Vol.396 結城浩/Web立ち読み版/スケジュール管理/数学を教える/現実がつまらない/コードを書くのが恐い/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月29日 Vol.396


目次

  • 目で字を追うだけになってしまう - 学ぶときの心がけ
  • 「Web立ち読み版」に思うこと - 本を書く心がけ
  • 開発職、コードを書くのが恐い - 仕事の心がけ
  • 先延ばしばかりしてスケジュール管理がうまくいかない - 仕事の心がけ
  • 中学生に数学を教えるとき - 教えるときの心がけ
  • 理想が高くなりすぎて現実がつまらない
  • 相手のことを考える度合い - コミュニケーションのヒント

はじめに

結城浩です。

いつもご愛読ありがとうございます。

* * *

「これを読もう」という判断の話。

結城は、お昼どきにnoteで公開されているコミックを読むことがよくあります。noteでフォローしてる漫画家さんの作品はもちろんのこと、おもしろそうと思ったコミックはどんどん見ます。そのときにいつも「私はどうして、たくさん並んでいるコミックの中でこれを読んでみようと思ったんだろう」と考えます。自分の行動の背後にある気持ちを知りたいということですね。

コミックを選択するときに私は何で判断しているんでしょう。絵柄の好き嫌いはありますね。タイトルに心引かれて読み始めることもあります。作者のアイコンを見て楽しそうだと思うこともあります。いろんな要素が絡んで、何らかの判断によって読むか読まないかが決まります。その判断理由をいつも考えているのですが、そう簡単には「これを読み始めるルール」というものは見つかりません。

どうしてルールが見つからないかというと、たとえルールらしきものが見つかってもすぐにルールの例外が見つかるからです。この絵柄は好きだと思っても、いつもそれを読み始めるわけではありません。穏やかな絵柄ならいいというものでもないし、いささか恐い絵柄はダメというわけでもありません。「見てみようかな」や「おもしろそう」という感覚は本当に微妙だと思います。少なくとも、自分ではうまく言語化できません。

結城は、魅力を持っている作品が好きです。特に「ひとことでは説明できない魅力」を持っている作品には大変興味があります。その作品が、自分の心の深いところに張られている細い糸と共鳴するような感覚があるからです。音が響き合う感覚です。「この作品は○○だから好き」と理由を言い切ることはできないけれど、いま私はこれを読みたくてしかたがない。そんな思いを引き出す感覚です。それが作品の持つ魅力というものでしょう。

あなたは、自分が「これを読もう」と判断するとき、その理由を言語化できますか。

* * *

それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。