台獣物語29(2,110字)
第八章「俺たちの旅」
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隠岐の島の朝というのは、米子とはまた違った雰囲気がある。
まず、日差しが強い。海抜は米子とそれほど変わらないのだろうけど、隠岐の島には背の高い建物がほとんどないので、その分影が少ない。この道場も、屋内とはいえ、窓から差し込む光で明るさに溢れている。
次に、やっぱり湿気が多い。特に、この施設の周囲にはうっそうとした森が広がっているから、木々の吐き出す呼気のようなものが感じられて、独特のみずみずしい空気が一帯を満たしている。
しかしながら、それに矛盾するようだけど、空気は爽やかだった。米子の、都会特有のムッとした暑さはほとんどなく、冷房をつけていなくても不快さはほとんどない。
きっと、穏やかな風が絶えず吹いているからだろう。特に、この施設は急峻な丘の頂上付近に建っているから、さまざまな風が四方八方からぶつかり合って、空気を淀ませるということがほとんどないの
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