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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【コカ・コーラ社が絶対に知られたくない黒歴史 3 】 黒人奴隷とコカ・コーラ」

2019/04/06 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/04/06
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今回は、ニコ生ゼミ03月24日(#274)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【コカ・コーラ社が絶対に知られたくない黒歴史 3 】 黒人奴隷とコカ・コーラ


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タオルくん:
 コカ・コーラ社が絶対に知られたくない黒歴史その3! 「黒人奴隷とコカ・コーラ」!


岡田:
 なかなかエグい話になってきたね。

――――――

 ペンバートン博士はこっちに置いてといて。

 よっしゃ、朗らかな写真を見てもらおうか。

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 まあ、朗らかでもないか。

 これは、ジョージア州アトランタにあるコカ・コーラ博物館のど真ん中にある巨大金庫です。

 金庫のど真ん中にコカ・コーラのマーク入ってるんだけど。

 この中には「代々コカ・コーラ社の社長とごく一部の幹部、世界でも数人しか知らないコカ・コーラのレシピが入っている」と言われているんだ。

 「それって本当でしょうか?」という話ですね。


 僕も、子供の頃からそういう噂は、いろんな本で読んだことがあります。

 たとえば「社長と副社長しか知らない」とか、「レシピを持っている2人は絶対に同時に飛行機に乗らない。一方が飛行機で着陸してから、もう一方が飛行機に乗る」とか、いろんな噂があります。

 なんか、アメリカの大統領と副大統領みたいだよね。

・・・

 もともと薬だったコカ・コーラを発明したジョン・ペンバートン博士は、当時アメリカでは珍しい漢方薬の医者だったんだけど。

 彼はコカ・コーラ以外にも、実は何十もの漢方薬を調合して売っていた、アトランタでは知らない人がいないくらい名士だったんです。

 たとえば、「木から落ちて背中が痛い」と言ったら「ペンバートン博士のところに行って、塗り薬を貰ってこい」とか、「子供がひきつけを起こした」って言ったら「ペンバートン博士のところに行って飲み薬を貰ってこい」とか。

 いっぱい薬を作っていた人なんだよね。


 そんなペンバートン博士が、当時は無害で万能薬だと思われていた “コカイン” と、強烈なカフェイン成分を含む “コーラの実” を混ぜて作ったのが、コカ・コーラ。

 いわゆる興奮作用があって、疲れとかが吹っ飛んでしまう、アッパー系のドラッグだったわけだな。


 コカ成分とコーラ成分が両方入っているからコカ・コーラ。まあ、シンプル。単純でわかりやすいこの名前なんだけど。

 後に、「なぜコカ・コーラという名前なのか?」という問いに対して、1959年コカ・コーラ社の社長は「我がコカ・コーラは、コカインとかコーラの実の両方から名前を取ったという噂があるが、それは根も葉もない悪質デマです! コカ・コーラという名前を付けたのは、単に語呂が良いからというだけの理由です!」と、証言台でそんな大嘘までついてしまうんですけど(笑)。

 まあ、1959年には、そこまで言わないとどうにもならないという状態まで追い詰められてたんだけど。

 この証言が真っ赤な嘘だというのは、これまでの講義の通りです。


 19世紀の末になると、コカインの危険性というのも段々とわかってきて、コカ・コーラ社の幹部たちは必死で「コカインの成分など入っていない!」というアピールを始めました。

 でも、そうなると問題があったんです。コカ・コーラのウリというのは「薬屋で売っている」つまり、「薬としての薬効がある」ということなんだよ。

 なんといっても、初期のコカ・コーラは「スカッと爽やかな飲み物」ではなくて、「頭痛や神経痛を直して、リウマチの痛みを一瞬で止める薬」だったから。

 
 ……いや、コカインだからね。

 そりゃ、リウマチの痛みを一瞬で止めるんだけど。

 
 こういうのをウリ文句にしてたんだ。

 コカ・コーラの発明者のジョン・ペンバートン博士に至っては、「コカイン入りのコカ・コーラを飲めば、寿命は120歳まで延びる! いや、理論的には150歳まで寿命は延びます!」というふうにインタビューで答えていて、アトランタジャーナルにも載ってるんだけど。

 つまり、不老長寿であって、病気知らずの奇跡の薬がコカ・コーラだったんです。

 こういう話は、テレビではもう絶対に紹介されません。

 「コカ・コーラはもともと薬だった」くらいが限度で、「昔はコカインが入っていたことがある」という話は、テレビで流せる限界をギリギリ超えてるかもわからないんだよね。

 今、言ったような話をテレビで流すと、そのテレビ局からコカ・コーラ社のCMを全部引き上げられてしまうので(笑)。

 ここら辺は、ネットでしか言えないことだよね。

・・・

 なぜ、コカインの成分をみんな欲しがっていたのか?

