いまの日本では、橋下徹自身が強烈な「父性」だよね。やってること全部いちいちが。
山本 (山口&柳沢を前に)懐かしいねえ、この感じ。バック・トゥー・ザ・フューチャーだなあ。
柳沢 山本さん、今日は橋下徹について定義してもらいますよ!
山本 この前、打ち合わせで柳沢さんから橋下徹の話を聞いた時に、「父性」というキーワードが出て謎が解けたよ。「なんで橋下徹は石原慎太郎と組んだか?」というのは、この前の総選挙で最大の謎だよね。
柳沢 それが「橋下徹とは何か?」の直近のテーマになりますね。第三極というのは、半年前だったらむちゃくちゃ盛り上がってたのに。石原慎太郎と組んだことで、それがかなり萎みましたよね。
山本 橋下徹人気というのはもともと大阪限定なんじゃないの? 国政となると話は違ってくるよね。
柳沢 東京が地盤の石原慎太郎と組んだ、もちろんその意味もあると思うんですよ。でも、多くの人は東京を中心とした関東の票を気にするなら、みんなの党と組んだ方が良かったんじゃないかと思ってた。
山本 そっちの方が整合性があるもんね。
柳沢 当初はそういう動きになりそうだったのが、急転直下で石原慎太郎と組んじゃった。おそらく周りの反対を押し切って。
山本 周りのみんなが反対だったでしょ。
柳沢 でしょうね。それで一気に第三極の熱が覚めたというか。「なんで太陽の党のあんな爺さんたちと組まなきゃいけないの?」ってことになっちゃった。
山本 それが大きな矛盾として見えたよね。
柳沢 その矛盾というか、違和感を逆手に取ってプラスに持っていけるんじゃないかという、計算とか覚悟が橋下徹自身にあったと思うんだけど。
でも、結果的には全然そんなことにはならなかった。それぐらい石原慎太郎というキャラクターは強烈で、とても橋下徹の手の平で踊るようなタマじゃなかった。
山本 石原慎太郎はどこまで行っても石原慎太郎ですよ。
柳沢 その二人が敢えてくっついたのが面白いテーマだなと。
山本 それを政治的なレベルでは語れないということだね。
柳沢 ええ。そこで一つの推論として、「橋下徹にとって石原慎太郎というのは強烈な“父性”なんじゃないのか?」と。「父性」というものを橋下徹は探し続けていたんじゃないかなと。佐野眞一が「DNAで本性を暴く」と書いてたけど。もしかして、まったく違う意味でその“業”が出てしまったんじゃないかと。
山本 彼は実の父親を見たことはあるの?
柳沢 「ほとんど記憶にない」みたいですよね。ずっと「父性」を探し続けてたから、石原慎太郎が目の前に現れた時にパクッと食いついちゃったという見方もできる。だって政治的ロジックを超えた判断だとしか思えないですよね。
山本 政治的ロジックで解釈はできないな。
柳沢 橋下徹が求めた「父性」って何なのか?
山本 まず、いまの日本では、橋下徹自身が強烈な「父性」だよね。やってること全部いちいちが。
山口 確かに突出した「父性」を見せつけてますよね。これまでの日本はぼんやりとした母性に包まれてた時代だから。
山本 それはいまの若者たちを見たらわかるよね。
山口 国民に対しては思い切り「父性」を発揮してる橋下徹が、どうして石原慎太郎に「父性」を求めるのか? それを山本さんに定義して欲しいんです。
山本 定義するけど。いまから話すことはみんな屁理屈だよ。
山口 いまさら! 俺たちずっと山本さんから屁理屈以外聞いたことないですから(笑)。
柳沢 まるでいまから初めて屁理屈を言うみたいな口調だったんでビックリしたよ(笑)。
山口 活字というのは、理屈も含めた屁理屈で成り立ってる世界でもありますからね。その屁理屈にいまの人たちは正論で突っ込んでくるんですよ。「一億総ツッコミ時代」とも言われてますけど。
山本 俺なんかツッコまれ通しだよ! Twitterで毎日、毎日、「タマキン」ってツイートしてたんだけど。下品だからやめたんだよね。
そしたら谷川や柳沢さんが「タマキン」がないと寂しいと言うからまた始めたんだよ。そしたら驚いたねえ。3500人以上いたフォロワーの数が急降下していくわけよ。
3560、3550、3540ときてすぐに3500人を切ったんだよね。俺はTwitterのフォロワーの数なんて気にしないよ。0になってもかまわないんだけど。よっぽど「タマキン」が受けてないんだなあということがわかって。最終的に3487人まで落ちたんだよ。
山口 やけに数字が正確だな。
山本 そのことをある人に言ったら、「タマキン」「タマキン」って書くと、みんながムカッと来るから、他にもいろいろ書いてたまに「タマキン」って書けばいいんだよと教えられて、それは正しいなと思って、いま昼間は「タマキン」をやめたんだよ。
山口 あ、お日さまの高いうちは「タマキン」を封印。
山本 ところが昼間やめると、やっぱり昼間の「タマキン」もいいなあと思っちゃうのよ。「タマキン」を書いてないとなんか嘘っぽくて、媚びてるようで。こっちはますます「タマキン」のことが好きになってしまうんだねえ。
柳沢 ぷぷぷぷっ!
