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【平直行「東方武術見聞録」】その20 グレイシー柔術はなぜ勝てなくなったのか?(後半)

2014/10/31 12:25 投稿

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その20 グレイシー柔術はなぜ勝てなくなったのか?(後半)

カーリーから教えてもらったグレイシー柔術の原則を通して総合での柔術家の闘い方をみると明らかに間違っているのだ。あれでは勝てないだろうし、あれは柔術という名前が同じだけで全く別の格闘技だと感じたりする。


グレイシー柔術で最初にやることは、攻めることではない。まずは安全なポジションに置くこと。ガードポジションになったら安全なガードポジションを作る。相手が殴っても、肘打ちをしてきても、頭突きをしてきても安全に自分を守れるガードポジションを作る。スポーツと違い危険が多いので常に自分を守ることを最優先にしてポジションを作る。ポジションを作ったら相手に攻めさせる。これがグレイシー柔術の秘密なのだ。


普通は相手が怖いから逃げる。それは格闘技を知らない人なら当たり前のことだ。格闘技をやって弱いのは怖いから攻めることなのだ。怖いから何も考えずに力任せに自分から攻撃を出す。それでは格闘技の技を知ってるだけで、使い方を知らない素人と変わらない。


グレイシー柔術は決して膠着しないで相手を動かす。安全なガードポジションを作ったら相手に打撃で攻めさせる。もしも膠着したら守りながら打撃を使う。決してKOを狙わないで嫌がらせのように打撃を使う。安全なガードポジションを保ちつつ打撃を使うのだ。


そうすると相手は攻めてくる。顔は常に守ってボディをわざと空けたりしながら相手の動きを誘う。相手が攻めてきても慌てずに自分をきちんと守る。守りながら常に相手を注意深く観察する。どんな強い相手でもホンの一瞬なら隙が出来る。


常に守りながら相手に攻めさせて一瞬の隙を逃さないように注意深く観察する。そしてやって来た隙を絶対に逃さないで一瞬で技を決める。そのためにどんな状況でもリラックスする。力んでは一瞬のチャンスはすぐどこかに去っていくからだ。


一瞬のチャンスを絶対に逃さない身体の使い方をとことん鍛えて染み込ませる。どんな状況になっても焦らずに自分を守り、落ち着いてチャンスを伺い、やってきた一瞬のチャンスは絶対に逃さない。そのために心身を鍛える。鍛えた心身を技と重ねるために日常の練習をやる。これがカーリー・グレイシーの柔術なのだ。


初期の総合格闘技では相手がガードポジションを知らなかったから、下からガードすれば簡単に勝てた。今ではガードポジションを知らない総合格闘家はいない。だからグレイシーの技は通用しなくなったのか? そうとも言えるし、そうではないとも言える。


僕はこう思う。現在の総合格闘技は寝技に付き合わないスタイルが主流だ。柔術を学ぶことで寝技から脱出する術を覚え、立ち技が強い選手が総合格闘技で活躍する。寝技に付き合わなければグレイシー柔術は通用しないのか? 相手が寝技を嫌って立ち上がるから勝てないのか? それはグレイシー柔術の一部分しか使っていないからだと思う。


自分を守りながら相手を動かすことがグレイシー柔術の原則。寝技で抑えきれない相手を無理に抑えるのは、グレイシー柔術の原則から大きく外れるのだ。相手が寝技から逃げて立とうとするなら、立たせれば良いのだ。僕の妄想で暴走回路が教えてくれる。


 

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