 それは “19世紀” という時代だったからです。

 『ジョジョの奇妙な冒険』第1巻に、こんなふうに書かれています。

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――――――

 19世紀!

 それは産業と貿易の発展が人々の思想と生活を変えた時代だッ!

 依然! 食料不足や貧富の差が激しいにもかかわらず大人も子供も「自分もいつか金持ちと同じようなくらしができるッ!」このような幻想をいだいていたッ! 

 それは嵐のようなすさまじい渇きだったッ!!

――――――

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 もう名文だよね、これ(笑)。

 いや、本当に、19世紀って、マジでこんな時代だったので、みんな猛烈に働きたがったていたんですよね。

 コカ・コーラに含まれる、コカインも、コーラの実のカフェインも、誰もがもう本当に欲しがっていた。寝ずに働けるように。

 そんな中、コカ・コーラ社2代目社長であり、創業者のジョン・ペンバートン博士から会社を無理やり奪ったエイサ・キャンドラーは、コカ・コーラという商売のターゲットに白人を選んだんです。

 「白人を選んだ」っていうことは、じゃあ、黒人にはコカインは不要と思われていたかというと、とんでもない!

 奴隷解放宣言の後も、南部の農場には、いたるところに黒人の奴隷農園がありました。

 そして、そこで働く黒人奴隷たちには、食事の代わりに1日1回コカの葉が与えられていたんです。

 つまり、3食ご飯が出るんじゃなくて、そのうちの1食はコカの葉なんだよね。

 「コカの葉で元気が出て悩みがなくなった黒人奴隷達は、自分達がどれほど疲れているかもわからずに、倒れるまで笑いながら働いた」って言われてるんだ。

 それくらい、南部の農園でも、徐々に徐々に「コカの葉を使って人を働かせる」ということが当たり前になっていたんです。


 じゃあ、なんで白人にターゲットを定めたのかというと、キャンドラーが欲しかったのは、いわゆる “ブランド・イメージ” だからです。

 だから、「頭脳労働をする白人こそ、コカインを必要としている。そこでコカ・コーラなんだ!」というキャンペーンを張ったんだよね。

 なので、キャンドラーは社長指令として、全米のソーダ・ファウンテンのオヤジ達に「金を持って来たとしても、コカ・コーラは白人の飲み物なんだから、黒人には売るな! これはイメージ戦略だ!」と言っていたんです。

 しかし、現場のオヤジたちは、もう黒人解放も済んでいるし、そんな社長の指示は無視して、5セント払ってくれるなら誰にでもコカ・コーラを売ってしまった、と。

・・・

 そんな中、「黒人が白人の雇い主達を襲った!」だとか、さらには「黒人男性が白人の女性をレイプした!」という噂が、アトランタ中に広まったんです。

 これによって、いたるところで黒人をリンチにかけるという事件が発生しました。

 また、「それに怒った黒人たちが反撃した!」という噂が流れたおかげで、そのリンチはさらに酷くなったという、歴史上有名な “アトランタ人種暴動” というのが発生したんですね。


 この噂にはどんどん尾ひれがついて行きました。

 どんな尾ひれがついたのかというと。

――――――

「白人を襲った黒人は気が狂ってる!」
「なんで気が狂ってるのか? あの黒人どもは麻薬をやっているらしい!」
「その麻薬はコカインらしい!」
「黒人たちは白人の飲み物コカ・コーラを飲んで気が狂ったらしい!」
「白人みたいに理性がハッキリしている人間はコカインを飲んでも大丈夫だけど、黒人みたいに理性のない人種がコカインを摂ると、気が狂って白人を襲いに来る! 白人の女性をレイプしに来る!」

――――――

 というふうに噂が流れてしまって、最終的には「黒人の暴動の原因はコカ・コーラだ!」ということになってしまったんです。

 ……本当にこうなったんだよ(笑)。


 そもそも「黒人が白人の女性をレイプした」という段階から、もう事実ではなかったんだけど。この噂は、コカ・コーラ社に大ダメージを与えました。

 事実上、発売中止の訴訟を起こされたりもしたんだけども。

 その時に出てきたのが「ソーダ・ファウンテンのオヤジ達が数倍の濃度で売っていたそうだけど、それはコカ・コーラ社の指示ではないのか?」という話だったんですね。

 要するに「薄めて飲んだら安全って言うけども、どれくらい薄めるのかは現場の判断で、金を出したヤツにいくらでも濃いものを出すことを許しているから、黒人達がコカイン中毒になるんじゃないか?」というふうに言われたわけです。


