猪瀬直樹ブログ

[MM日本国の研究863]「警備業を認知させた『ザ・ガードマン』」

2015/09/17 15:00 投稿

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⌘                    2015年09月17日発行 第0863号
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
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 「東京五輪の選手村警備で名をあげた日本警備保障(現セコム)は帝国ホテ
ルの警備の受注に成功した。大映のテレビ映画部門の女性プロデューサーはホ
テルの玄関に颯爽と立つスーツ姿の民間警備員の姿を見て、その後6年9カ月
つづくことになる大ヒットドラマの着想を得る……」

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「警備業を認知させた『ザ・ガードマン』」

 テレビ界には高視聴率シリーズをつづけた実績がある名プロデューサーがい
る。山口百恵主演の「赤い疑惑」「赤い衝撃」「赤い絆」など「赤いシリーズ」
は1970年代後半かなりに話題になった。三浦友和との共演が結婚へと結び
ついたからである。

 プロデューサー野添和子は、映画会社の大映にテレビ映画制作セクションが
あり、そこに所属していた。映像コンテンツ市場が、映画からテレビに移りは
じめたころだった。大映が倒産すると制作会社大映テレビとして残った。野添
和子の双子の妹が女優野添ひとみである。プロデューサーと女優と別の道を歩
んでいるが仕事の舞台は同じテレビである。

「赤いシリーズ」より10年前、プロデューサー野添和子はまだ30代、走ってい
る車のなかから帝国ホテルが見えた。
「ホテルの玄関にすらりとした素敵な男性が二人、すっくと立っているさまが
いいのよ。背広にネクタイがまたピシッときまっていてね」

 いまも鮮明に記憶しているのだ。
 同乗の野添ひとみとこんな会話をしている。

「あの人、何かしら?」
「守衛さんみたいな人のようね」
「でもふつうの守衛さんとはイメージが全然違うよね。どんな人たちなのかし
ら」

 東京五輪が成功裏に終わりかけていたころ、野添和子は、翌年4月からのド
ラマの新番組の企画で頭を悩ませていた。スポンサーがサントリーだった。サ
ントリーの広告は粋でモダンで……、と思われている。番組の中身もそうでな
いと企画は通らない。

「彼らは何者なのか」を質問するためにあらためて帝国ホテルに行って訊ねた。
そこで日本警備保障という会社の存在を知った。自分の知らない間に新しい職
業が生まれていることに興味を抱いた。いきなり日本警備保障に取材を申し込
んでは断られるかもしれないと考え、帝国ホテルを通し面会の希望を伝えた。
ビルの屋上の脇の狭いオフィスでなく、そのころすでに神田神保町の大通り沿
いのビルの一室へ移転していた。見栄えが格段によくなったオフィスに野添和
子が訪ねたのである。

「そこにいた二人がまた立派でタフな感じで、品もいいしねえ」

 飯田亮と戸田寿一は、たしかに若い二枚目の俳優のような印象を与える。野
添には新しいドラマのイメージがふくらんだ。

 ちっぽけな日本警備保障が、日本を代表する一流ホテルである帝国ホテルの
警備の仕事がとれたのは、オリンピック選手村の警備によって箔がついたから
だった。オリンピックは10月24日で終わる、期限付きの仕事だった。終わった
とたん、100人に膨らんだ警務士の給料を払えなくなってしまう。飯田にと
っての心配の種は東京五輪後にあった。

 営業に駆け回ったが、新規契約に際しては「警備開始の準備が必要なため10
月25日からになります」と了解を取って歩いた。

 帝国ホテルのほかにデパートの有楽町そごうの契約が取れた。「いま選手村
の警備をやっています」は切り札だったが、実際に相手側がその気になって契
約取得に成功したのは大会閉幕後、国民的熱狂の五輪の警備を無事に終えてか
らであった。

 帝国ホテルの犬丸徹三社長から「ちょっと見に来ないか」と電話が入った。
夕方、暗くなりかけていた。

「灯りのついている部屋と消えている部屋があるが、君はこれをどう考えるか」
「ルームキーがフロントに返されているのに、灯りがついていることを、セキ
ュリティの視点でどういうふうにとらえるか」と矢継ぎ早に、質問された。的
確な応えができるわけがない。77歳の犬丸社長は、若者にホテル業の奥深さを
さりげなく伝えているのである。そして付け加えた。

「ホテルのセキュリティは目立てなければならない場面と、目立ってはいけな
い場面の両方がある。制服で警備したり、私服で警備したりするのはそのため
である。大事なことはお客様に不快感を与えてはいけないことだ」

 こうして帝国ホテルの警備を始めたばかりの翌11月、野添和子が、正面玄関
を私服で立哨している警務士をめざとく見つけたのである。

 TBS系列で金曜夜9時30分から1時間のテレビドラマ『ザ・ガードマン』
がスタートしたのは、東京五輪から半年後の1965年(昭和40年)4月であ
る。最高視聴率40・5%を記録して1971年12月まで延べ6年9カ月(全3
50話)つづいた看板番組が誕生する。

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「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp

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