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「『ゼルダ』の世界を歩いてみよう! 『ブラタモリ』的なゲームの楽しみ方・中編」
では、僕が『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ワイルド』の世界で、どんな体験をしてきたかを語ってみましょう。
本当は、このマップはもっと広大で、これはその中の3分の2を切り出したものなんですけど。
この世界の真ん中あたりに、“ハイラル城”という場所があります。
このハイラル城は、今、悪のガノンというヤツに支配されているんですね。
だけど、それでもこの城をガノンに奪われてしまいました。
ハイラル国は、外国に対する備えというのは していたんですよ。
周囲に存在する衛星国家との外交もちゃんとやってたし、海の向こうの国との戦争にも備えていたんです。
復活したガノンというのは、内側から攻撃を仕掛けてきたんですね。
おかげで、数千人規模の兵隊たちが、城を捨てて逃げ出すことになってしまったんです。
それと同時に、城下町や周囲の土地に暮らしていたハイリア人達も、町全体で一斉に避難することになってしまいました。
ハイラル城を脱出した数千人規模の王族と騎士団は、少し南下して、それから東のロマーニ平原を突っ切って、橋を渡ります。
そんな道を、数千人規模の軍団が突っ切って、このようなルートを辿って、ようやっと高原の方へ抜けて、最後にはアッカレ峠にたどり着きます。
これが、軍の通ったルートです。
城から逃げた軍隊とは違い、ハイラル城のある盆地全体に住む民衆を率いながらの逃避行となったので、リンクたちは街道を通り過ぎて、南に進路を取ります。
『ゼルダ』の何がすごいかって、地図上の等高線が全てリアルに再現されているんですけど。
ここは“双子山”といって、偶然、山の間が上手く割れている場所なんですね。
この、すごく険しい山の間に、偶然、開いていた抜け道みたな場所を通って、クロチェリー平原という場所に移動します。
ここまでいけば“ハテノ砦”という砦があるんですね。リンク達はここへ逃げ込みました。
では、全体で、もう一度 説明しますね。
復活したガノンがハイラル城を占拠して、そこから数万、数十万くらいの殺人ロボットが、この国中にワーッと溢れ出してきました。
これが、全体の概況です。
ゼルダの世界では、1万年以上前にさらに進んだ文明があって、それがもう、わからなくなってるんですね。
狭い街道なら、敵に囲まれなくても済むからですね。
だから、ゲーム内を歩いていると、100年前にリンクたちと戦ったと思われるロボット達の遺跡化した残骸が、そこら中に落ちてるんですよね。
クリアする前は、「ああ、なんかいっぱい落ちてるな」って思う程度なんです。
だけど、クリアした後で、よくよく落ち着いて歩いてみると、ここが過去の戦場跡であることがわかるんです。
そして、そうやって眺めると、「ここは道幅が狭くなってきているから、左右から襲われにくかったんだな」とか、逆に「この平原では、どこにも逃げ場がないところで戦闘が行われたんだな」ということがわかるんです。
そういったロボットの死に方を見るだけで、「そこでどんな戦いがあったのか?」という事まで、メチャクチャわかるんですよ。
実はこれ、ものすごく考えて配列されてるんですよ。
なので“読む”ことができるんですね。
そして、これらのオブジェクトを、「単なるゲームの中の背景だな」と思って通り過ぎるのではなく、「どういう意味があるのか?」と読み解いていくということが、メチャクチャ面白いんです。
ところが、そこを抜けると、広い広いクロチェリー平原が広がっていたんですよ。
そして、100年前に起きた、このクロチェリー平原での戦いで、リンクは力尽きて息絶えてしまうんですよね。
……あ、大丈夫です。これはネタバレではありません。
「リンクが息絶えた」というのは、ゲームを始めて10秒後くらいに教えられることですから(笑)。
なぜ、超絶的な剣士であるリンクが倒れたのかというと、双子山の狭い街道を抜けた平原で、ロボット達から一斉に襲われたからですね。
それまでは、民間人達を守りながらの撤退戦のしんがりを務めて、背後から迫る敵だけと戦っていたリンクは、双子山を抜けた辺りで四方から敵に襲われ、倒れてしまいます。
しかし、このリンクの働きによって、民間人達は、なんとかハテノ砦に逃げ込むことができたんです。
そのおかげで、民間人達は奇跡的にハテノ砦に逃げ込むことに成功した。
これが “ハテノ砦の奇跡” です。
ここに街道が通っていたのは、かつてはこの場所に町があったから。
実際に街道を歩いていると、ポイントポイントで、その廃墟があるのがわかるんですよ。
街道を移動している途中も「馬で通るには便利だな」とか、町の廃墟を見つけた時も「あ、なんか宝物が拾えるかな?」という浅ましい心でしか見てなかったんです。
これは、ゲームを攻略している最中なら、しょうがないんですよ。
でも、ゲームが終わってから、しみじみと歩いてみると「こんなすごい場所だったんだ。こんなすごい激戦地だったんだ。ここででは民間人も一緒に戦ったんだ」ということがわかるんです。
こういった遺跡には、当時、民間人が一緒になって戦ったことがわかる痕跡というのが、いくつも残っているんですね。
たとえば、倒れたガーディアンの残骸の周りに、“木の棒”とか、“棍棒”みたいな武器が落ちてるんです。
クリア前に歩いていた時は、「お宝だと思ったけど、どうしようもないアイテムだな。こんなの戦闘の足しにもならない」って思ってたんですけど。
でも、そんな武器が周りに落ちてるということは、「ここを通る段階では、民間人達も、粗末な武器を手にリンクと一緒に戦っていた」ということなんです。
そう思った瞬間、もう背筋がゾクゾクしてくるんですね。
そんな出来事から100年後のクロチェリー平原には、ハテノ砦の前方に地平線まで広がっている大地が残っているんですけど、もう、見渡すかぎり、ガーディアンの残骸で埋め尽くされているんですよ。
ゼルダ姫の能力によって倒された、何千という数の死骸が、地平線までウワーッと広がってるんですね。
だけど、ゲームが終わって、全てのお話が頭の中に入ってくると、ここがいかにすごい激戦地だったかということがわかる。
「ここで人間が助かったからこそ、ハテノ砦の近くにハテノ村というのが生まれて、100年かけてようやく復興しつつあるんだ」ということが身にしみてくるんですね。
この地平線まで埋め尽くすようなガーディアン達を、ゼルダ姫が最後の力で倒したという、このすごさ。
「100年前ってすごかったんじゃん!」というのがわかるんです。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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