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長谷川幸洋 コラム第22回 野党再編前夜、野党政治家に問いたいのは「成長をどう考えるのか」だ
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野党再編をめぐる駆け引きが活発化している。
9日夜には、民主党の細野豪志前幹事長、日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長、みんなの党の江田憲司前幹事長らが新党結成も視野に会合を開いた。
会合には3党所属の議員らのほか、みんなの党を追われて無所属になった柿沢未途衆院議員も参加している。
一方、みんなの党は10日、両院議員総会を開いて「新党ではなく政党ブロックによる政界再編をめざす」という方針を機関決定した。渡辺喜美代表は江田たちの新党構想を力づくで封じ込める姿勢だ。渡辺と江田の対立は、もはや抜き差しならない段階まで深刻化している。
こうした動きをどう評価したらいいか。
先の参院選で自民党が圧勝し、衆参両院のねじれ状態が解消した中、野党がどう存在感を示していくか。この「野党問題」は当の野党議員だけでなく、多くの国民が気にかけている。
政権与党がなんでも勝手に決められる政治よりは、与野党が互いに政策を競い合っていく姿のほうが健全である。だから、なんとか野党にはがんばってほしい。
そんな期待を前提にしたうえで、では、どんな野党が望ましいか。永田町の政争をひとまず離れて、国民の側から考えてみると、大事なのはやはり政策である。数はもちろん重要だが、数さえあればいいのかといえば、そうはいかない。
それは、いまの民主党をみればあきらかだ。
民主党は一度は多数派を形成して政権奪取に成功しながら、昨年末の総選挙、7月の参院選で国民の支持を得られず、大敗北を喫した。
いまや「流れ解散しかないのではないか」と思われるほどだ。
なぜ、民主党は負けたのか。
私は、民主党が安倍晋三政権のアベノミクスに対抗できる経済政策を打ち出せなかったからだ、と考えている。
参院選では憲法改正や原発、環太平洋連携協定(TPP)問題など多くの争点があったが、有権者がもっとも切実に問うたのは景気回復への方策だった。
15年にわたるデフレを脱却し、日本を再び成長軌道に戻せるのは、どの政党か。
民主党は子ども手当や高校授業料無償化、農家への戸別所得補償を掲げた。これを一言で言えば、税金を原資に「政府による所得再配分で成長を」という政策である。
これに対して、安倍政権はアベノミクス、とりわけ大胆な金融緩和でデフレを克服し、規制改革で自由な企業活動を応援する政策を用意した。
国民の多数が選んだのは、所得再配分政策ではなく、活発な企業活動をエンジンにした成長路線だった。
民主党内にも成長を重視する議員はいる。だが、多数派ではない。
労働組合の支援を受けている議員は当然ながら、公正な所得再配分を重視している。成長か再配分かという対立軸は、必ずしもマスコミの世界では明確に報じられなかったが、国民は直感で理解していたのではないか。
日本共産党の躍進は、その証明である。
共産党は資本家と労働階級の階級対立が歴史の原動力と考え、公正な所得再配分の実現こそが政治の大義と考えている。公正な再配分を最優先で求める国民は、あいまいさが残る民主党より共産党を選んだのだ。
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