思春期の時代にはなかなか気づけないのだが、大人になると、たいていの人は「自分に足りないものがある」ということに気づくようになる。
足りないもの――それは、本質へのアプローチだ。本質へと続く道である。子供の頃にはあった素直な気持ちと言い換えてもいい。美しいものを美しいと思える直感力のようなものだ。
自分の中からそういうものが失われてしまっているということに気づく。本質は1時のところにあるのに、自分が5時や6時の辺りにいるということに気づかされるのだ。
そこで人は、再び本質にアプローチしようとするのだけれど、そこでいろいろな邪魔が入る。そこにさまざまな障害があり、なかなか本質に辿り着けないという事態に気づくのである。
そこから、本当の戦いが始まる。本質へのアプローチを再通させるという、新たな生き方にチャレンジしなければならないのだ。
そういう概念を最も的確にとらえていた歴史上の人物は世阿弥だろ
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