Vol.672 結城浩/本を書きたいが長い文章を書くのに抵抗がある/偶然の出来事と意味がある出来事/コードレビューの指摘/数学書を読むのに時間が掛かる/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2025年2月11日 Vol.672


はじめに

おはようございます。

二つのタイムラインの話。

Twitter(現X)で、タイムラインに流れてくる投稿にイライラすることがあったら、自分が見ているのが「おすすめ」なのか「フォロー中」なのかを見極めましょう。

「おすすめ」はTwitter(現X)のアルゴリズムがすすめてくる投稿で、「フォロー中」は自分がフォローしているユーザからの投稿です。

もしも「おすすめ」でイライラするようなら「フォロー中」に切り替えましょう。

もしも「フォロー中」でイライラするようなら、その投稿をする人をフォローしているのはあなた自身なので、自分が誰をフォローしているかを確認する機会ですね。

◆二つのタイムライン(スクリーンショット)

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macOSバージョンアップの話。

先日、メインで使っているMacBook ProをmacOS 14 SonomaからmacOS 15 Sequoiaにバージョンアップしました。念のためバージョンアップの前にはちゃんとバックアップを取りました。特にいまのところSequoiaで問題は起きていません。

でも、問題はその後に起きました。

Homebrewというパッケージマネージャのセルフチェックが行えるbrew doctorを動かして、そこで表示されている警告に対処することにしました。macOSをバージョンアップしたので何となく気分が新しくなり、ついでにパッケージも整理するかと思ってしまったのです。

使っていないライブラリがいくつかあったので削除すると警告は出なくなったのですが、自分がふだん使っている便利な自作プログラムが軒並み動かなくなってしまったのです。これは困った。

幸い、ChatGPTに相談してライブラリの再インストールを行い、小一時間で対処できました。でも焦ったなあ。実は同じパターンでハマったことが過去に何度もあります。「macOSをバージョンアップ→brew doctorを動かす→表示された警告に対処する→自作プログラムが動かなくなる」という、まったく同じパターンですね。

何気なくライブラリを削除したりするものじゃないですね。

ジェラルド・ワインバーグ『コンサルタントの秘密』に出てくる「工学の第一法則:こわれてねえのなら、なおすなよ」にみごと引っかかってしまったという次第でした。

◆『コンサルタントの秘密: 技術アドバイスの人間学』
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ところで話は続きます。この本で「こわれてねえのなら、なおすなよ」の当該箇所(p.43)を確認してみたところ、その直後に「どんなシステムも、病気でないのならみずからを癒やす能力をもっているはずなのだ」と続いていました。

つまり、単に「直すな」ではなくて「直すならば、本当に壊れているかを確かめてからにせよ」というところが大事なのだなあと改めて思いました。

さらには、トラブルが起きた対象だけではなく、状況全体をシステムとして見たとき「壊れているかどうかを確かめることができ、もしも壊れていたならば直すことができるかどうか」を確認しておくのが大事なのだな、とも思いました。システムが自己修復機能を持っているかを確認するということです。

たとえば、今回の場合、自作プログラムが動かなくなるというトラブルが起きました。でも、「自作プログラム単体」から「自作プログラム+ChatGPT+私自身」というシステムに目を移して考えた場合「壊れたけれど直すことができた」といえそうです。トラブルを通じて、私を含めたシステムが自己修復機能を持っていることが確認できたのですね。

なるほど。

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先週の「談話室」の話。

ビデオをオフにしたZoomを使い、参加者と二人で一時間自由に音声のみでおしゃべりする「談話室」というネット企画を毎週行っています。

2025年2月8日(土)の「結城浩の談話室」では、IT関連のお仕事をしているクリスチャン女性とお話ししました。

最近のお仕事のこと、子育てのこと、それから生成AIのことなどを雑談風におしゃべりしました。

活動の中で感じることがある各国の文化の違い、複数の生成AIを生活にどのように活かしていくか、また現代における聖書の学びについてなど、貴重なお話をすることができました。

感謝します!

◆結城浩の談話室
https://chatroom.hyuki.com

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それでは今週のメルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。


目次

  • 本を書いてみたいが、長い文章を書くのに抵抗がある - 本を書く心がけ
  • 「偶然の出来事」対「意味がある出来事」
  • コードレビューの指摘を人格攻撃のように感じる - 仕事の心がけ
  • 大学一年生、数学書を読むのに時間が掛かる - 学ぶときの心がけ