↑このツイートも見て『かみぷろ』はビビビときました。
これは一刻も早くターザン山本にイケダハヤトとプロレス談義をしてもらわねば!
というわけでこの対談が実現しました。
ターザン「彼が言ってるのは、ひと言で言うと、団塊の世代、父親の世代はくだらないってことですよ」
山口 イケダさんはいまいくつでしたっけ?
イケダ 27歳です。
山本 僕が67歳だから、ちょうど40歳違い。オーバー・ザ・ジェネレーションですよ!
山口 お互いよく知らないと思うんですけど。二人に共通するキーワードが“炎上”。
ターザン山本といえば、『週刊プロレス』の編集長で、毎週、公称40万部以上も売って、専門誌ながら一般の週刊誌と肩を並べてたんですね。
山本 俺のことは“元祖・炎上”と言って欲しいね。俺がいちばん最初に世の中に“炎上”という言葉を出したわけよ。
まあ、その前に三島由紀夫の『金閣寺』の中に“炎上”という言葉があったけど。
山口 だから、山本さんは“昭和の炎上王”!
その炎上というのは、いまのイケダさんたちの世代の炎上とはちょっと違って、読者や関係者や選手たちを遠心力を持たせた上で、みんな巻き込んで事件を増幅、炎上させて注目されるように持っていく。
山本 それは“求心力“と言って欲しいね。
山口 あ、求心力ね。すいません、間違えました(笑)。
さらにいえば、求心力と遠心力の両方を働かせた上で炎上させるという手法ですよね。
山本 それははっきり言うと「アジテーションを絡めながらバカをする」ということ。
バカを共有して娯楽にしてお互い楽しもうという発想だよね。
山口 “共犯関係”というやつですよね。いまのイケダさんたちの炎上というのは、何か問題提起をツイートします。問題提起をブログで書きます。
すると物凄い批判を浴びるわけです。矢面に立たされる。イケダさんは“平成の炎上王子”なわけですよ。
イケダ そう呼ばれたことないですけど(笑)。
山口 だから今日は「戦場にかける橋」ならぬ、世代を超えた「炎上にかける橋」というわけです。
柳沢 イケダさんが面白いのは、天然でボソッとつぶやいたことが、みんなに「え!?」と思われて叩かれたり、その叩かれたことに対してそこに油を注ぐようなことをわざと書いたり。そのバランスが凄く面白いんです。
山口 戦略的なところと、天然なところが二つある。
山本 いや僕いま初めて会ってさ、思ったよ。
この人は、凄く上品な人ですよ。この世代でいちばん上品な人に会ったねえ。
柳沢 ちなみに山本さんはこの世代でいちばん下品な人間です(笑)。
山本 会った瞬間に精神が濾過されたというかさ。清められた。
いままで僕が会ってきた若い人、シンジロー君とか、いるじゃない。
山口 誰?、シンジロー君て?
山本 ナンパ師の友達とかね。とにかく俺はいろんな若い人たちに会うんだよね。
みんなそれなりに純なところがあるんだけれど、イケダさんは素のまんまだね。素のまんまの上品さ。
この人を攻撃してる人たちは、この人の上品さを見て、逆にスイッチが入ってしまうんじゃないの? だから、イケダさんを攻めてるんじゃなしに、みんな自分を攻めてるんだよ。
ウワ〜ッと攻めてるんだけど、結局、自分が攻められてるような感じになって、余計にイケダさんを攻めるという構造になってるわけよ。
イケダ さすが、いきなりめちゃくちゃいいことをおっしゃいますね。
山口 いやいや、このオヤジが言うことに簡単に騙されちゃダメだよ(笑)。
イケダ いや、すごく本質的なことをいきなりおっしゃって、素晴らしい。
確かにそういう構造になってる気がします。
山本 そういうことですよ! イケダさんが一つの鏡になり過ぎてる。
鏡を見た瞬間に自分が映るじゃない。その自分に対しての感情が逆転してイケダさんを攻撃するという。鏡に対する攻撃だね。
自分の汚れてる部分、濁ってる部分、穢れている部分があるじゃない。
それがイケダさんという鏡を通して全部、見えてくるから、カ〜ッとなって攻撃せざるを得ないみたいな必死さでみんなが向かって来るわけです。
イケダ 凄〜い。
山口 山本さんの声がデカ過ぎて、イケダさんの声がまったく聞こえてこない(笑)。
山本 声の大きさというのは重要だよね。圧力として。
山口 圧力として!(笑)。
山本 僕は炎上圧力だから。
山口 何が(笑)。そういう圧力を、イケダさんは見事にスカしてるわけですよ。
山本さんに対しても、ツイッターの攻撃に対しても。
山本 よくプロレスで技を吸収する能力ってあるじゃない。かけられた技をみな吸収してしまう。
そうすると技をかけた側がマヌケな気分になるという、ああいう感じだよね、イケダさんは。
山口 山本さんはイケダさんから40歳離れたいわゆる団塊の世代ですけど。
イケダさんから見てこの世代というのはどういうイメージですか?
