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「『ゼルダ』の世界を歩いてみよう! 『ブラタモリ』的なゲームの楽しみ方・後編」
さっきも言ったように、「こんなものは、ゲームデザイナーが適当に配置したオブジェクトであって、アイテムを拾える程度のものだ」って思ってたんです。
あとはゲームをやってる最中はモンスターに襲われるのが怖いから、いちいち周りを見たりせずに、目的地に向かって本当に一直線に走っていました。
そうやって「町の跡地にモンスターが棲んでたらウザいな」とか、「宝箱とかを拾えたらラッキー」とか思うだけだったんです。
高さ4,5mくらいの石造りの城壁があるだけで。
その城壁も、崩れかけた所を、木の簡単な柵がカバーしてるようなものなんですよ。
おそらく、100年前のガーディアンとの戦いで、石造りの城壁が崩れてしまって、今や それを復興するだけの力がないんですね。
だから、今となっては、崩れた城壁の上から、木で簡単に作った尖った柵みたいなものを置いて、山賊を防ぐ程度の機能しか残っていない。
つまり、人類はすでに、このクロチェリー平原という所から撤退せざるを得なくなっているんです。
ハテノ砦の遥か後ろの山の上に、“ハテノ村”っていうのがあるんですけど、これは、「そこまで撤退しないと人間は住めなくなっている」ということなんですよ。
ゲームの中でも、そこら辺をウロウロしているオッサンとか、お爺さんとか、お姉さん達が、「昔、こんなことがあったらしいよ」ということを断片的に話してくれるんですけど、今 話したような出来事を直接的に教えてくれるわけじゃないんです。
もう一度、この地図で説明します。
ここを見てください。
ここに変な地形があります。
オブリー平原という場所の南西に、周回しているだけの謎の街道があるんですけど。
ここに道がなければいけない理由が全くないんですよ。
近くに あばら家があるんだけれども、とても人が住めるような環境じゃないんですね。
交通標識みたいな、同心円状の円の記号が描いてる看板なんですね。
これを見つけて、「なんだろう?」って少し考えた後で、「あ、これ、弓矢の的なんじゃないかな?」って思ったんですよ。
つまり、この楕円形の道というのは、“流鏑馬”(やぶさめ)っていう、馬に乗りながら矢を射って的に当てるための練習場なんだ、って。
念のために、その的みたいなものを矢で射てみたら、パンと破裂したんですね。「なるほど、やっぱりこれ的だったんだ」と。
「じゃあ、さっきのとても人間が住めないようなあばら家っていうのも、馬屋みたいなところなのかな」と思ってよく見ると、床が板で葺いてない土間になっているから、「ああ、これ、馬屋だ」と。
その道案内を読むと、「あっちに行くとハテノ村で、こっちへ行くと乗馬練習場」って書いてあったんです。
これを見て、ようやっと「ああ、俺の仮説は当たってたわ! あれは流鏑馬の練習場で、かつてはそういう文化があったんだけども、100年前に滅びてしまったんだ!」というのが分かったんです。
ところが『ゼルダ』では、少なくとも「100年前にこんなことがあって、その後、こういう理由があって、今、この形で残っている」という所まで持って行ってる。
あらゆる遺跡や住居の跡に、今 話したレベルの発想や設定が埋め込まれているところがすごいんです。
その崖に登って見渡すと、最終防衛戦の決戦地であるクロチェリー平原が広がっていて、そこには無数のガーディアン・ロボットの残骸が転がっていて、そのさらに奥には、双子山という細い街道が間に通った2つの山がそびえている。
「この地形のおかげで、なんとかリンクが戦い続けられたんだな」ということから、「騎士とか兵隊たちは全員、王国を守るためにアッカレ峠に行ってしまっていた中で、どんなに苦しい戦いだったのか」ということまで想像できるんですよ。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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