山口 武満徹さんという音楽家は、「真夜中にこそ真実がある」と言ったけど、山本さんは「タマキンにこそ真実がある」。
山本 そうそうそうそう。でもさ、実際に一度、「タマキン」をやめたら、フォロワーがどんどん回復したんだよね。ある人から、女性や若い人は「タマキン」は嫌ですよと言われて。ああ、いまの若い人にはウケないのか、そりゃそうだなと思って。
山口 いまの若者は去勢された時代を正当化してというか、受け止めて生きてますからね。「タマキン」「タマキン」ってストレートに言ったらそりゃ嫌われますよ。
柳沢 それこそ強烈な「父性」だ(笑)。
有り余る精子をぶちまけることが彼の「父性」の最大の原理なわけですよ。
山本 『聖書』に「男の肋骨の一部から女が誕生した」と書かれているらしいんだよ。要するに『聖書』は女性差別なわけよ。男性優位であると。
でも、これは大間違いで本当は反対なわけね。女性の方があらゆる面において断然上で、でもそれを隠すために男は政治的権力を握って社会を作ったりして。
そこで威張って女性に勝とうとしてきたのが歴史なわけですよ。僕が思うに、人間が子孫を残すために、神様が男性と女性をどう作ったかというと、女性が100分の99で、男性は100分の1なんだよ。
だから、女性からすると、あと100分の1が揃えば完璧な完成品になるわけですよ。俺たち男はその100分の1でしかないの。その100分の1が何かと言ったら、精子ですよ。
ということは、無条件で、無意味に、ヤケクソで、精子をぶちまける! ここに男の存在の意義があるわけですよ!!
柳沢 山本さん、いい感じになってきましたよ(笑)。
山本 橋下徹は、よく記者会見で新聞記者をやり込めたりしてるでしょ。俺にはあれが精子をぶちまけてるようにしか見えないんだよね。いちいち自分の精子を相手の顔にぶちまけてる!
山口 顔射!(笑)
山本 そう、彼は顔射野郎ですよ!
山口 そうかあ、MBSの女性記者も顔射されたわけか。
山本 『週刊朝日』の問題で朝日新聞に噛みついたのも顔射ですよ! ああやって有り余る精子をぶちまけることが彼の「父性」の最大の原理なわけですよ。
山口 なるほど。それで7人も子供がいる謎が解けた。
山本 この少子化のいまの日本で7人も子供がいるって国民栄誉賞もんでしょ。彼は精子をまき散らす男として存在してるわけですよ。
それが快感になってるから、自分を攻撃してくる者がいると精子をぶちまけていくんですよ。それが「父性」ですよ。
いまの若い男が「母性」に包まれてるというのは、精子をまき散らす精神がないわけですよ。つまり、洋式トイレに座っておしっこをするようなもんだね。男性用の便器で周りに飛び散るのも気にしない、そういう「父性」がないわけですよ。
山口 どういう「父性」だ(笑)。
山本 便器の外におしっこを飛び散らかしてしまう、そのダメさかげんが「父性」ですよ! そのおしっこは「タマキン」から出てるんだけどねえ。
山口 なるほど。さっきのTwitterの「タマキン」話もここに繋がってくるわけですね。
山本 彼が記者会見やTwitterで相手を攻撃してる時は、言葉を発射してるわけじゃないんですよ。あれは顔射の速射砲ですよ!
柳沢 顔射の速射砲!(笑)。
山本 そういう「父性」を、認めたくないとか、恥ずかしいとか、礼儀正しくないとか、道徳的じゃないとか思ってる人は、みんな女性の100分の99に取り込まれて、その中の心地いい世界で生きていくわけですよ。
女性の場合は卵子が動かない形で子宮の中に閉じこもってひたすら待ってるわけじゃない。精子はとにかく飛び出さなきゃいけないわけですよ。
とにかく発射してどこかに行かなきゃ行けない。このあり方が男そのものじゃない。放浪してるというか、彷徨ってるというか、フラフラしてるというか。俺そのものですよ!