イケダ 僕の父はいま58歳なので、団塊の世代の少し下の近い世代ですけど。みんな仕事人間ですよね。
父は自分で会社を経営してた側なので、一般的な仕事人間とは少し違ってたと思いますけど。
仕事中毒みたいな感じであまり家にいないし、親父がほとんど家にいないと当然、母もいい気分がしないわけで。家庭の中もそんなに仲良くないわけですよね。
山本 それは一つの理屈なんだよね。彼が言ってるのは、ひと言で言うと、団塊の世代、父親の世代はくだらないってことですよ!
いま言ったことはお父さんお母さんを立てて、ちょっとやさしい言い方をしてるけど。
根っこの部分では「超くだらない!」と言ってるわけですよ。
イケダ はい、はい、はい。
山本 団塊の世代も父親の世代も超くだらなくて、でも俺だけが例外的にくだらなくないわけですよ!
イケダ 素晴らしいですね。いやあ、凄いなあ。
山本 俺だけが別格なわけですよ!
柳沢 俺だけが別格(笑)。
山本 あとは全部、くだらないわけですよ。全部、くだらないことを、ストレートに言うパワーが若い人たちにはないし、そういう言語感覚に若い人たちは慣れてないわけですよ。
本当は若い人たちも「父親の世代なんか超くだらない!」とボロカスに言いたいわけですよ。
山口 どうですか、この言語感覚は?
イケダ まさに全部、ひっぺがされたという感じがしますね。本当にすべておっしゃる通りだと思います。
山本 父親の世代を“仕事人間”という柔らかい言い方をしたけど。
“仕事人間”というのは、要するに人生を仕事に逃げてるわけですよ、自分を騙して。
山口 「俺だけは違うけど」?(笑)。
山本 俺は自分を騙してませんもん!
山口 イケダさんのお父さんも自分を騙してるとは限らないでしょ(笑)。
山本 男というのは、仕事があることで社会的存在が確立するじゃない。
そこへ逃げ込んで行って、実は自分の人生をごまかしてるわけですよ。
山口 イケダさんのお父さんはそうでしたか?
イケダ 僕の感覚からすると、仕事に逃げてる感じはありましたね。だから、いまの指摘は的確ですよ。
山口 あ、的確なんだ(笑)。
イケダ すごい的確です。
山本 男なんてみんな仕事に逃げてますよ、そんなもん。
山口 この人は奥さんに逃げられたんですけどね、しかも二度も(笑)。
山本 俺は奥さんに逃げられたんじゃない、裏切られたんですよ!
裏切られた男と言って欲しいなあ。
柳沢 なんでだ(笑)。
山本 だって逃げられた男より裏切られた男の方がエリートだもん。
柳沢 裏切られた方がエリート!(笑)。
山本 裏切られるヤツはバカですよ!
要するに、逃げられると裏切られるだったら、裏切られる方がヒエラルキーが上、格上ですよ!
山口 だからなんでだ!(笑)。いまヒエラルキーとか格上という言葉がでましたけど。
イケダさんたちの世代はいかにヒエラルキーや格をなくしていくか、ということを真面目にやろうとしてるように見えますよね。
イケダ そう認識できるでしょうね。上下関係とか嫌いですし、上から目線というのも僕はすごい嫌いですし。
僕に限らずそういうものから逃れようとしてる人、フラットな関係性の中で新しい空間を作ろうとしてる人は多いですね。
山本 僕らは昭和時代の人間なので、常に上下関係の中で鍛えられたり揉まれたりして生きてきた。
イケダさんたちの世代は、ひたすら横の関係の中で安住していくというか。価値観がまったく違うよね。
山口 彼のそういう価値観は山本さんにはどう見えるんですか?
山本 透明感があるよね。
山口 透明感?
