第10回 あなたは暴走するキャリーバッグを蔑ろにしていないか?
「若者の車離れ」という話を耳にするようになってどれくらい経ったろうか。原因として、「維持費がかかる」「不景気ゆえに給料があがらず、生活に余裕がない」といった買い手の問題と、「魅力的な車がない」という売り手の問題、二つの問題があるという話である。解決には、不景気からの脱出と魅力ある車の生産が必要だと聞く。
しかし、二つの問題の狭間にある「車を運転したい」というエモーションの問題が軽視、いや、蔑ろにされているのではないか、と私は思うのだ。ひとことでいえば人間の感情の問題である。
人類が車というツールを持つことで獲得した「運転したい」というエモーションはそう簡単に消えるものではないのではないか。私がなぜ、突然、このようなことを言い出したかと申し上げますと、「運転したい」というエモーションが暴走しているからである。
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