ひろぐ

全てはルーレットが決める!

2013/12/10 05:02 投稿

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「北海道」から
なんとも見慣れない木彫りの人形が届いた!
送り主は世界中で変な物を見つけては
私に送ってくれる
「主婦と生活」社の「斎藤さん」だった!

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どうとらえたらいいものか?
後藤ひろひとよ!
あまり「群馬県」とかをいじめてばかりいると
いつか「群馬県」に復讐されるぞ!
といったたぐいのメッセージか何かだろうか?
それとも「秘密結社イヨボヤ会」
入会証のようなものなのだろうか?
なにしろ玄関に飾って正月を迎えてみる事にした!

はてさて!

私は
「作家として最も影響を受けた人物は?」
と尋ねられると
「エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)」
という一人のミュージシャンの名を挙げる!
それについては過去の『ひろぐ』記事で
何度も記してきた!
「では具体的にどういう点で?」
と尋ねられると
そこから先の回答が難しい!
なにしろ彼はミュージシャンで
私は脚本家だ!
彼はイングランド人で
私は日本人だ!
彼のトレードマークは眼鏡で
私のトレードマークは「髭」だ!
どこをどう取っても
どこをどう照らし合わせてみても
共通点がないどころか
影響の受けようがないと
多くの人達が思うだろう!
だた単に他の作家と一線を画すために
かっこつけで奇人めいた事を言っているのだろう
と誰もが思っている事だろう!

しかしそれは違う!

1986年と言えば
私が大志を抱いて「大阪」にやって来るか来ないか?
なんだかぼんやりそんな頃だった!
「エルヴィス・コステロ」が
なんともおかしげなコンサートを行ったと
音楽雑誌で読んだ!
「Spinning Wheel Tour」
と題されたそのコンサートの写真を見た私は
そのあまりにも奇怪な光景に吸い込まれた!
彼が演奏するステージの背後には
直径3メートルほどの直立型ルーレットが置かれていた!
それは当時のテレビ番組で見る
”パジェロ”か”たわし”かを投げ矢で決める
あのルーレットによく似ていた!
しかしルーレット板に書かれている文字は
よく見るとどれも
「エルヴィス・コステロ」による
曲のタイトルだった!
なんでもそのコンサートでは
観客を舞台に上げて
ルーレットを廻させ
それで出た歌を唄ったと言うのだ!
私はそのあまりにも楽しそうなシステムに
猛烈な衝撃を受けた!
当時私が目指していたのは「コメディアン」だったが
いつの日にか
どうにかして
私もあのルーレットを観客に廻させてみたい
と夢を描いた!

それからちょうど10年後
つまりは1996年!
私は「遊気舎(ゆうきしゃ)」なる劇団の座長として
舞台を利用しては好き勝手な事ばかりやっていた!
その頃に私が書いた作品のタイトルは
『ペガモ星人の襲来』
『ピロシキ』
『びろ〜ん』
『イカ釣り海賊船』
といったいかれぽんちな物ばかりが並び
当時の私がどれだけ好き勝手な事ばかりやっていたかが
一目でわかる!
そんな中の一つに
『ボンジャリー』
という
やはりふざけきったタイトルのものがある!
たしか懐かしの劇場
「扇町ミュージアムスクエア」によるプロデュース
『扇町コントジャンボリー』
の中の一つだ!
「牧野エミ」嬢が所属していた劇団
「MOTHER」と
当時はまだ「山内圭哉(現Piper)」が所属していた
「リリパットアーミー」と
どういうわけか私個人という
3グループに別れて
数日間に渡り様々なコント作品を上演する
といったイベントだった!
今も昔も変わらないところだが
当時の私も
自分が面白いと思えないコメディ脚本に関わる事を
たいそう嫌っていた!
そのため主催側から
「後藤さんの手による脚本を
 更に加えてもらって構いませんが
 基本的にはこれらの脚本で!」
とどっさり預けられた作品達に
ぐんにゃりと頭を悩ませた!
やってみたいと思える作品はごくわずかで
他はどうにも関わりたくない物ばかりだった!
『ボンジャリー』に出演してくれた
「喜劇王・川下大洋」
「三上”艦長”市朗」
「久保田浩」
「土田英生」
私に同意する反応だった!
なんとかそれらを上演せずに
みんなが面白いと思えるものだけを
演じる術はないものか?
司会や構成も務める私は困りに困った!

しかし!