柳沢 精子は「俺そのもの」(笑)。
山本 しかも、この精子は発射する時、数が何億といるわけですよ。数が何億もいるということは、男からすると自分のアイデンティティーを「これだ!」と決められないわけですよ。そうするとぶちまけるしかないんですよ!
山口 精子をぶちまけることでしか自分のアイデンティティーを証明する術がないわけですね。
山本 「俺はこうである」というアイデンティティーが何億分の1でしかないわけよ。そしたら、「どんどん発射するからどこにでも行ってしまえ!」となるわけですよ。
100分の1の存在である男は、100分99の女性に勝つために、膨大なエネルギーと能力と才能を使ってきたんだよね。ということは、橋下徹がやってることはすごく正しいというか、男として神に近い存在だね。
柳沢 顔射野郎が神に近い存在(笑)。
「この俺はこんなに強いんだから、俺の父親はもっと強いはずだ」と思うわけよ。。
山本 例えば、橋下徹が香山リカさんと論戦したりするじゃない。あれは香山さんに顔射してるわけね。いろいろ理屈を言ってても、根っこは顔射。
山口 橋下ロジックの根っこは顔射! そこが生理的に嫌われることも多い理由なのかな(笑)。
山本 そのことを本能的に香山さんはわかってるわけですよ。それは香山さんは怒りますよ。
山口 なにせいまは「便器の外にぶちまけるぐらいなら、座っておしっこしなさい」という世の中ですからね。
山本 そう。便器の外にぶちまけるなと。座ってきちんとやりなさいと。それは女性がやってることじゃない。それと同じことをやってる男は「父性」を引っ込めて、100分の99の母性に取り込まれてしまってるわけですよ。
柳沢 そうか、わかった。橋下徹は男としてここまで連戦連勝でしょ。それで100分の1の男が、100分の99の万能感を得るまで上り詰めたと。完璧まであと少し。その足りない100分の1が石原慎太郎なんだ。
山本 そうそう。もともと「父性」にもいろいろあって。自分は弱者であって、自分の父親は強者である。これに対する憧れが普通の「父性」だよね。 ところが、橋下徹は例外的にとんでもない強者なわけですよ。そしたら、どうなるかというと、「この俺はこんなに強いんだから、俺の父親はもっと強いはずだ」と思うわけよ。 だから、彼の幻想の中で父親というものは、天文学的親父になってしまってるわけです。
柳沢 天文学的親父!(笑)。
山本 そう思わないと彼はやりきれないわけですよ。だから、そこに巨大なパノラマ的な虚構ができ上がってしまったわけです。 それをなんとか現実のものにしようとした時は、あのややこしい暴走老人の石原慎太郎しか合わなかったわけよ。それが今日の問いに対する俺の答えなんだけどね。
山口 まったくもって下品だけど、素晴らしい!
柳沢 山本さん、まだまだいけますよ。我々にとって山本さんはとんでもない「父性」だ。どこまでぶちまければ気が済むんだ(笑)。
山口 暴走しか知らない老人!(笑)。
山本 こう考えたら橋下徹と石原慎太郎の関係は納得できたんだよね。
山口 石原慎太郎もまた、ぶちまける世界観ですよね。
柳沢 中国人にまで顔射しまくり(笑)。
山口 もともと障子をそそり立った男根で突き破る小説で世に出た人ですからね(笑)。
山本 『太陽の季節』ね。じゃあ、ますます俺の定義は合ってるんじゃない?
山口 下品は下品なりに整合性はあるんだなあ(笑)。
山本 「橋下徹とは何か?」と聞かれて、彼のやり方や行動を「あれは精子をばらまいてるんだ」と捉えたら全部わかったんだよね。 政治的に言ってる内容とかそんなものはどうでもいいわけです。石原慎太郎だって同じでしょ。だから、あの二人は「顔射同盟」ですよ。
柳沢 まさに「たちあがれ日本!」だった(笑)。
山口 あ、お見事!(笑)。
柳沢 「みんなの党」とか言ってる場合じゃない。
山本 「みんなの党」と言ってる時点で、その他大勢の集まりじゃない。仲良しこよしの。だから、あれは「母性」的論理だよね。それじゃダメよ。
柳沢 だから橋下徹は「みんなの党」を拒否して、ぶちまけ親父の「たちあがれ日本」と手を組んだと。こんな見事な政治談義はいままで他にあったでしょうか?(笑)。
山本 やっぱり男は「タマキン」だったねえ。
柳沢 しかしやっぱり、今日は橋下徹だけでなく「かみぷろ」の業も感じたなあ(笑)。もっと若者や女性にアンテナを張って、時代に食らいついていくオンライン・メディアにしていきたいのに、この下品で時代遅れな暴走老人を求めてしまう不可解さ!
山口 まさに業!
山本 もういい? さいならー。
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