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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/08/11
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「小林よしのり氏の“道徳心が痛む”発言に違和感」
こけしさん/24歳

 小林よしのり氏が投票権目的で大量に購入したAKB48のCDを廃棄するのも、売却するのも「道徳心が痛む」と発言していますが、以前 岡田さんは小林よしのり氏と道徳について語っていますが、私はイマイチ小林さんの道徳心にピンときません。
 岡田さんはどう思われますか?
 
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(前号からの続き)

 「でも、秋元は金優先ですよ」(コメント)

 そうかなあ。"金"優先というより、"売り上げ"優先と考えるべきだと思うよ。
 金と売り上げは絶対違う。
 売り上げを上げてる限り、周りからの扱いが良くなってくる。
 それは個人的なものだけではなく、自分が押そうと思ってるアイドルを押せたり、自分が売りたいと思ってる曲を売れたりするんだ。


■金優先と売り上げ優先は違う

 だからジョージ・ルーカスにしても庵野秀明にしても売り上げ優先なんだよ。
 ヒットさせない限り次の映画を作らせてもらえないから。
 この社会の中でクリエイト活動やるとしたら、「売り上げ優先でないようなクリエーターとは一緒に仕事なんかしたくない」というのが本音だと思うよ。

 僕は"もの書き"の世界にいるんだ。
 編集者でもやっぱり「『売れなくてもいい』という作家とは本なんか作りたくない」って、正直に言うもん。
「売れるものを書いてください!」って

 編集者として、「売れなきゃ意味が無い」とは絶対に言っちゃいけない。
 でも、作家自身が「売れなくてもいいんです」って言うのは許してはいけない。

 これもジャンプのマンガ家と同じだよね。
 この間のニコ生で荒木飛呂彦さんの『荒木飛呂彦の漫画術』という本を紹介した。
 好きなマンガを描いてるはずの荒木さんでも、「売れるため」に何とかして『キン肉マン』に追いつこうとしてる。
 ゆでたまご先生をうらやましいって言ってる。
 まさか『バクマン』に出てくる天然でヒットを出せる天才マンガ家「新妻エイジ」のモデルが、ゆでたまごだとは思わなかったんだけど(笑)


■葛藤があるから、秋元康も曲が書ける

 「まず売れるものを作って、その中に自分の好きなものを入れていく」のが、クリエイターの世界。
 秋元康もそういう解釈したほうがいいんだ。
 ただ、「それを売るためにどこまで"えげつない"ことをやるのか」によって、一人ずつ違うんだよ。

 たとえば、宮崎駿と鈴木敏夫は違う。
 宮崎駿は汚いものを見ないフリして、キレイなものを作ろうとする。
 鈴木敏夫は汚いものをあえて取り入れて、宮崎駿にキレイなものを作らせる。
 その時にイヤな現実をドンドン突きつけて、宮崎駿を追い込んでキレイなものを作らせると。
 この2人のプロデューサーと作家の関係は、そうやって出来てる。

 秋元康の周りや本人の心の中にも葛藤があるからこそ曲も書ける、と思ってるんだけどね。

 こんな話をすると、秋元康に対して「肯定的」「褒めてる」と、思われるかもしれない。
 でもやっぱり人の心を動かす人は、"何か"があるんだ。その何かは、ちょっと潜らないと見えないんだよね。


【まとめ】
 クリエイターは「売れるものを作って、そのなかに自分の好きなもの」を入れます。
 ただ、売れるためにどこまで"えげつない"ことをやるのかは個人によって違います。
 秋元康もその葛藤があるから、人の心を動かす曲が書けると思います。