[MM日本国の研究781]「127年前のテレビとインターネット時代の予言」
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2014年01月23日発行 第0781号 特別
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■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
■■■ 編集長 猪瀬直樹
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「127年前のテレビとインターネット時代の予言」
アルベール・ロビダという人物、いったい何者なのだろうか。
1977年にロンドンで発行された『SF百科図鑑』(ブライアン・アッシュ編)
には、こう紹介されている。
「ロビダは『二十世紀』と題した一連の画集で多くの未来風イラストレーショ
ンを描いており、未来の兵器や発明品の描写によって、SFアートの眺望的で
予言的な要素を幅広く先取りしていた」
この謎の男は、そのころ日本でも注目されていた。明治20年(1887年)に春
陽堂から『社会進化 世界未来記』として翻訳本が出ており、著者名は「仏国、
アー・ロビダ」で「原名、第二十世紀」と中扉に記されている。
彼はイラストレーターであると同時に小説家だったことがわかる。テレビが
登場する部分を引こう。ちょっと唸らせるところがある。
「巴里(パリ)のわが家に座して竜動(ロンドン)の演劇を覗き、千里以外の
その人と談笑面語自在、この機械は観聞器(かんぶんき)と呼ぶものにして、
観聞会社なるものあり。蜘蛛網(くもあみ)のごとく線を張りて天下至るとこ
ろに通ず。これが使用を望む人は、僅少の価(あたい)もて枝線をその家に通
じ、心に任せて使用せしむ。例えば甲より乙に通じたしと会社に言い送れば、
会社は双方の線を繋ぎ合わせ、その人や室、衣装は玻璃鏡(はりきょう)の面
に現映し、またその音声、用談、双方の耳朶(じだ)に達すること、ただに大
都会のみならず村落、僻地、卒土(そつと)の浜にいたるまで線路の通ぜざる
所なく、支店の設けあらざる所なければ旅行の者は別離の愁嘆なく、恋する人
は朝夕見得(まみえ)て、天下の事物みなこの一室に集まり……」
パリの自宅でロンドンの演劇をみる機械は「観聞器」と命名されていた。
「観聞会社」はテレビ局だ。支局も考えられている。「恋する人」にはテレビ
電話も用意されている。
こうした未来予測は、ことテレビに関しては、『月世界旅行』『海底二万里』
『八十日間世界一周』『十五少年漂流記』を著し、SFの祖と讃えられている
ジュール・ヴェルヌより、忘れられたロビダのほうが格段に優れている。
<猪瀬直樹著『欲望のメディア』(1990年刊。現在、小学館文庫)より。引用
は文庫版P48>
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