教えることによって得られる成長効果の三番目は、責任、あるいはそこにおける「プレッシャー」である。
「人に教える」ということは、その教えることが「分かっていなければならない」という責任が生じる。その責任によるプレッシャーが、人を育てる――つまり教師自身を育てるのである。
これは教師をしているとやがて突き当たる経験なのだが、生徒から質問を受けたとき、答えられなくて(分からなくて)恥をかく、ということがある。その瞬間ほど、プレッシャーのかかるものはない。
ぼくは以前、NHKの「ようこそ先輩」という番組に出て、母校の小学生相手に村上春樹さんの「かえるくん、東京を救う」という小説を教えたことがあった。そこで生徒から、「小説中に出てきた『ジョセフ・コンラッド』とは誰ですか?」という質問を受けたのだが、それに答えられなかった。ジョセフ・コンラッドを知らなかったのだ。
そこで、大変な赤っ恥をかいた。これま
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