[Photo] Bloomberg via Getty Images
長谷川幸洋 コラム第18回 政治家・エコノミスト・記者が消費増税に賛成する理由
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日銀が景気判断を上方修正した。
5日に発表した「当面の金融政策運営について」(PDFです)という文書で、景気は「緩やかに回復している」とはっきり書いた。前月は「景気は緩やかに回復しつつある」だった。
どこがどう違うのかといえば、ニュアンスの差みたいなものだが、回復軌道に「もう乗った」というのと「いま乗りつつある」とでは、前者のほうが強い。
8月に判断を据え置いただけで、これで1月以来、ほぼ連続して上方修正を続けている。
となると、直ちに思い浮かぶのは、では消費税引き上げがどうなるか、だ。
「景気が良くなっているのはたしかだから、予定通り上げるべきだ」という増税派の声が一段と勢いを増すのは、容易に予想できる。
それは正しいのか。
ここは根本に立ち戻って考えなければならない。私は「景気が回復している→だから消費税を上げるべきだ」ではなく「景気が回復している→だから増税せず、過熱するくらいまで待つべきだ」と考える。
まず、日銀の公表文をどう読むか。
日銀の文書を読むと「輸出は持ち直し傾向」「設備投資は企業収益が改善する中で持ち直しつつある」「公共投資は増加を続け」「住宅投資も持ち直しが明確」「個人消費は雇用・所得環境に改善の動きがみられるなかで、引き続き底堅く推移している」とある。
日銀は全体の基調判断で「緩やかに回復している」と言っているが、実は個別の需要項目を見ると、輸出も設備投資も住宅投資も「持ち直し」と表現している。個人消費については「底堅く推移」と一段と慎重である。
回復といっても、内実は「悪かった状態から少し改善した、ないし堅調になってきた」という程度なのだ。
新聞には「景気回復」という文字が踊っているが、実は「景気が良い」状態にはほど遠い。これが現状認識である。
そこで消費税だ。
政権内の増税派からは「消費税を上げても、景気を冷やさないように予算で大盤振る舞いする」という話が盛んに出ている。これは一見、もっともらしい。だが、ちょっと考えてみれば、財政政策として完全に倒錯している。
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