その答えは10年前の音楽雑誌の記事にあった!
「エルヴィス・コステロ」の
『Spinning Wheel Tour』だ!
お客さんを舞台に上げてルーレットを廻してもらい
出た作品を演じればいいのだ!
演じたい作品のタイトルばかりを
ルーレットに貼り
演じたくない作品は
「まぁ続々とこんな作品も用意していますよ!」
とばかりに控えボックスに貼り出しておけばいい!
ルーレットで何かが出ると
そのタイトルをはがして
新たに違うタイトルを貼り替えるのだが
そこでもまた
やりたい作品のタイトルを貼ればいいのだ!
そうすれば預けられた大量の興味なき作品を
一切やっていないのに
「それはまぁ
 お客さんがルーレットで決める事なのだから!」
という謎のトリックで済まされるのだ!
そして実際に済まされたのだ!
自分の作品が上演される事を期待して
客席を訪れていた作家も
「私のは出ませんでしたねぇ!」
とか言っていた!
なので私も
「残念でした!
 いっぱい練習したのにねぇ!」
と平気の笑顔で嘘をついた!
それで済んだ!
ありがとう「エルヴィス・コステロ」!
ありがとう『Spinning Wheel Tour』!
私はそんな素敵な回転板に
「大王」を名乗る権限から
「ロイヤル・ホイール」
と名付けた!
なぜ名前まで付ける必要があったか?
それはその数ヶ月後に発表した舞台作品でも
更に活躍の予定があったので
何か呼び名が欲しかったためだ!

PARCO劇場版の
『ダブリンの鐘つきカビ人間』
をご覧になられた方には想像もつかないだろうが
1996年版の「遊気舎」による初演では
「ロイヤル・ホイール」が登場して
舞台上のみならず
楽屋までをも大混乱に陥れた!
劇中にいきなり作家として登場した私は
観客にこう語りかけた!

「奇跡の剣を探し求めて
 ここまで4つのチームが
 不思議な森をさまよっています!」

この時点でPARCO版からは消された設定だ!

「ですが劇場を借りる時間の都合上
 ここから先はそのうち1つしかお見せできません!
 では登場させましょう!
 ”ロイヤル・ホイール”です!」

観客の一人を舞台に上げて
「ロイヤル・ホイール」を廻してもらう時点で
楽屋にいる俳優達は
自分が出演するかもしれないシーンの衣装に着替えている!
そして「ロイヤル・ホイール」が止まった瞬間に
私は大きな声でどれに当たったかを読み上げる!
楽屋にいち早く伝えなければいけないからだ!
それを合図に楽屋は大騒ぎとなった!
出演シーンを失った俳優達は
あわてて元の衣装に着替え直さなければいけない!
そこには『ボンジャリー』でのようなトリックは
一切なかった!
「ロイヤル・ホイール」次第で
出番を失いうなだれる若手俳優もいた!
そしてこの演出は裏での奮闘以上に
大成功となった!
ありがとう「エルヴィス・コステロ」!
ありがとう『Spinning Wheel Tour』!
(PARCO版『ダブリンの鐘つきカビ人間』で
 森を守る賢者と戦士が
 知恵比べをするシーンがあるが
 あれは「ロイヤル・ホイール」の
 1/4だけを残したものである!)

あれからずいぶんと年月が過ぎ!
2013年12月15日!
私は「大阪」にて
生まれて初めて本物の
『Spinning Wheel Tour』を体験する!
タイトルを
『The Spinning Tour Songbook』
と改め
「エルヴィス・コステロ」と
巨大ルーレットが遂に来日する!
「カントリー」や「クラッシック」や
「ジャズ」や「R&B」といったジャンルで
様々な実験を行って来た彼が
なにを理由に今年の日本に
あのルーレットを持参するのかはわからない!
きっと楽しいからだ!
取れたチケットがかなりの後方列なので
私がルーレットを廻せるとは
とても思えないが
私の中であまりにも大きなあのルーレットを
劇場で見る事ができると思うと
なによりひろいでしまう!

私は「エルヴィス・コステロ」から
多大なる影響を受けている!
否定のしようもなければ
隠す方法も思いつかない!
ならばいっそのこと
来年2014年には
どこかであの悪名高き回転板
「ロイヤル・ホイール」を
またお客さんに廻してもらおうと思っている!

なお「エルヴィス・コステロ」の
『The Spinning Wheel Songbook』は
2013年12月13日(金)の東京公演が
「WOWOW」で生中継されるのだそうだ!
視聴可能な方は是非ご覧いただいて
いずれ復活する「ロイヤル・ホイール」に
備えていただきたい!


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けどもその前に!
私は最近見つけた最高の遊びをひろごうと思う!
今回で7回目を数える即興演劇イベント
『絶対服従SHOW インプロビアス・バスターズ』
ルーレットどころか
私が直接お客さんから言葉を聞き
それを舞台で見せてしまう企画だ!


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毎回入場者に無料配布される
大不評のバスターズ・バッジ!
今回は「ばんび」こと
「喜劇王・川下大洋」に決定!
みんなでかばんとかにつけて
さっさとどこかでもぎ取れよう!
そんで失くそう!

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