9日の午前、東電/東芝はCRDレールに掃除用ロボットを投入。搭載した高圧の水噴射でレール上の堆積物の除去作業を実施した。
調査用ロボットと掃除用ロボットの駆動系はほぼ同じで、2本のクローラで走行する。東電は、高さ2cmまでなら乗り越えられると説明していた。これに対してCRDレール上の堆積物は、東電の説明では1cm以下。会見で木元崇宏原子力・立地本部長代理は、なにかあると引き返せなくなるので「水でとれるなら少しでも除去したい」と説明していた。
ところが、フタを開けてみると、掃除用ロボットはほとんど実効性がなかった。予定ではCRDレールを5mにわたって作業することになっていたが、堆積物が硬くてなかなかとれず、2時間近くの作業で1m進むのがやっとだった。
また堆積物の上を走行しようとしたところ、ロボットの底部が凸凹の堆積物に乗り上げて走行不能になり、ケーブルで引っ張って復旧させたという。
岡村本部長代理は、以前の調査ではCRDレールに大きな堆積物は確認されておらず、CRDレールとグレーチングの間の段差を乗り越える性能を想定していたと説明。しかし「デコボコがあって本体(底部)のクリアランスがとれないので、乗り上げると動けなくなるのは観測できた」「次は(底面を)すりそうな所を避けて通るなどが(必要であることが)わかった」などと述べた。
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