皆様、こんにちは。加藤一二三です。
ニャンとも言えない加藤一二三伝説を御愛読いただき、誠に有難うございます。

《目次》
1.棋士会将棋フェスティバルin陸前高田
2.つるの剛士さんとの共演を終えて
3.お知らせ

《本文》
1.棋士会将棋フェスティバルin陸前高田
  早くも1ヶ月前のこととなりましたが、まず、陸前高田を訪問した日のことからお話して参りたいと思います。宮城県気仙沼市を訪れた10月19日のことは先日お話いたしましたので、本日は10月20日に訪れた岩手県陸前高田市での出来事について、うれしかったことなどお話できればと思います。
 
  陸前高田では横田基幹集落センターにて将棋会将棋フェスティバルを開催致しました。 久保田崇副市長ならびに山田市雄教育長もお見えになり挨拶をされた後、開会となりました。

  プログラムのはじまりはトークショーから。富岡英作八段はご自身の子供さんの話をされ、つづいてわたくしの番となりました。昭和15年生まれのわたくしは終戦翌年に小学校に入学しましたが、戦後の混乱の最中にもよき教育者に恵まれ、その経験が現在にも生きているという内容のことをお話させていただきました。
  被災地では未だ仮設住宅にお住まいの方も多くいらっしゃり、平穏無事な日常の奪われた震災直後の混乱下では、とりわけ肉親を突然亡くされるなどして教育環境の十分に整わない中で受験勉強などに臨むことを強いられた若い学生さんたちも多くいらっしゃったことと推察されます。ですが、どのような状況に身を置くことになったとしても、必ず希望の明かりは灯されていることをお伝えしたい、と念じながら、お話をさせていただきました。 
 
  引き続いて、信念のもと長年にわたり棒銀を指して参りましたわたくしですが、2年前の冬のある日、優れた新手法を考案したので、これからは若手棋士にも負けないとお話致しましたところ、思いがけず会場にいらっしゃる実に多くの方々から、暖かく盛大な拍手の激励を受けたのには、心から感激を致しました。わたくしは「ありがとうございます、元気が出ます」と即座にお答えするのが精一杯でしたが、(おこがましくも)励ましに行ったはずのわたくしが、かえって皆様の心からの励ましを受けることになり、これは全く予期せぬ感動の一瞬となりました。より一層がんばらなければ、と改めて心に誓った出来事でした。