ひろぐ

今の子供達はなぜ巨大ロボットを嫌うのか?

2013/10/07 14:50 投稿

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  • 巨大ロボット
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  • 後藤ひろひと
子供の頃に好きだった
アニメや特撮ヒーローと言えば
『超電磁ロボ コンバトラーV』!
『鋼鉄ジーグ』!
『大鉄人17』!
『スーパーロボット レッドバロン』!
『スーパーロボット マッハバロン』!
『ジャンボーグA』!
『ジャンボーグ9』!
とにかく「巨大ロボットもの」は大好きだった!
どの作品もたいがい
宇宙もしくは地球上の悪の組織から
巨大なサイズの敵が送り込まれ
それを倒すために
正義の組織が
巨大なロボットが作り出し
毎週一回ずつ善と悪でわいわい闘う
という内容だった!
(『大鉄人17』だけは
 ”そもそも悪の組織の発明品”という
 『タイガーマスク』システム
 もしくは
 『仮面ライダー』システム!)
巨大な敵を倒すために
巨大なロボットを作ったはずが
どのドラマもエピソードを重ねるうちに
巨大なロボットヒーローを倒すために
巨大な敵が作られるようになる!
子供ながらに
「なぜ敵もヒーローも
 サイズを合わせて作られるのだろう?
 本気で相手を倒したいならば
 どちらかがより大きな物を作ればいいのに!」
とぼやいていた私だ!
今週は敵の方が大きかったが
来週はヒーローの方が大きいという
無限に大きさを競い合う
1勝1敗システムでも
私はきっと鑑賞をひろいでいた事だろう!
そんな視点で見ていた私も
そうでない友人達も
「巨大ロボットもの」と聞けば
みんなが真剣になって
とにかく毎週の放映を待ち続けていた!

ところが最近!
日本の少年向けテレビ番組に
「巨大ロボットもの」が見当たらない!
今の子供が真剣になって見ているのは
どれも人間サイズのヒーローによる活躍ばかりだ!
しかも人間なのはサイズだけではなく
過去を振り返れば
”元は人間”という設定がほとんどだ!
どこに行ったのだ「巨大ロボット」達よ!
正義のために作られたのに
悪と同じぐらいビルを壊す
あの問答無用な僕らの「巨大ロボット」は
一体どこに行ってしまったのだ?

先日!
「京都」にある
「梅小路(うめこうじ)蒸気機関車館」に行った!
いつも「新幹線」の車窓から眺めるだけで
”いつか絶対に行ってやる!”
と心に誓っていた場所だ!
「カミさん」
”どこでもいいから出掛けよう”
と言うので私は迷わずそこを選んだ!

この「梅小路蒸気機関車館」は
まずはその建物が素晴らしい!
なんでも1904年に建てられた
「二条駅」を移築したものなのだそうだ!


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古い劇場などではよく
”多くの人達が楽しんだ空気が残っている”
と言われるが
人間の感情が多く動く場所と言えば
駅舎もまた同様だ!
沢山の出会いと別れ!
旅立つ希望と不安!
二度と戻れない悲しみ!
再び戻る日への野心!
「梅小路蒸気機関車館」の入口に立つだけで
まるで「スティーブン・キング」の名作
『デッド・ゾーン』のように
かつてここで動いた無数の感情が
私の心を揺らすのだ!

わくわくにひろぎながら中に入ると
展示物は軽いものばかりだった!
これまで訪れた多くの「鉄道館」と比較すれば
実にひっそりとしたものである!
けどもこんな事ができる!


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「山形駅」から国道16号線を東南方向に
10分ほど歩くと
私の同級生の実家であるお寿司屋さん
「いながわや」の裏あたりに
「第二公園」という
楽しくなさそうな名前の公園がある!
しかしそこに設置された蒸気機関車は
私の大好きな遊び友達だった!
どれほど長い時間その蒸気機関車と遊んだものか!
その思い出があまりに強いもので
今でも山形駅付近で酔うと
深夜についつい乗り込んでしまうほどだ!
そのため私は
蒸気機関車の運転席内部に関して
ものすごくよく知っている!
なんなら屋根の上もよく知っているし
石炭を積む炭水車の居心地のよさもよく知っている!
よじ登ったり飛び降りたり
無茶な遊び方をいっぱい試して
いっぱい怪我をした!
しかし絆創膏を一枚貼れば
またすぐ機関車に乗り込んだ!
怪我の腹いせに
どこかの部品でももぎ取ってやろうか
と試みたが
あまりにも頑丈な機械からは
ネジの一つも折り取る事ができなかった!
そんな事を繰り返しながら
「第二公園」の機関車は
いつだって私の親友だった!

なので「梅小路蒸気機関車館」を訪れたのは
なんだか親友の実家に立ち寄る気分だった!


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この機関車館で最も有名なのは
模型や骨董の展示ではない!
実際の蒸気機関車が20両近く置かれているのだ!
しかも!
それらはとんでもなくかっこいい
「転車台」を囲む扇状車庫に納められている!
「転車台」というのは
機関車を載せて回転する円盤台だ!
「回転台」を廻す事で
「回転台」から放射状に伸びる何本もの線路のうち
”好きな線”に機関車を乗せる事ができる!

