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【谷川貞治の人生のホームレス】 第23回

2013/12/31 07:06 投稿

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1.『続・平謝り』 〜格闘技界を狂わせた大晦日10年史〜

この10年間、格闘技は未曾有の盛り上がりを見せたが、結果的にそれを盛り上げたK-1もPRIDEも崩壊してしまった。そこには様々な原因があるが、良くも悪くも一番の原因は大晦日イベントにあった。テレビ局も含めて当事者の谷川貞治(元K-1イベントプロデューサー)が『平謝り』にも書いていない内幕を綴って、検証する。

●第23回 2008年(前編) DREAM誕生! 家をなくしたのはHERO'Sだった

思えば今年の大晦日、遂にさいたまスーパーアリーナでの格闘技イベントが開催されず、唯一猪木さんのIGFが両国で『イノキ・ボンバイエ』をやるのみとなってしまいました。僕も大晦日に格闘技会場にいないのは、何年ぶりかのこととなります。もちろん、僕の大晦日イベントは、テレビがなくなる2010年で終わっていますが…。

さて、前回は2007年まででした。2007年の大晦日の『やれんのか!』の大成功で、久々のPRIDEスタッフとの合体は、希望に満ち溢れていました。僕は約束どおり、今後FEGが開催する総合格闘技は、加藤君らPRIDEスタッフに任せることにしました。そして、彼らが新たにネーミングしたイベントが「DREAM」でした。彼らはすぐに「リアルエンターテイメント」という新会社を設立し、社長には笹原圭一君が就任。PRIDEでもない、HERO'Sでもない、新しい世界観がスタートを切ったのです。

もっとも、煽りVTRは立木文彦さんナレーションの佐藤大輔が制作。レフェリーは島田裕二、リングアナはケン・グラントさんやレニー・ハートと、PRIDE最強のスタッフが務め、それだけで安心していました。僕はそこで総合格闘技からは一線を引き、主にTBSとのやりとりやスポンサー周りに徹することにしたのです。

しかし、実際はいくら気心の知れた加藤君たちのチームといえども、K-1とPRIDEでは文化が違う。その居心地の悪さを、まず選手たちから感じ始めたのです。言われなくとも、DREAMの最初のコンセプトは「HERO'S vs PRIDE」でスタートしていました。しかし、HERO'S側の人間があまり乗ってこなかったのです。DREAMの初年度のコンセプトは、ライト級とミドル級の王座決定トーナメント。その中で「HERO'S vs PRIDE」を展開しょうとしたのですが、明らかにHERO'S側は乗っていませんでした。しかも、僕はHERO`SからDREAMに移行する過程でほとんど根回しをせず、それをPRIDE側にポンと手渡してしまったため、HERO'Sの選手は寂しかったでしょう。やがて、彼らは次々と「UFCへの参戦」の道を選んでいくことになっていったのです。

選手に実際に何か文句を言われたことはありません。しかし、当時、山本KIDのマネージメントをしていたフィールズの山本英俊会長に「選手はこれまでずっと谷川さんと直接やってきたんでしょ? それなのに、その谷川さんが『俺は好きな人ができたから、あいつとうまくやっていけ』と言われたら、選手は失恋気分で旅に出ますよ。やがて、みんな失恋旅行に行きたがると思うな」と言われたことがありました。その時は「いやいや僕もちゃんとやりますから」と言ってはいたものの、うまいことを言うなとズキンとしました。その山本会長の言葉はやがて的中し、KID君も、秋山君も、宇野君もUFCに旅立っていきました。桜庭選手や田村選手、ミノワマンのような元々PRIDEのスタッフと一緒に歩んできた選手は別として、HERO'Sの時に活躍した選手で「俺はDREAMでも骨を埋めるぞ」と覚悟を決めていたのは、意外にも所君だけ。あとは、徐々に力をつけて芽が出てきた宮田君と高谷君くらいでしょう。UFCにいかなくとも、船木選手、大山選手、金泰泳と、他の選手もみんな自然と消えていったのです。

 

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