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『47RONIN』を見てモヤモヤしたこと
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おはよう! 岡田斗司夫です。

ついに見ましたよ、『47RONIN』!

舞台は日本というより古代中国でした。

サムライはひとりも出てこず、アメフトチームみたいな価値観持ったガタイのいい東洋人が日本刀をぶら下げてウロウロしてました。

なぜかだれ一人、髷を結っていません。基本、全員がオールバックです。

徳川将軍は輿に乗って日本中をすぐに移動して、その場で軍事裁判をひらきます。

切腹は武士の自宅ではなく、オープンな庭で将軍が見てる前で披露します。

長崎の出島は江戸から徒歩三日ぐらいの距離で、「パイレーツ・オブ・カリビアン」まんまです。

・・・と以上のように、感想はもちろん「ひでー映画だったよ」に尽きました。

ところが、それのどこがどうひどかったのか考えると、あんがい説明が難しいです。

江戸時代の日本が、まるでアバターみたいな異世界(というより、ほとんど地球外の惑星)なのは、まぁご愛敬。

「忠臣蔵」のストーリーや設定を大胆に変えるのは、実はもともと「仮名手本忠臣蔵」の成立や上演のされ方から考えるとアリなんです。

「忠臣蔵」とは江戸時代においてすでに、原典や史実に忠実に作るモノでは無く、その時代時代の出来事・人物によってオーバーレイされるものでした。

なのでハリウッド版として、「ロード・オブ・ザ・リング」みたいな世界観でリメイクされるというのは、けっして間違いじゃ無いんですよね。

もちろん、作ってる方は悪気なし。

駄作を作ってやろうとか、手を抜いて金を儲けてやれとか、まったく考えていない。

じゃあ、なぜ僕は「ひでー映画だった」と感じるのか?

あえていうなら「こういうの、もうやめませんか?」って思ってるからです。

「やめませんか?」って問いかけている対象は、ハリウッドのプロデューサーでもあるし、出演する役者さんたちでもあるし、出資している日本の会社の偉いさんでもあります。

同時に、こういう「ヘンな日本観」を面白がることこそがセンスだ、と思ってる私たち自身にも問いかけてるつもりです。

『47RONIN』の日本って、間違ってる。

武士道や身分制度、江戸幕府という統治形態など、なにもかも「間違ってる」だけじゃなく「中国の亜流」として解釈されています。

米国も中国も日本も、その昔には身分制度がありました。

でも日本には奴隷制度はなかった。

この差がどうしても欧米の中途半端なインテリには理解できないんですよね。

上流階級や知的階層を形成するには、どうしても下層や奴隷の存在が不可欠だと思ってしまう。

たぶん、ギリシア哲学の悪影響だと思うんですけど。

なので、中世日本がどうしても理解できないハリウッド人たちは、誠意を込めて世界観を作ろうとしたら、どうしても古代中国になってしまう。

これ、現在の国際関係から考えてもマズいんじゃないでしょうか?

というわけで、岡田斗司夫の『47RONIN』感想でした。

 じゃあ、また明日。バイバイ!


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