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【谷川貞治の人生のホームレス】 第2回

2013/06/10 00:11 投稿

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  • 谷川貞治の人生のホームレス
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1.『続・平謝り』 〜格闘技界を狂わせた大晦日10年史〜

この10年間、格闘技は未曾有の盛り上がりを見せたが、結果的にそれを盛り上げたK-1もPRIDEも崩壊してしまった。そこには様々な原因があるが、良くも悪くも一番の原因は大晦日イベントにあった。テレビ局も含めて当事者の谷川貞治(元K-1イベントプロデューサー)が『平謝り』にも書いていない内幕を綴って、検証する。

●第2回 2001年(中編) 『奇跡!』

2001年12月31日、地上波のゴールデンタイム、しかもあの紅白歌合戦の裏番組で格闘技中継をやるというムードは、すでに夏頃から湧き上がっていました。しかも、当時はTBSだけでなく、日本テレビにも色気があったのです。

前回お話ししたように、この2局ではK-1も、PRIDEをやるのも不可能。そこで第3極の『イノキ・ボンバイエ』が生まれたのですが、リアルファイトの実力が読めないプロレスラーと、寝技ができないK-1ファイターが総合の試合を闘って面白いのか? 試合は成立するのか? 全く読めないものでした。そこで実験的にその年の8月、日テレのK-1ジャパンの第2部で「猪木軍vsK-1 / 3対3マッチ」を行ったのです。

まず、猪木軍のエースとしては、藤田和之に期待しました。

というのも、PRIDEで体験したように、小川直也はコントロールできなかったからです。藤田はすでにPRIDEでも実績があり、ここは信頼がある。あとは、この藤田を筆頭にいかに猪木色の強いプロレスラーを集められるか、ということになります。それはそれで厄介なことですが、百瀬博教さんが猪木さんを上手くコントロールして、藤田だけでなく、石澤常光、安田忠夫、永田裕司…と、レスリング、相撲出身のプロレスラーが猪木軍には控えており、いろんなことがやれると踏んでいました。

問題はK-1軍の方です。日本の格闘技界は特別な事情もあり、「プロレス」というジャンルから格闘技に発展してきた経緯がありますが、海外ではまずそれが理解できない。なぜ「高田vsヒクソン」であり、「船木vsヒクソン」で客が集まるのか? なぜK-1の頂点を目指してきたのに、不利な違うルールの試合に出なければならないのか? その常識を覆すことはまず不可能だったのです。そりゃあ、そうでしょうね。

もちろん、人材豊富なK-1ファイターとはいえ、MMAに向いてない選手もいます。アーネスト・ホーストやピーター・アーツ、レミー・ボンヤスキーといった完成されたキックボクサーは典型的に向いていない例。アンディ・フグが生きていたら、向いていたと思うけど、マイク・ベルナルドも向いてるタイプじゃない。フィリォなんか一番向いているタイプですが、極真は組織としての方向性があるので、そこは自主性に任せるしかない。そんな中、僕らが目をつけていたのは、ミルコ・クロコップとジェロム・レ・バンナ、レイ・セフォーといったあたりでした。

もちろん、この中ではジェロムが一番メジャーですが、いきなりK-1グランプリの優勝戦線にいるジェロムを出すには、本人の問題もあるし、フジテレビも黙っていないでしょう。そこで、まず白羽の矢を立てたのがミルコでした。

アンディ亡き後、僕は次のK-1のエースはミルコじゃないかと考えていました。ハイキックという武器は魅力的だし、雰囲気も、カリスマ性も持っている。しかし、当時のミルコはまだトップ戦線の少し下におり、いまいちブレイクしていませんでした。そういう位置にいたこともあって、まずミルコに賭けることにしたのです。

ミルコをどうやって口説いたかというと、

 

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