教育考:その8「子に理解を示した親が辿る末路」(1,631字)
教育のことを考えるたびに思い出す話がある。それはキタキツネの教育だ。
キタキツネは、自分の子供が大人になるまでは大事に育てる。それこそ命がけで育てる。外敵が来たら、身を挺して守る。子供は、そんな親の庇護の元、ぬくぬくと育つ。
ところが、その子供が大人になったとき、今度はその親から急に敵認定される。そうして、テリトリーを追い出されてしまうのだ。
キタキツネというのは、テリトリーを守りながら生きている。家族のテリトリーに他のキタキツネが侵入してくると、これを命がけで追い払う。そうして、家族ごとの単位で暮らしている。
成長した子狐は、このテリトリーから追い出されるのだ。つまり、侵入してきた外敵と見なされてしまうのである。
そのことを、子狐は最初、理解できない。だから、なおも母親に甘えようとする。そんな子供に、母親は牙をむくのだ。そうして、それこそ殺しかねない勢いで、テリトリーから追い払う。以降
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