「すごいね!
 かっこいいね!
 あれに載せて廻せば
 ”好きなところ”に行けるんだよ!」

興奮する私だったが
「カミさん」はいつだって冷静だ!

「好きなとこちゃうやん!
 ”行くべきとこ”に行くねん!」

なんだこの温度差は!
なんだその事務的観念は!
なんだそのビジネス思考は!
線路が無ければ走行できない乗り物が!
線路の伸びる前後二方向にしか進めない宿命の物が!
この「回転台」に載れば
進んでみたい方向に進めるのだぞ!
それは”好きなところ”でいいじゃないか!
しかし「カミさん」は譲らない!
「回転台」はあくまでも
”行くべきところ”に向かわせる物なのだそうだ!
これは男女の思考の差と呼ぶべきなのだろうか?
それとも大人と子供の考え方の違いなのだろうか?


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そんな「カミさん」も私も!
実際に可動する蒸気機関車を目の当たりにすると
興奮度が完全に一致した!
「梅小路蒸気機関車館」では
車庫から「回転台」に載せて
”行くべきところ”に移動させた蒸気機関車で
客車を牽引するイベントが
1日に3回行われる!
水と石炭が生み出すパワーで
1kmの旅に出る事ができるのだ!
私も「カミさん」もかなりきらきらしながら
大はしゃぎで乗り込んだのだった!


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さて!
ここで実に興味深い事が起こった!

客車には我々以外にも
そこそこな数の乗客がいた!
そんな中に特別支援学校の生徒達が
20名ほど乗り込んでいた!
感情をいっぱい表に出す
とてもかわいらしい子供達だったのだが
何人かの生徒が乗車をたいそう嫌がった!
なぜだ?
わずか10分間ほど
蒸気機関車でしゅっぽしゅっぽと旅をするだけだ!
何をそんなに嫌がる事があるのか?

どうやら彼らは
蒸気機関車を恐れていた!
一人の子などは泣き出すほどだった!
私には喜びの雄叫びでしかない警笛に
その子は耳をふさいで絶叫した!
そして走行中は不安な顔いっぱいで
ずっと椅子に座らず立ち上がっていた!
いつでも逃げ出せるよう準備しているようにも見えた!
その子は顔のみならず
全身で恐怖を表現していた!
見れば他の子供達も
走行中はあまり楽しそうには見えなかった!

走るために石を燃やし
走るために煙を噴き出し
走るために蒸気を排出し
走るために轟音を立てる乗り物!
青も赤も黄色もない
真っ黒に白線だけの乗り物!
それが笑っているか怒っているか
どちらかと問えば
間違いなく全ての子供達が
”激怒している!”
と主張するだろう!
現在日常生活で目にする乗り物の中で
金属バットで思い切り殴っても
誰からも怒られないという乗り物は無い!
しかし完全に鉄製の蒸気機関車には
例え巨大なハンマーで殴ったところで
かすり傷一つ付ける事はできまい!
よく外国映画で踏切に立ち往生した自動車を
貨物列車が粉々に破壊し
特に停車する事もなく走り過ぎるシーンを見かける!
蒸気機関車には
それをやりそうな風格がある!
そう考えると
蒸気機関車は現代において
多分に奇異な存在であると言えよう!
その頑丈さと威圧感は
今の子供達には”恐怖”を与えるようである!

”だからかっこいいんでしょう?”
”そこが素敵なんでしょう?”
そう唱えるのは
ひょっとしたら大人ばかりかもしれない!
しかも
謎の惑星や悪の組織が送り込む巨大怪獣に
巨大ロボットで立ち向かう事を
心から応援した連中が
蒸気機関車を見て
特に目を輝かせるのではないだろうか?
それは写真に写っているような
こんな大人の事だ!

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蒸気機関車が鉄道に帰って来る事は無い!
ならばせめて!
巨大ロボットには
地球防衛のために帰って来て欲しい!
電話であろうがテレビであろうが
今の機械はあまりにも繊細だ!
ある映画では地球侵略に飛来した宇宙人の弱点が
”水”だった!
多くの観客がそれを笑ったが
この星を動かす機械のほとんどもまた
”水”で止まる!
そのために
そんな繊細な物が
巨大怪獣になど立ち向かえるはずがない
と今の子供達は認識してしまっている!
水中から発進する巨大ロボットと
水と石炭で走る蒸気機関車に育てられた私は
それをとても悲しんでいる!

帰って来い巨大ロボット!
敵のサイズに合わせるな!
ものすごく大きく帰って来い!
そうすれば
敵のアジトを破壊するのも簡単だし
なんなら海賊の王にもなれるぞ!


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そんなわけで
私は明後日から「新潟」で
ワークショップ「Royal Plant」を開催する!
なんと受講生全員が女子だそうだ!
更にぎりぎりまで募集を続けるので
もてたい男子
もしくは私と”巨大ロボット論”を交わしたい男子は
すぐに応募を!
詳しくはこちらへ!

それにしても
最近の「京都」は気前がいい!

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