 これで、2代目社長であったキャンドラー社長も、ついに折れました。

 まず「成分からコカインを排除すること」を受け入れてて、次に「ソーダ・ファウンテンで売ることをやめて、ボトリングして、正しい比率の炭酸水で割ったコカ・コーラを売る」という事業を始めた。


 ボトリングというのは、今も言ったように「原液をソーダ水と混ぜたものを瓶に詰めて売る」ということなんですけど。

 これを、初代のペンバートン博士も、2代目のキャンドラー社長も、すごく嫌がったんだよね。

 なぜかというと、原液で売って店先でソーダで割っている限りは、薬局のソーダ・ファウンテンで売ることになる。つまり、コカ・コーラは “薬品” なんだよ。


 ところが、ボトルに詰めて売ってしまうと、どこで売られるのか、もう制御ができない。

 ガソリンスタンドや雑貨店、新聞スタンドでも売ることが出来るわけだよね?

 すると、コカ・コーラは、薬品ではなくて、ただの “ドリンク” になってしまう。


 でも、「コカ・コーラのおかげで黒人が暴動を起こした」という噂の原因は、「薬局で販売していて、そこのオヤジ達が20倍に薄めるというレシピを守らなかったから」だよね。

 なので、仕方なくキャンドラー社長も譲歩して、オリジナルレシピからコカインを取り除き、炭酸水の配合をそれぞれの薬局に任せずに、ボトルに入れて売ることにしました。

・・・

 これが、そのコカ・コーラのボトルの変遷です。

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 初代の1899年から、1900年から使われるようになった、透明と色付きの2種類の瓶が出て、1916年には、ほぼ今の形になってきました。


 このボトルがね、次の頭痛のタネで。

 一番最初は、このストンとしていた円柱状の普通のボトルで売ってたんだけど、これのおかげで、コカ・コーラの偽物がアメリカ中に溢れることになりました。

 1900年には、真ん中にひし形マークをつけて「このマークがついているのがコカ・コーラですよ!」と言ったんだけど、そう言ったら言ったで、偽物も全部ひし形のマークを付けだしたんだよね(笑)。

 そして、「どうやって差別化させればいいか?」ということで生まれたのが、この右端にあるコカ・コーラの特徴的な瓶の形。

 “ホブルスカート・ボトル” とか、 “メイ・ウエスト・ボトル” ……「昔、有名だったメイ・ウエストという女優さんのプロポーションのようにくびれている」ということで、メイ・ウエスト・ボトルと言うんだけど。

 これが、1916年にやっと完成した、と。


 この形になった理由は、瓶の形を変えようにも、使用済みの空き瓶を自動的に洗う機械に掛けるために、太さを変えられなかったからなんだ。

 太く出来ないので、真ん中をちょっとくびって、洗浄機にかけれるようにした、と。

 おまけに、真ん中をへこませると、これまで売っていたものと比べて、3分の1にまでコストを下げれる。

 容量を10オンスから6オンスに減らせるということで、この形になったそうです。

 まあ、「中身を減らしてもバレない」と。

・・・

 こんなふうに、レシピを変更しコカインを取り除いて、ボトル詰めのコーラを開発したことによって、ようやっとコカ・コーラは「黒人暴動事件とは無関係」という判決を得ました。

――――――

岡田:
 ということで、タオルくん、わかったかな?


タオルくん:
 ねえオカダ、じゃあコカインを抜いたとしても、いまだにコカ・コーラのレシピは謎なの?
 この金庫の中にある通り、コカ・コーラのレシピ、どういうフレーバーで出来ているのかっていうのは、誰も知らないままなの?


岡田:
 うーんとね、実はそういうわけじゃないんだよ。というのも、コカ・コーラのレシピは秘密でもなんでもないからなんだ。

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――――――

 なぜかというと、発明したペンバートン博士自身が、モルヒネを買うお金欲しさに、いろんな人にレシピを売っちゃってたんだよね。

 だから、コカ・コーラ社が「レシピは絶対の秘密!」と言っているのは、逆に言えば「大したことがないから」なんだよ。


 レシピ自体、どんな香料が入っているのかは、大したことのない秘密なんだけど、コカ・コーラというブランドを守るために「レシピは謎です! 世界でも数人しか知りません!」という伝説を、自分たちで一生懸命作ったわけなんだ。

 こんな伝説を自分たちで作ったおかげで、コカ・コーラ社は1985年…

 …もう、ついこの間だね。

 自分の首を締める大スキャンダルに襲われます。

 その話は、また後半で、ちょっと話そうと思います。


 「ヤバい話か?」って聞かれると、まあ、そうだね、黒人奴隷よりずっとヤバい話かもわかんない(笑)。
  
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