山本 若い人たちを見てると、透明感へのこだわりというのがすごくあるよね。
俺たちは濁ってることとか、俗っぽいこととか、えげつないことだとか、野心だとか、出世するとか、そういう諸々の社会的な雑多な欲望が染みついてるじゃない。
そういう人を見てきたし、自分たちもそうだったし。
要するに、汲み取り式トイレで育った世代と水洗トイレで育った世代の違いみたいなもんですよ。その違いはデカイですよ。
山口 どういう例えだ!(笑)。
山本 汲み取り式トイレでウンチをするとポタンと落ちてそこに溜まってるわけじゃない。
それを常に見てるのと、水洗トイレでパッと流してきれいになるのと。そこに決定的な違いがあるもんねえ。
つまり、キーワードはトイレですよ!
柳沢 世代の違いのキーワードはトイレ(笑)。
山本 トイレは重要だよねぇ、うん。若い人たちには清潔思想があるじゃない。
山口 ああ、それはありますね。
山本 我々はちょっと汚れていて雑菌があった方がいいみたいな。
昔だったら道端にアメが落ちていて、それをナメても別に病気にならないとか。
柳沢 我々は免疫思想ですね。
ターザン「いまの20代の男性をひと言で言うと、気の毒だよねえ」
山口 イケダさんは、山本さんのような年齢の人と向き合って話したことはありますか?
イケダ 対談という形ではないですね。パネルディスカッションみたいな場ではありますけど。
60代の人とこうやって話す機会はほとんどないです。
それは僕に限らず、若い人たちが40歳離れてる人と話す機会ってほとんどないと思いますよ。
柳沢 まあ、そういう企画をやるウチが変わってるんですけどね(笑)。
山本 僕は声が大きいので、イケダさんに圧力をかけてるように見えるかもしれないけど、僕は平等思想なんですよ。
若者と同じ立場に立つことが嬉しいわけで。
山口 山本さんは20代の男性をどういうイメージで見てるんですか?
山本 う〜ん……。言いにくいねえ、いろいろ。
山口 遠慮すっこたぁねえよ!
山本 いまの20代の男性をひと言で言うと、気の毒だよねえ。
山口 気の毒!
イケダ それは興味深いですね。
山本 僕らは暴れることが許されてた時代に生きてきたじゃない。
いまの若い人たちはまず暴れることができないもんね。
イケダ なるほど。
山本 格闘技用語で言うと、いまの若い人たちは人生そのものが“寸止め“だよね。
本来、若者は、みんな何かデカいことをやってやろうという本能があるわけじゃない。
その本能に対して、若い人たちは寸止めしようとしてる。
寸止めでも高度な寸止めだったらいいんだけれども、非常に初歩的な寸止めだよね。
イケダ 何でいまの若い人たちは寸止めしちゃうと思いますか?
山本 人間関係のコミュニケーションというのは、お互いに傷つけ合う関係なんだよね。
自分の言葉を持って、相手も言葉を持って、お互いの感性も生き方も宗教観も美意識も育ってきた環境もみんな違うから、コミュニケーションを深めていくとどうしてもそういう違いがわかってくるじゃない。
ある人を好きになって、そういう違いを調整しようとするんだけれども、それでもちょっとした価値観の違いでショックを受けたり、挫折したり、傷ついたりするもんだけれども。
いまの若い人たちは人間関係の中で傷つきたくないし、傷ついた時にどう修復するかというキーワードも持ってない。
そういうところでいつも引いちゃうというか、怖がってる、コミュニケーションを。
イケダ まったく僕もそう思いますね。他人に迷惑をかけることをすごく怖がっていたりしますよ。
人間って他人に迷惑をかけて生きるものなのですけど。
山本 僕なんかみんなに大迷惑をかけますよ!
山口 どんな自慢だ(笑)。
イケダ いやでも、それは凄いことだなと思いますよ。
僕たちの世代でそんなこと言ったら、めちゃくちゃ叩かれますよ。
山口 迷惑自慢とか絶対にしなさそうだよね。
イケダ 「俺はみんなに大迷惑をかけて生きている!」なんて自慢は絶対にできないと思います。
山本 自己表現するということは、世の中とか世間に対して余計なことをしてるわけですよ。
自己表現するということは、既成の価値観をひっくり返そうとしてるわけじゃない。新しい幸福感に持っていこうとしてるんだよね。
世間からしたらまったく余計なことなんだよね。
でも、いまの若い人たちは余計なことをするのが怖いと、傷つくと、孤立すると。孤立することがまた怖いわけよ。
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