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しかし、店長に報告するタイミングを逃し、何もしないまま一日が過ぎました。
次の日バイト先に行くと、その失敗をしたのは私と同い年のバイトの子という話になっていました。
彼は、いちばん怪しかったために周りから疑われたのです。
彼自身も店長に問いただされたときに、はっきり否定しなかったそうです。
結局、周囲はミスをしたのは彼だと思い込み、しばらくして問題も解決したので、事態は収まりました。
私は犯人に彼の名前が上がった時、ほっと胸をなでおろしました。
これで自分が失敗したことは隠し通すことができると。
そして、ミスや店長に黙っていたことに対する罪悪感も薄らぎ、失敗について忘れることができました。
それで、私が今まで失敗をきちんと報告していたのは、言うタイミングが用意されていたにすぎないということに気づきました。
つまり、私は罪に問われなければ告白をしない。
それ自体を忘れ去って、のうのうと暮らしていける人間だったのです。
しばらくして、彼が急にバイトをやめたとき、ようやく自分は何か悪いことをしたのではないかと思いました。
何かが起こらないと罪悪感に襲われない自分をどうにかしなくては、後々に取り返しのつかない恐ろしいことになるのではないか。
そんなことを不安に思い、つらいです。
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