初潮
一九八三(昭和五十八)年のお正月は、例年通り、西の祖父母の家で年越しをしてから、父の車に家族全員乗って本家や親戚、知人宅へお年賀に伺って、お年玉を貰い、私と妹はうはうはと浮かれていた。
父が勤務している社長の豪邸に両親が持参したお年賀の贈り物だけ薔薇の絵が描かれた百貨店の包装紙でラッピングされ、いつもよりやけに大きく、両親は社長の奥さんに勧められた座布団に畏まって座っていた。
社長さんの家に伺うと、必ず髙島屋の豪勢なお節料理と北海シマエビの塩茹でが大皿に山盛りで出されるのが恒例であったが、今年の海老は特大のサイズだった。妹は、
「お正月からお節ばっかりで、もう飽きたし。余所の家の料理は気持ち悪いから、お姉ちゃんが美穂の分も食べて」と言い、北海シマエビにだけに手を伸ばした。
子供達が北海シマエビの殻を?いて、頭の味噌をしゃぶって身を食べるのに熱中している間、社長夫妻と両親は神妙な表
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