庭について:その51(1,694字)
厳島神社には「奥行き」がある。これはイングリッシュガーデンにはないものだ。
どういうことかというと、イングリッシュガーデンはどこか美術館的、博物館的なのである。周遊はできるが、ベクトルのようなものが希薄だ。指向性、方向性が曖昧なのである。フラットで、さまざまな植栽が均一だ。
一方の厳島神社は、強烈なベクトルがある。むしろ、ベクトルの前に全てが従属しているといっていい。本殿があって、その先に鳥居がある。鳥居は人がくぐるためのものだ。そのため、たとえ道がなくとも、人はそこに強烈な指向性を見出す。もっと具体的にいえば、その鳥居に向かって歩き、下をくぐりたくなる。
厳島神社の面白いところは、そういうふうに「くぐりたい」という奥行きを演出しながら、ときとしてそれが適わないところである。つまり、干潮のときはできるが、満潮になると海に覆われて歩けない。
そのため人は、そこに「幻の道」を見出す。これは壮大
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